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結界

 キエル・デュランダとオルリナ・エースト少年を見て驚愕していた。

 2人共、騎士団団長ということだけあってレベルはそれぞれの国で1番高い。

 キエルが『LEVEL210』。

 オルリナが『LEVEL213』。

 ちなみに、レベルは上がるにつれてレベルアップに必要な経験値が多くなるので、2人のこのレベルはこの世界でも上位に入るほどの高さだった。

 話はまったく変わるが、『結界』という魔法について説明しよう。

 『結界』というのは大きく分けて2つの種類がある。

 1つは結界を張った場所を完全に孤立させる。外からの侵入は不可能。中からの脱出も結界を展開させた者が解除しないとできない。

 もう1つは、その範囲で魔法、スキルを使用不可にする。個人のレベルによって制限できる魔法やスキル数は決まっているがキエルやオルリナほどのレベルになると、ほぼ全ての魔法、スキルを使用不可能にできる。これも結界を展開させた者が解除しない限り、その範囲で魔法、スキルは使用不可が続く。

 こうも『結界』が有能だと、結界を張ったモン勝ち、ということになるがそうもいかない。

 結界は展開させた者が解除する以外で、解除する方法がある。

 それは圧倒的な力で破壊すること。

 力で破壊するということは必然的にスキルや魔法を使うことになる。

 結界内で魔法やスキルを使う場合、結界を展開させた者より高レベル者でないと発動できない。

 

 今回の場合はキエルとオルリナが協力して、1つの協力な結界を張った。

 2人のレベルは合わせて423。

 つまり、2人の結界を隆二が破った時点で隆二のレベルが『LEVEL423』よりも高いということになる。

 そして、『LEVEL423』という高レベルの者は発見されていない。

 『発見されていない』だけなのだが、公になっている中では確実に1番レベルが高いということになる。



***



「私達の結界が破壊された……!?」

 隆二は魔法を発動させただけで、周囲から驚きの顔で見られたので、あれ?俺なんかした?と内心でヒヤヒヤした。

 オルリナは目を見開いている。

「お前…何者だ」

 キエルは腰に掛けている剣の柄に手をかける。

「へ?冒険者ですけど」

「レベルは?」

 隆二は、ヤバイと思った。

 多分、何かしらのアクションで自分のレベルが高レベルだということが相手側にばれてしまったのだろう。

「まあ、そこそこですかね…」

 目を逸らしながら、いつものうやむや作戦を行った隆二だが、

「レベルは、400より上か?」

 更なる追及を受けてしまう。

 自分のレベルは公に公表していいものではない。それが隆二の認識だった。

 だから。

「はい。400より上ですね」

 自分の現在の『LEVEL1972』という真実を隠し、『レベル400』くらいという情報を与えることで、自分のレベルを隠蔽することにした。

「『LEVEL400』だと!?何をしたらそこまでレベルが上がるのだ!?」

 今まで黙って聞いていたストラスフォード国国王ティル・ファングが隆二に聞いた。

「モンスターを狩りまくったらいつの間にか」

「騎士団にもモンスター討伐によく行かせているが、そこまでレベルが上がる者はいないのだが」

「もっと頑張れってことですかね」

 本当にモンスターを狩っただけでここまでレベルが上がるかは、隆二も分かっていない。

「まさか…私達よりレベルが高い方と会えるとは思いませんでした」

 驚きから復活したオルリナが隆二を尊敬の眼差しで見た。

「あ、リュウジさん彼女を落としましたね」

 隆二の横にいるノンが、やや不機嫌気味に言った。

「バカ言え。どこで落とす要素があった?」

「レベルが高いとことか。ていうか、私もそこまでリュウジさんのレベルが高いとは知りませんでした」

「まあな。誰にも言っていなかったから」

 その後、エミリーやテミス、ステルダム国国王マクルスなどにも質問攻めされた隆二だが、全てうやむや作戦で切り抜けた。


「では、今日エミリー様をお呼びした理由を言います」

 キエルが、落ち着きを取り戻した隆二達に話す。

「今回、わが国の王女と共に、数々の国からお呼びした王子とパーティーをしてもらいます。まあ、ぶっちゃけて言うと、将来の結婚相手を決めてもらう感じですね」

 それを聞いたエミリーは、

「え――――――!?」

 盛大な声を響かせた。

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