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第五十三話・ルコールおばば様


「ねぇ、受付嬢さん。ギルドカードのここに『受付孃ミュミュ』って

書いてあるんだけど、これってもしかしてキミの名前かな?」


俺はギルドカードの右下に『受付孃ミュミュ』と書かれているのを

発見し、それがこの受付孃の名前なのかと訊ねてみた。


「は、はい!わたしがそのミュミュで間違いありません!」


いきなり名前を呼ばれてビックリしてしまったのか、受付孃のミュミュが

目を丸くしながら、レンヤの問いに返事を返す。


「それじゃ、今からキミの事はミュミュさんって呼ぶけどそれでいいかな?

それとも、さっきまでの受付孃さんって呼び方の方がいい?」


「あ!ミュミュの方で是非お願いします!」


レンヤの述べる選択に対し、ミュミュが迷いを見せず、速攻で答える。


「後それからもうひとつお願いしてもいいですか?わたしはレンヤ様より

年下なのに、さん付けで呼ばれると、何か照れてしまいます。ですので、

これからはわたしの名前は、呼び捨てで呼んでもらえないでしょうか?」


「い、いやしかし...は、初対面の人をいきなり呼び捨ては呼ぶのは...」


「お願いします!あと、敬語もしなくていいですからっ!」


「――はうっ!?」


ミュミュがレンヤの両手をギュッと力強く握り、相手にもの言わせぬ口調で

熱望してくる。


うう...先程のネガティブモードと違って、めっちゃくちゃ攻めてくるな、

ミュミュさん。


「うう...わ、わかりました!わかりましたよ、ミュミュさ...いや、

わかったよ、ミュミュ。これで...いいか?」


「はい♪」


タメ口で話す事にやや抵抗があったレンヤだったが、意を決してタメ口で

話すと、ミュミュが屈託のない笑顔を浮かべて喜んでいる。


「そっか、そっか。初対面の人をいきなり呼び捨てでは呼べないかぁ♪

あれ?でもあたしの時はレンヤってば、躊躇なく呼び捨てで呼んで気が

するんだけど、違ったっけか♪」


ルコールがワザとらしいニヤニヤした表情で俺に意地悪を言ってくる。


「なんだ、ルコール?そんなに敬語で呼んでほしかったのか?だったら、

お前の事を今からルコールおばば様って呼ぼうか?」


そんなルコールの意地悪に対し、俺は仕返しと言わんばかりの皮肉を

タップリ込めた返事を返す。


「うふふ、レンヤ。もしそんな呼び名をしたら...これだからね♪」


そんなレンヤに、ルコールがニコッと微笑みを見せると、広げた手のひらを

静かに前へスッと突き出し、その広げた手のひらをグッと強く握り締める!


ああ...そのジェスチャー、もし言ったら俺の頭をこんな風に握り潰すぞって、

意思表明か......


俺はそれを理解すると、ルコールに向かってビシッと見事な敬礼をして、

「決してその様な発言は絶対にいたしません!」と言わんばかりに完璧な

了解ポーズを取った。


「.....たっく。そんな事より、ギルドカードの最後の登録をさっさと

済ませなさいな!」


「最後の登録?」


「ギルドに来る前に血の契約の事を説明したでしょう?。あんたの

血をそのギルドカードに一滴垂らす事で、そのギルドカードの登録は

初めて完了するのよ!だからほら、この針でブスッといきなさいっ!」


ルコールがそう言うと、針をレンヤに手渡す。


「こ、これで指先を指すのか......何かちょっと怖いな......」


指先を傷付ける事に対して、俺が躊躇していると、


「ハァ...いい年したおっさんが何を言っているかなぁ。あんたが

出来ないっていうんなら、代わりにあたしがやってあげるよ!うりゃっ!」


「―――はぎゃ!?」


ルコールがやれやれと嘆息を吐いた後、自分の爪を鋭く尖らせて

レンヤの指先をパシッと斬った。


爪で斬った切り傷から血がポトンとギルドカードに落ちて当たった瞬間、

ギルドカードがピカッと光輝く。


「よし、これでギルドカードの登録完了だねぇ♪ほれ、レンヤ♪」


数秒後に光が収まったギルドカードをルコールが手に取ると、

それをレンヤに手渡した。


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