第二十一話・盗賊って、やっぱりいるの?
「だぁぁぁあもうっ! 遅い! 遅すぎるぞぉぉぉおおっ!!」
俺の歩く歩数以上の早さでスタスタと歩いているルコールが、いつまで経っても自分に追い付いて来ない俺に対し、膨れっ面でプンプンと怒ってくる。
そして両膝に手を置き、ゼェーゼェーと息を乱している俺に向かって、
「ほれほれ~休んでいないでさっさと歩けやぁぁあ~~! そんなスピードで歩いていたら~あっという間に夜になってしまうぞぉぉぉお~~~っ!!」
ルコールがブンブンと両腕を振りながら、大きな声で発破をかけてくる。
だがしかし肝心の俺はめっちゃ中年のおっさんなので、若者?の駆け足に合わせるなんてトンでもなく、おっさんらしい速さで歩きを再開する。
そんな俺を見たルコールが急かす様に、
「もっと、速く足を動かせやぁぁあっ!」
だの、
「気合いと根性を見せろよぉぉおっ!」
だのと罵ってくるが、俺はそれを完全に無視する。
「......ったく、無茶ばっかり言いおって」
おっさんの俺がそんな速度で歩いたら、リタイの町へ到着する前に体力が確実にゼロとなってその場に倒れ込んでしまうのは目に見えるわ。
なので、ルコールの戯れ言は絶対に却下な方向でいく。
そんな俺の態度に業を煮やしたのか、ルコールが俺に向けて人差し指をビシッと突き出すと、
「じゃあさ! もういっそのこと、あたしがドラゴン状態になってレンヤを背中に乗せて空を一気に飛んで行くってのはどうよ?」
...と提案してくるが、
運の無い俺の事だ。
きっと、いや絶対に、リタイの町に向かう途中でルコールの背中から落ちてしまい地面へとまっ逆さま、そんなイメージしか思い浮かんで来なかったので、俺は首を左右に大きく振って却下の言葉をルコールに返す。
そんなワケで、時間が掛かるが確実にリタイの町へと辿り着けるであろう、徒歩移動を選ぶ俺だった。
「もう! 背中から落ちるから嫌って...いくらなんでも男らしくないぞ、レンヤ!」
「チッチッチッ。そこは可能性を重視した現実的な考えだと言ってくれ!」
ジト目で呆れてくるルコールに、俺は人差し指を小さく左右に何度か振ってフッと鼻で笑った後、ニヒルな顔をしてルコールの言葉を否定する。
「やれやれ。これは野宿コース決定みたいだね......」
「の、野宿!?」
「何「ええぇぇ!?」っていう顔をしているのよ! そんなの当たり前でしょうがっ! 今の移動スピードで歩くんだったら、その野宿を入れた次の日の夕方前くらいにギリギリ着くかどうかって感じなんだからっ!」
「......あはは、だよねぇ。やっぱり中年の移動スピードで歩いていたら大体そんなもんだよねぇ.......」
まぁ別に野宿をするのは構わない。
一応、テントセットや食い物はあの城から拝借しているので、野宿をするのに何の支障もない。
だけども俺にはひとつ気掛かりになっている事があった。
「......なぁ、ルコール。ちょっと聞きたいんだけどさ、この世界に....その...と、盗賊っているのか?」
俺が気になっていること...
それは野宿をしている時に、盗賊から襲われるかもという可能性だ。
そんな俺の疑問に対し、
「ハァ? 何を言い出すかと思えば...そりゃいるに決まっているでしょうが! っていうか、あいつらがいない世界ってあるの?」
ルコールが呆れた口調でそう答え、軽い嘆息吐く。
そう言われれば、俺の世界にもそんな感じの連中がいるっていう話をテレビで聞いた事があったよ。
それを思い出した俺は、世界の貧富さというものはどこの世界でも一緒なんだなと思い、思いっきり気が滅入ってしまうのだった。




