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第五十七話・オークションLV


「ほれ、よく見てみろよ、あのミュミュの驚いた表情をさ!

こんなゴミ素材を買い取れと言われて、唖然としているじゃないか!」


「ぬぐぐぐ......」


まったくという表情で小馬鹿にしてくるレンヤに、ルコールが憤怒全開で

拳をブルブルと震わせる。


「――はう!?ちちちち、違います、レンヤ様!そそそ、それらの素材は

ゴミ素材なんかじゃありません!む、寧ろその真逆で、オークションに

出品LVの超激レアな素材ですからっ!」


「―――へ?」


超激レアな素材!?


こ、こんな、ルコールの爪を切った残骸や、抜け落ちた髪ならぬ、

鱗がオークション出品LVの超激レアだと......!?


「マ、マジですか?」


神妙な面持ちで問う俺に、


「はい...マジです!」


ミュミュがグルグルメガネから覗く真面目な目線を俺に向け、

そう返事を静かに返す。


「くふふ~ん♪どうよ、レンヤさんっ!あたしの分身たちの素晴らしさを

垣間見たかっ!!」


うわ...ルコールの奴、さっきまで見せていた怒り顔のしかめっ面は

どこに?...と言わんばかりのドヤ顔を決めていらっしゃるな。


しかし、二束三文にしかならないと思ったこのゴミ素材が...


今日の宿代の足しになればといいやと思っていた、このゴミたちが...


まさかの超激レアな素材だったとはな。


いやホント、疑って悪かったねルコール!


腐っても流石、立派な竜の素材だよっ!


「お、おい、あのおっさんが持ち込んだ素材を見たか!」


「ああ、見た見た。あれが竜の素材なんだな。俺、生まれて初めて

見ちゃったぜ!」


「あんな物を手に入れられるなんて...あのおっさん、もしかしたら

とんでもない強者なのか!?」


あ、やべ!


冒険者連中がめっちゃ騒いでいらっしゃる!?


そりゃまぁ騒ぐか。


今日日(きょうび)俺があいつらの立場で、レアアイテムを()の当たりに

したら、恐らく同じ様に興奮冷め止まぬ状態だったと思うし。


でも竜の素材を全部出さなくて正解だったぜ。


もし全部出していたら、今頃更に大きな騒ぎになってた予感がする。


だけど、面倒ごとは既にスタートを開始したっぽいけどな。


「あ、あの...レンヤ様。このような超激レアの素材、どうやって入手を

されたのですか?」


「――え!?そ、それらの入手かい?その素材は――」


そのスタートした面倒ごとを何とか回避する為、俺が言い訳を口に

しようとした瞬間、


「ふふふん♪その素っ晴らしいぃい素材たちはねぇ、なんと!この

あたしの―――――モガモガッ!?」


ドヤ顔のルコールが俺とミュミュの間に割って入り、竜の素材の出所を

暴露しようしてくるので、俺は慌ててルコールの口を両手をサッと塞いで

強引に暴露を食い止める。


「はは...そ、その素材はね、俺が故郷の村にいた頃に、とあるダンジョンで

魔物狩りを行っていたんだけど、そん時その場所にあった宝箱から入手した

代物なんだよ!」


俺はもうこれ以上の面倒ごとは御免被ると言わんばかりに、思い付く限りの

言い訳を懸命に繋ぎ合わせ、ミュミュが適度に信じてくれそうな内容に

仕上げて、それをそれっぽい感じで話していく。


「とあるダンジョン...ですか?それはどこのどういったダンジョンで、

どこに存在するダンジョンなのでしょうか?」


く...ミュミュの奴、キラキラ瞳をしてまだ食い下がってくるな!


「す、済まない、ミュミュ。俺ってば歳行ったおっさんだから、その

イマイチ記憶力が芳しくなくってな。この素材を入手したのが大体、

数十年くらい前で、その時に入手したってのは何となく覚えては

いるんだが...そのダンジョンが一体どこにあったのか?そこで

どうやってこいつを入手したのか、それらの記憶があやふやで

思い出せないんだよ...ホント、ごめん!」


「そ、そんな謝らないで下さい、レンヤ様!こちらこそ執拗に聞いて

しまい、誠に申し訳ございませんでした!で、でもそうですよね。

数十年も昔の事なんですから、記憶がうろ覚えだったとしても、

それは致し方ございませんよね!」


再び頭の引き出しから懸命に取り出して言い訳を繋げ合わせた結果、

それが上手く成功したのか、ミュミュが申し訳なさそうな表情で

何度も頭をペコペコと下げて、俺に謝ってくるのだった。


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