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オスカとの戦闘(6)

「最初から、こうしておけばよかったんだ!」

 『白い爆発』によって周囲は吹き飛び、白い煙が立ちこめる。

 隆二の攻撃を真正面から受けたオスカは、吹き飛ばされていた。

「使用後の行動不能が嫌だからと思って避けていたのが間違いだったんだ。誰かを危険に晒す前に『無に還し(ノンイレーズ)』を使えばよかった」

 隆二が最初から『無に還し(ノンイレーズ)』を使っていればこの戦いは、もう少し早く終わっていただろう。

 しかし、使用後の行動不能ペナルティは時間が長く、使用をためらうのも無理はないだろう。

 これでこの戦いは終わった、そう思ったときだった。


「さす、が、に効く、な…。しか、し狼男の、再生能力を舐めても、らっては困るのである」

 煙の奥で、少しずつ動く影が。

 立ち上がり、ゆっくりとこちらへ向かってくる。

「それが、本来の力ではない、であろう?それなら多少は、怪我をするが、生き残ることはできるのである」

 途切れ途切れだった言葉が時間が経つにつれ繋がっていく。

「なるほど…生半可な力ではお前は倒せなかったか」

 ようやく状況を理解した隆二は、本来の力を使うべく剣に力を込める。

「受けてたとう。我は貴様を倒すのである。そして『無に還し(ノンイレーズ)』を手に入れる」

 上空へ飛翔した隆二は、特攻隊のように下降しながらオスカに突撃する。


「全てを無に還す!」


 『白い爆発』がボロボロになったダンジョンに上書きされた。

 今度こそ、オスカの意識が飛んだ。



***



 数分前。

 ストラスフォード国城下町。

「お前は…!ハットの男!!」

 ルイス・ハーンの声を聞いたノンは杖を構える。

「おっとっと!そ~んな物騒な物を取り出しちゃあだめですよ!穏便に!穏便に行きましょうよー」

「…穏便に?」

「お前は『世界の記述』の場所を知っているでしょう?その場所を教えてくれればいいんですよ」

「嫌です!友人を危険な目に会わせるわけにはいきません!」

 ノンは確固たる意志を持ってそう言った。

「…ならしょうがないですねえ。力ずくでも教えてもらいますよ!」

 ルイスはハルパーを取り出す。

 ノンの肩を切り落とすために、ハルパーを振り下ろす。

 カキィィン!!という音を響かせ、ノンは杖で受け止めた。

 しかし、体格さと近接戦闘の慣れの影響で徐々に、ノンの体が後ろに押されていく。


 当然、町中で武器を取り出したら人々は逃げ惑うだろう。

 ここでもそれは起きていた。

 冒険者が少ないためか、普段武器を持ち歩く人が珍しいこの町では刺激的すぎるものだった。

 悲鳴を響かせ、逃げ惑う町人たち。

 恐怖は伝染する。隣の人から隣の人へと。最終的には何が起きているか状況を掴めていないのに、ただ怖いモノが来る、とだけを把握し逃げる。

 

 その騒ぎの中心は、さらに過激さを増していた。

「ぐぁはっ!?」

 つばぜり合いをしている最中にルイスの片方の拳がノンの腹に直撃する。

「ちっ。最初から敵わないことは分かっているでしょう。あんまり時間を取らせないでほしいですね」

 腹を抑えてうずくまるノンにルイスは少しイラつきながら言った。

 咳き込み、少し苦しそうにしながらも、

「そういうわけには、いきません。リュウジさんに迷惑を、かけないように、しないといけませんから」

 ノンの芯は折れていなかった。

 自分じゃ戦闘では隆二の役には立てないから、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないと。

「そうかじゃあしょうがないですね」

 ノンの芯を折るようにルイスのハルパーが振り下ろされる。

 ノンは思わず目を瞑る。


 

 だが。

 いつまで待ってもノンにハルパーが振り下ろされることはなかった。

「その武器を捨てろ」

 恐る恐る目を開けたノンが見たのは。

 ストラスフォード国に行く前に会った、ステルダム国王女エミリーと侍従のテミスだった。




 

 『限界突破(リミットブレイク)』のあるダンジョンの戦い

 現在の状況

神崎隆二…戦闘中。エクストラスキル開放状態

ノン・マティス…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

ルイス・ハーン…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』

仮面の男…戦闘可能。現在地不明

 戦闘不能者

オスカ・ヘンリー

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