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第六十四話・一番安全で安い宿屋


「いい事!良く聞きなさい、レンヤ!あたしがあんたの側にいる限り、

今後そんなハレンチな場所に行くのは絶対に禁止だから!いいわねっ!」


「ええぇぇぇ――――――っ!?」


「ん......何?もしかして、何か不満でもあるの?あるんだったら、

聞くけど?」


レンヤの不満に対し、ルコールが威圧感タップリのニコニコ笑顔で

そう言い放つと、両手の指をワキワキと動かして何かを握り潰す

ポーズをして見せる。


それを見て、


「はひぃぃぃぃ!?イ、イヤだな...ふ、不満なんてあるわけがないじゃ

ないですかっ!あは...あははは♪」


先程ルコールによって食らわされた、クロー攻撃による恐怖と痛みを

思い出したレンヤは、ニガ笑いをこぼしながら、ルコールへの不満を

即座に心の奥へと引っ込めた。


ぐぬぬぬ...おのれぇぇい!


なにが...「ハレンチな場所にいくのは絶対に禁止だから!」...だぁっ!


齢、うん百歳のババアの癖に、カマトトぶりやがってぇぇぇぇぇっ!


「......ん?その表情...やっぱ、あたしに何か言いたい事があるんじゃないの?」


「はうぅぅっ!?も、文句なんてありませんってば!ルコールさんの気のせい、

気のせいっ!あははは♪」


「そう?だったら、いいんだけど?」


ふうっ!


あぶねぇ、あぶねえっ!


流石はドラゴンだな。


何て直感力の高さだよ。


やれやれ...こいつの前では、迂闊な事も考えられないようだ。


しょうがない。これ以上足掻いても、あいつのクロー攻撃が飛んで

くるだけだろうし、今回はギルマスの隠れ家は諦めるとするか。


そんじゃ、そういう事で......


「......なぁ、ミュミュ。この辺にさ、一番安くて、尚且つ安全に

泊まれる宿屋ってないかな?」


ルコールからまたクロー攻撃を食らいたくなかった俺は、取り敢えず

ギルマスの申し出を無念だが諦める事とし、今夜泊まる宿屋の情報を

ミュミュに訊ねる。


「えっと、一番安くて安全に泊まれる宿屋...ですか?それでしたら、

レンヤ様!我がギルド御用達の宿屋を是非、御利用下さいませっ!」


「ギルド御用達の宿屋?」


「はい!そこの壁に貼ってある紙に、今申し上げた宿屋の場所が

記載されてありますので、ご覧になられて下さい!」


ミュミュがニコリと微笑み俺にそう伝えると、俺の少し横の壁の

中央に貼ってある、一枚の紙へ指を差した。


「あ、これがそうだね?どれどれ......」


うむ、宿屋の名前は『冒険者の憩い』で宿屋の値段は一泊、

銀貨が三枚か。


で...一食付くごとに銅貨がプラス三枚で、三食なら銀貨が

プラス一枚か。


「うん、うん。値段に文句はないね。でも肝心の中身...安全は

どうなんだろう?」


「そこも心配無用だ、レンヤ。ハッキリ言って、そんじょそこいらの

宿屋よりもずっとリッパで、かつ安全も文句無しの良い宿屋だぜ!」


値段が安いのでレンヤが宿屋の安全性を疑っていると、ギルマスが

胸をドンと叩き、ギルド御用達の宿屋をドヤ顔で誉めちぎる。


「ふ~ん。このおっさんの評価はともかく、ミュミュが薦めるんなら、

まず間違いはなさそうだね!」


「うぐぐぅぅ...こ、この娘、レンヤと一緒で中々いい性格をして

いやがるな!」


あっけらかんとした態度で、ギルマスを軽くディスッてくるルコールに、

悔しさを滲ませるギルマスがぼやきを口からこぼす。


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