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最上級回復ポーション

 泣きわめくユリを抱きしめていたノンとユリのお父さんとお母さんにも目に涙が溜まっていた。

 ノンは隆二が最上級ポーションを持っていることを事前に知っていたためか、泣くことはなかった。それでも、泣くのをこらえているのが隆二には見て取れた。

 それを見ながら、隆二は準備を始めた。

 感動的な場面は苦手だが、避けているわけでもないのでこのまま眺めてもいいが、効率を重視したいので先に進む。


 しかし、ここで1つ問題があった。ポーション類はコルクで蓋をしているので、それを剣やコルク抜きなどで開けなければいけない。コルク抜きをノンのお父さんに借りたいところだが、感動的な場面をぶち壊したくわない。

 ということで、無理やり開けることにした。

 隆二のSTR()は尋常じゃないので大丈夫だろう。

 コルクの部分を握る。

 キュポンッ!とコルクが抜かれた音が響いた。

 あっさりと本気を出すことなく、ほんの少しの力で抜く事ができた。戦闘中にも考えたが、自分の力がどのくらいなのかを把握しなければならない、と隆二は思った。

 

 その音に反応し、ノン一家も隆二の方を向いた。

「ああ、すみません。御見苦しいところをお見せしてしまいました」

「いえ、大丈夫です。早速飲みますか?」

 酒を進めるような軽さで最上級ポーションを渡してくる隆二に、ノンの両親はわたわたする。

 その光景を見て、笑いながらユリは隣にいるノンに話しかけた。

「リュウジってもしかしてちょっと天然入ってる?」

「あー……。少し世間とずれているとこはありますねえ。数日しか一緒に行動してませんが、どこからかたくさんゴールドが出てきますし、なんか高価な物も持ってますし、不思議な人ですね」

「そうね。最上級ポーションをあんな簡単に譲るような人は王族にもいないもんね。でも、凄くいい人っていうはわかったわ」

「そりゃあ、凄く優しいですよ。普段は素っ気ない感じがありますけど優しいです」

 久しぶりに姉妹で話す時間があったからか、2人の会話は盛り上がった。

「ダンジョンとか行ったのかな?リュウジは強かった?」

「はい。もの凄く強かったです。ダンジョンの中に狼男がいたんですけど、私には目に追えない速さで戦っていました。しかも傷1つ作ることなく、倒していました!」

「ノンも結構レベルが高いのに、目で追えないってすごいね。レベル聞いた?」

「それがですねえ、教えてくれないんですよ!今思えばリュウジさんは自分のことは話しませんね……」

 ノンが知っている隆二の情報は精々、レベルが自分よりも高いことくらいだった。

 それ以外は全て曖昧に返された覚えがある。

 ここで、危険を察知した隆二がノン達に話しかけた。

「な、何の話してるんだ?ほら、ユリ。さっさとポーション飲むぞ」

「オッケー!」

 自分がこれからどのくらいまで生きていけるかという重要なことがポーションを飲むだけでわかる。

 そのポーションを飲むことをこんな軽さで受け答えるのはおかしいだろう。

 しかし、今まで色々な案で自分の状態異常を治そうと、ユリも周囲の人も頑張った。

 それは全て駄目だった。

 最後の希望は最上級回復ポーション。

 これがだめだったら、さすがに諦めがつくというものだ。

 後は、最上級回復ポーションを賭けるだけだ。

「ほら」

 何時もの軽さで隆二がコルクの抜けたポーションをユリに差し出してきた。

 受け取った後、ユリは数秒黙っていたがやがて、

「いきます」


 ゴクゴクと液体が喉を通る音がした。

 そして、飲み干した。

 即座にユリは自分のステータスを見る。


 ポツリと。

 小さな声で、だが確かな声でユリが言った。


「状態異常が……なくなってる…!」

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