四天王
「そうですよ。ご存知ない方が多いですが、ガレス殿は元凄腕冒険者なのですよ」
ギルド本部に行く度に顔を合わせていたガレスが、『四天王』だということに驚く隆二とノン。
「いつも、ガハハハ笑うただのおっさんだと思っていたのに」
「豪快な人でしょう?冒険者現役時代には『破壊神』と言われていたのですよ」
確かに服を着ていてもわかるくらいにガレスには筋肉があった。それに加え豪快な部分も考えれば、現役時代の呼び名が『破壊神』だというのも、隆二とノンには理解できた。
意外な人が重要な立ち位置にいるんだな、と隆二は考えたのと同時にもしかしたらリンデさんも凄い人なのかも、という疑惑が湧いてくる。
「他の人はどんな方なんですか?」
元旅人と剣闘士大会優勝者というのも気になる。というか、隆二的には旅人と冒険者の違いがよくわからないのだが。
「元旅人ゲルド・カームという人は、旅中に遭遇したモンスターを討伐しまくった経験を活かし3年前の『スフィンクス』復活時に尽力した功績が認められ、『四天王』に選ばれました。比較的、人当たりのいい人ですね」
隆二には『スフィンクス』がどれだけ強いかということはわかりかねるが、通常のモンスターとは比べ物にならないほど強いのだろう。
ここで、冒険者と旅人の違いを説明しよう。
冒険者と旅人の違いとはギルドに冒険者登録をするか否かという部分にある。
冒険者はギルドに登録をし、ギルド本部に張り出されているクエストから討伐するモンスターを選択する。そして、討伐したモンスターのドロップ品をゴールドに変換して稼ぐ。
旅人は、行き当たりばったりでモンスターを討伐しそのドロップ品を近くの国や町で売ってゴールドを稼ぐ。
モンスターを討伐する、という部分では同じなのだが、武器や防具を支給されない旅人の方が危険は多い。
「次に剣闘士大会優勝者ガイ・ベールは、ステルダム国・ストラスフォード国含め同盟国で行われる、騎士団を除く剣闘士の最強を決める大会です。ガイさんは5年連続で優勝しており、行くところ敵なしと言われております。少し、性格に問題のある方ですね。あ、リュウジさんも剣闘士大会に参加してみたらどうですか?年ごとに賞品は違いますが、毎年豪華ですよ」
「考えておくよ。豪華賞品次第だけど」
隆二が欲しいのは、それほど凝った物ではなくていいから日常的に使える便利アイテムだ。
「じゃあ、その『四天王』にリュウジさんを追加ということで」
「待て待て待て!」
「はい?」
流れ作業のように、隆二の『四天王』入りを決定するオルリナに隆二が待ったをかける。
「『四天王』に入るのって決定?」
「問答無用で決定です」
そう言って、オルリナはピラピラと何かの紙を隆二に見せる。
「これ。報告書ですね。『リュウジを四天王の1人に追加する』と書いてあります。王にこれを渡せばこっちのモンです」
「あ゛ーー!俺に拒否権はねえのかあーー!」
「残念ですね。あ、四天王会議には私も呼んでください!面白そうなので」
拒否権の有無について騒いでいる本人とは対照的に、当事者ではないノンが前向きなコメントをしている。
それを遠目で見ている2人。エミリーとユリア。
「あらまあ。リュウジさんは四天王になるのですね。イケメンに加え地位が上というのは惹かれますわ。エミリーちゃんも関わりやすくなって嬉しいでしょう?」
「何で私が喜ぶ前提なの!?」
「だってー。王子様達とお話していたときもチラチラとリュウジさんのことを見てましたのを私は見ましたよ?」
「止めてー!見てないからー!」
エミリーが手で顔を覆って騒いでいる。
何時もの時もユリアが一方的にエミリーをいじっているのだが、果たしてエミリーがユリアをいじれるときがくるのか。




