第六十三話・クロー攻撃再び
「うおぉっ!?」
今ドスンッと重い音が鳴ったぞ! ドスンッと!?
これ、一体どれくらいの硬貨が入っているんだろう?
俺がワクワク感な表情で、目の前に置かれた皮袋をジィィーッと見ていると、
「全部で金貨が三枚、大銀貨が一枚、銀貨が二枚、そして使いやすい様に崩した銅貨が三十枚入っています!」
ミュミュが皮袋の中身...換金結果がいくらだったのか、それを俺に伝えてくれた。
「何度か数え直しておりますので数は合っていると思いますが、可能性としてこちらの不手際で枚数が足りない場合があります。ですので、もしお気になれますのでしたら、レンヤ様の手でもう一度キチンと枚数分が入っているかどうか、ご確認下さいませ!」
「はは。それは大丈夫。俺はミュミュを信用しているからこのまま頂くよ!」
レンヤはニコッと爽やか笑顔を浮かべてミュミュにサムズアップを決めると、テーブル上の置いてある皮袋を手に取る。
「おうおう。嬉しい事を言ってくれるじゃねえか、レンヤ! ここのギルマスとして受付嬢を信用してくれるのは大変嬉しいぜっ!」
レンヤに信用された事で頬をほんのりと染めテレているミュミュの横にギルマスが立つと、感涙の言葉をレンヤに贈る。
だがその後、ギルマスがバツの悪そうな顔をして両手を大きくパンッと叩き合わせ、
「しかしスマンな、レンヤ! そいつを数え入れたのは、実は俺なんだよ!」
その換金の枚数を数えたのは自分だという事実をレンヤに告げる。
「.........」
それを聞いたレンヤは、静かに皮袋の口を広げて中に入っていた硬貨を
テーブルの上にバッとバラ撒くと、
「一枚...二枚...三枚......」
硬貨の数がちゃんと合っているかどうか、その確認をするべく、せっせと硬貨を一枚、一枚、丁寧に数えていく。
「ちょ、お前!? 俺が数えたと知った途端、その手のひら返しはいくらなんでも酷すぎじゃねえかっ!?」
そんなレンヤの行動を見て、ギルマスが目を丸くしてビックリしてしまう。
「......ったく。せっかく遠路遥々このリタイにやって来たお前を労うべく、今夜辺りにでも俺のお薦め、大人の隠れ家に連れて行ってやろうかと思っていたのに......」
「―――なっ!? ひ、秘密の隠れ家っ!?」
な、なんですか!? そ、その素敵な響きはっ!?
「しかしそんな横柄な態度を取るんだったら、もう連れて行くのは止めておくとしよ―――」
「―――もう、何を言ってるんですか、ギルドマスター! 今のはほんの他愛のない冗談に決まっているではありませんか、真に受けないで下さいよ~♪ あは、あははは~♪」
『大人の隠れ家』
そのキーワードを聞いた瞬間、レンヤは硬貨を数えるのを即座に止め、そして先程の言葉は冗談だと慌て口調で撤回すると、テーブルの上にバラ撒いた硬貨を皮袋の中へとポイポイ放りこんでいく。
「お前...ホント強かな性格だな......まぁ、そういう性格、俺は嫌いではねぇけどな! んじゃ、さっき言ったように今夜辺りにでも行っとくか?」
「おう、いいですねぇ~! それじゃ今夜、是非行きま―――――ハガァッ!?」
「ん~今なんて言おうとしたのかな、レンヤさ~ん♪」
レンヤがギルマスの誘いに乗ろうとしたその瞬間、ルコールから後頭部をガシッと力強く鷲掴みにされ、そのままグッと上に吊り上げられた。
「うふふ♪ 何も言っていないよねえ? あたしの気のせい......だよねえ♪」
そしてルコールが瞳の奥が笑っていないニコニコした表情でもう一度レンヤに改めてそう問い掛けると、クロー攻撃をじわりじわり強めていく。
「は、はいぃぃいいっ! い、い、いい、言ってませ......あいだただだぁぁああっ!!? な、なな、何も、い、い、言って...ませんですぅぅうぅぅうっ!!!」
「そっかそっか、言ってないのか♪ それだったらゴメンね、レンヤ。どうやらあたしの早合点だったみたいだねえ♪」
ルコールはわざとらしい謝罪を口にしながら、レンヤの後頭部から手をスッと離してクロー攻撃を解く。




