第四話・おっさん、鍵を閉められる
うわぁ。
こいつら、さっきから露骨に蔑んだ目線を俺にぶつけてくるとは思っていたけど、俺に対しては、いっさい礼儀を見せる気もないのな。
兵士達の俺に対する対応が、少年や少女達に対する対応とあまりにも違う事に、最早ニガ笑いも浮かんでこなかった。
「......言いたい事はわかった。俺に不満があるんだったら、俺をさっさと元の世界へ帰してくれよ。それでまた新たに勇者を呼べば良いだけの話だろう?」
そいつらの態度に、少し...イヤ、かなり苛立っていた俺は、ワザとらしく嫌味を含んだ口調で会話を続ける。
「ふん、何も知らない無知なおっさんは黙ってろ! 大体それができればこっちも苦労せんわ! いいか、よく聞けおっさん! 勇者召喚には相当な魔法量が必要なんだ!」
「その魔力を貯めるに最低でも、一年間は必要なんだよ!」
「それなのに...よりにもよって、こんなどこの馬の骨とも知れぬおっさんが召喚されてしまうとは...なんと嘆かわしい事態なのだ...ハァ!」
最早、おくびも悪びれもせず、兵士達や神官達が俺への不満や愚痴を、次々とこぼし続けてくる。
お、おのれ...こいつら......溜め息をつきたいのは俺の方だっつうの!
た、確かにさ、俺ってばおっさんだよ
けどさ。そこまで言わなくともいいじゃないか。
それとも何か、この世界の俺くらいの年の奴って、全く役に立たない輩ばかりで馬鹿にされてしまう対象なのか!?
「何故貴方の様なおじ...コホン、御方が召喚されてしまったのか、それは後にするとしておきましょう。そ、それよりも勇者様! この召喚の間の隣の部屋に鑑定師を呼んでおりますので、その部屋にて勇者様達の能力を測らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「え?オレ達の能力を測る...ですか?」
「はい! それを見て、今後の勇者様達の今後の戦い方を決めていくプランを組もうと思いまして!」
リコット王女がニコッと微笑みを見せながら、黒髪の少年にそう述べる。
「ここまできて断る理由がありませんし...オレは別に構いませんよ」
「右に同じ!」
「左に...同じ...」
黒髪の少年の迷いのない肯定な言葉に筆頭に、芽々と久美もいいよと賛成してくる。
「あ、ありがとうございます勇者様! そ、それでは、こちらのドアから入れますのでどうぞお入り下さいませ!」
リコット王女が装飾の綺麗なドアをガチャリと開けると、勇者達に手を招いてくる。
「あたしの能力値か...あたしの能力値って、どんな感じなのかな? 前衛タイプだったらいいなぁ~♪」
「ん...ボクも自分のステータスは気になる......いい数値を期待する......」
芽々がルンルンと鼻唄を聞かせながら、そして久美も意外に興味津々といった表情を見せながら、リコット王女の指示したドアを開けて中に入って行く。
「よ、よし! オレも行くか......っ!」
芽々や久美に続けと、黒髪の少年がドキドキしながら、リコット王女達の入ったドアを開けて中へと入って行く。
「そ、それじゃ...お、俺も......」
バタンッ!ガチャンッ!!
少年少女達に続けと言わんばかりに俺も部屋に移動し、部屋の中に入ろうとした瞬間、兵士達がドアの前に立ち塞がる。
そしてドアの鍵をガッチリと閉める音が辺りに響く。




