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第三話・おっさん


勇者の説明を終えて、少年、少女達と談笑していたリコット王女が、

俺の方をチラッと見ると、ゆっくりこっちに近づいてくる。


「あ、あの...つかぬことをお聞きしたいのですが...あ、貴方様はあちらの

勇者様三人の先生か、保護者...なのでしょうか?」


他の三人と違って、如何にもという困惑した表情を浮かべたリコット王女が、

俺の事を値踏みする様にジィィーッと見てくる。


「いや...俺は先生でもなければ、保護者でもない。それに、そこの少年や

少女達とは、何の関連性もない...」


いきなりリコット王女様から声をかけられ、少し動揺してしまう俺だったが、

冷静な態度を崩さず、上手く王女様からの質問に答えを返す。


「そ、そうですか...。違うん...ですか......」


おや...?何か、リコット王女の表情が暗くなったような...??


「ん...?リコット王女様...様子が少し変......」


リコット王女の異変に気づいた久美が、ハテナ顔をして首を傾げている。


「リコット王女の様子が...?はは~ん、なるほどねぇ...そういう事か♪」


芽々がリコット王女へ目線を向けると、大体の理由がわかってしまい、

ニヤッと口角が上がっていく。


「ん...その顔?芽々はリコット王女様の様子がおかしい理由...何か知って

いるのか?」


「知っているって言うか、直感なんだけど...リコット王女がおかしいのは、

多分、そこにいる人があたし三人と違い、あまりにも年の離れ過ぎた

『おっさん』だからなんだよっ!!」


答えを急かす久美に対し、ドヤ顔の芽々が人差し指を俺に向けて突きつけると、

リコット王女が困惑している理由を声を高らかに上げて述べてくる。


「そ、その人がおっさん......だから?」


「そう、おっさんだからよ!」


芽々の述べる答えに、そうだったのかと目を見開いた久美が後ずさりし、

もう一度芽々へ問うてみると、はやり返ってくる答えは同じ答えだった。


嗚呼...はいはい、その事(俺がおっさんの件)ですか。


まぁ、俺も何となく、それには気づいてはいましたよ。


だってどう見ても、他に召喚された三人と比べたら、俺っておっさん

何だもん!


「もしかして...老け顔なだけかも......」


はは、ゴメンね~お嬢ちゃん。おじさんは、見紛うことなき、ただの

おっさんだから!


しっかし、おっさんだからってそんなに忌み嫌うって...納得がいかん!


よ、よし!


「ん...どうした?俺が年配者だと、何か不満でもあるのか?」


俺は気を取り直して、何故おじさんでは駄目なのか、リコット王女に

少し挑発を含んだ口調で質問する。


「い、いいえ!そ、そういう訳じゃないのですが......ただ、その...」


俺の挑発的な問いに、リコット王女が何の答えを言えず、その口を濁して

しまった。


「クソ親父の分際がリコット王女様に対して、なんたる口の聞きかたかぁっ!

不敬罪で無礼撃ちにしてくれるぞっ!」


するとリコット王女の横にいた兵士が怒りを露にして、持っていた武器を

俺に向けて身構えてきた。


「それにリコット王女様に対し、言うに事欠いて不満があるのか...だと、

そんなの......不満だらけに決まっているだろうがぁぁっ!」


「いいか、よく聞けおっさん!リコット王女様が困惑しておられるのはな、

この城に代々伝わる記述では、この世界へ召喚されし勇者様は、全て十代だと

決まっているからなのだ!」


「それなのにどこをどう間違えたのか、お前みたいな無能そうな親父が召喚され、

リコット王女様も驚きを隠せないんだよっ!」


口を閉ざすリコット王女の代わりに、近くにいた兵士や神官が俺を睨みつけながら、

リコット王女の不満理由を吐き捨てる様に次々と説明してくる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 王女の周りの近衛兵はやからばっかりですか。国の品位が推し量られますね。
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