第二十二話・ドラゴンの目
そっか...やっぱりこの世界にも盗賊がいるのか。
「あ。それじゃ、リタイの町へ向かう途中で盗賊そいつらと出くわす可能性も
あるって事か?」
「そだねぇ。あ、因みにこのままリタイの町へと歩いて進んだら、確実に
盗賊達と鉢合わせになっちゃうかな?」
「――へ!?」
ルコールがリタイの町へ向かう道先をジィィーと見つめると、露骨に嫌な
顔をして首を左右に振り、この道の先に盗賊がいる事を俺に伝えてくる。
「は、鉢合わせって......ま、まさか盗賊達が、この先で活動しているのか?」
「うん。この道をずっと進んだ先で、盗賊の連中が誰かの馬車を襲って
キャッホーをしているみたいだよ♪」
ルコールが道の先を指で差して、俺に盗賊出現中のお知らせを伝えてくる。
「ほ、本当にこの先に盗賊がいるのか?俺には全く何も見えないんだけど?」
俺はルコールの言う先を、凝視してジィィーッ見つめるものの、その瞳には
盗賊の盗の字も映り込んではこなかった。
「ハァ、馬鹿だねぇ~レンヤは♪盗賊がいるのは、大体ここから数キロ
離れた場所だよ。普通に見たって見えるわけがないじゃんか♪」
バカな事を述べる子どもを見るかのように、ルコールがケラケラと笑う。
「な!?み、見えるわけないって...じゃあ、お前にも見えていないって
事じゃんか、嗚呼、もしかして俺をからかったのかっ!?」
俺はケラケラ笑うルコールを見て、騙されたと言わんばかりにプンプン怒る。
「イヤ、あたしはハッキリと見えているよ?だって、ドラゴンの目は
数キロ先もクリアに見通す事ができるんだからねぇ♪」
あ、そうだった...
こいつってば、こんな見た目をしているけど、元々は強面なドラゴンさん
だったわっ!
あれだけ恐怖し、恐れ戦いたドラゴンだったというのに、おっさんの
記憶力って、ホントど忘れて多くてさ、何か哀しくなってくるなぁ。
何かの作業中にさ、後からやろうと思っていた事を途中でスッカリと忘れ、
数時間後にふと思い出す事の多い事、多い事。
何なんだろうね、この記憶の薄さはさ。
ホント、まさに鶏の如し!
いや...鶏の方が頭がいいかも。
あまりにも自分の頭の出来の悪さに呆れ変えてしまう俺は、思いっきり
モチベーションを落とすのだった。




