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第十二話・おっさんの強さ



―――レンヤがドラゴンと対峙していたその頃、ギガン城では。




「こ、これはいったい...どういう事なんですか!?」


何やら召喚部屋が騒がしいと気づいたリコット王女が、ドアを開けて

召喚部屋を覗き見ると...


そこに映るあまりの無残な風景に、信じられないといった表情で目を

見開き、喫驚してしまう。


何故なら、その目線に映る先には、鎧やローブ等...着ているもの全てを

剥ぎ取られた兵士や神官達が、ほぼ全裸状態で地面に転がっていたからだ。


そして、そこら中で転がっている兵士や神官達全ての顔が、倍近くにも

腫れあがってしまう程ボコボコにされており、最早その姿は知り合いが

見ても誰が誰やら、その見分けも見当もつかない状態だった。


そんな中、唯一意識があったドアの番人をしていた兵士のひとりが、

リコット王女によろよろとした足取りで近づき、


「うう...うぐぐぅぅ、ず、ずいまぜん、リコット王女ざまぁあぁあ......。

あ、あの男にじてぇぇ、やられでじまいまじたぁぁ......」


今にも死にそうな声で、何故こんな状況になったのかを語ってきた。


「あ、あの男とは...私が召喚した...先程の成人男性の事でしょうか?」


リコット王女がこの場からいなくなっているおっさんに気付き、兵士へ

成人男子こと、おっさんの仕業なのかと問いかける。


「ばい...。一瞬...ほんどうに一瞬でじぃぃたぁ......ぎ、気づけぇぇば...

わ、我々、ぜ、全員...あ、あの男に...ボゴボゴに叩きつぶざれで...お、お、

おりまじぃぃたぁぁぁぁ......うう、ぐう...ガハッ!!」


リコット王女に伝える事を伝えた兵士は、その場にガクンッと崩れ落ちる。


「うへぇ~すごい光景だねぇ~!筋肉な裸がいっぱいだよ~!これがもし

女性の裸だったら、めっちゃ嬉しかったんじゃないの光太郎君~♪」


「そ、そんな事あるかっ!全く...キミは普段からいつもそんな調子なのか?」


からかわれた黒髪の少年こと...『九条院光太郎(くじょうこうたろう)』がジト目の表情で

マイペースな芽々に対し、呆れ口調をこぼす。


「しかし...オレ達がこの部屋に入って十分も経っていない筈なのに、この数を

全滅させるなんて......」


目の前の部屋の至る所に転がっている兵士や神官達を見て、その恐ろしさに

光太郎は驚愕してしまう。


「更に見て...壁や飾り物も粉々だ......」


久美が指差した先にある、キレイな絵が書いてあった壁や、キラキラ輝く

宝玉が散りりばめられていた飾り物が、まるで怪物にでも殴られたのかと

見紛うように粉々のグシャグシャ状態になって、部屋中に錯乱している。


「しかし何故、彼はこのような暴挙に出たのでしょうか?」


「「「え!?」」」


神妙な面持ちでそう呟くリコット王女の天然な発言に、芽々達はビックリして

目を丸くしてしまう。


「え!?とは、一体どういう事なのでしょうか??」


それに気づいたリコット王女が、ハテナ顔をして芽々達を見る。


「どういう事も何も...こいつらが露骨におっさんの事を差別していたからに

決まってるじゃん!勝手に呼び込んで置いて、あんな態度を取られちゃったら、

流石に良い大人でも、キレちゃうっていうのっ!」


芽々が先程のおっさんに対する兵士達の蔑視な視線や言葉使いを思い出すと、

苦笑が口からこぼれてしまう。


「ん...それにリコット王女も言える事......」


「え!わ、私もですか!?」


「そう...あなたもこいつらと同じで......ボク達とおじさんに対する態度が

全然違ってた.....。つまり、リコット王女もおじさんを差別していた.....

そうおじさんに取られても仕方がないと思う......」


「そ、そんな!?わ、私はあの御方に差別なんて事、した覚えは...あり...

ま......せ......」


ハッ!?


久美の言葉を聞き「私が差別を?」とリコット王女が困惑した表情で首を

傾げて思考していくと、ふと何かに気づいたのか、リコット王女の表情が

みるみる真っ青へと変わっていく。


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