希望の乱入者
エミリーたちがルイスと相対する数分前。
「あっちらへんが何か騒がしくない?」
「そうですね。何かもめ事でしょうか」
ストラスフォード国城下町関所方面から何か叫び声のようなものが、エミリーたちの耳に届いた。
「ダンジョンもあちらの方面ですから、ついでに見ましょう」
エミリーが返事をしようとしたとき。
ドゴォォォン!という音を響かせ渦中のダンジョンでまた、『白い爆発』が起きた。
「やばいよ!早く行こう」
先ほどよりも速いペースで走っていく。
関所前に近づくにつれ叫び声はさらに大きくなっていく。
ほとんどの人が血相を変えエミリーたちの横を通り過ぎる。
彼らの顔は、まるで迫りくる何かから必死に逃げているような様子だった。
人混みの中を掻き分け進んでいくと、ポッカリと空いた空間を見つけた。
中央にいるのは、決して大きいわけではないが男性と認識できるほどの身長を有しているハットを深く被った男。
刃の部分が曲がった短剣のような武器を手に持っていた。
そしてもう1人。
ショートカットで内まきの黒い髪に黒いストローハットをかぶっている少女。黒いポンチョの下には、黒いワンピース、足にはニーハイソックスを着ている。
彼女は、隆二と一緒にダンジョンに行ったノン・マティスだった。
2人は杖と短剣のような物でつばぜり合いをしていた。
「ノンちゃん、あれは襲われているの?」
「とにかく急ぎましょう!」
そのとき。
エミリーたちの目の前で状況が変わった。
男がノンの腹を片方の拳で殴った。
ノンは後ろによろめき、腹を押さえてうずくまった。
その後、2人は言葉を少し交わすような素振りを見せた後、男の方が武器を高く掲げた。
「まずい!」
エミリーが反応するより早くテミスが2人に向かって走り出す。
***
「その武器を捨てろ」
テミスの怒気を含んだ声が、町に響く。
ルイスが振り下ろしたハルパーはテミスの剣によって受け止められていた。
「もう大丈夫だからね」
「エミリーさん…テミスさん…どうしてここに?」
遅れてやって来たエミリーがうずくまっていたノンに優しく話しかけた。
見知っている人を見て安心したノンは少し冷静さを取り戻し質問した。
「ステルダム国とストラスフォード国が貿易の話をするから、ついてきたの」
「そうだったんですか」
「まあそれはどうでもいいとして。これはどういう状況?」
ノンは少々言うのをためらったあと、
「本当はダンジョンに行く目的はなくなったんです。しかし、突然強制転移でダンジョンに連れて来られたあげく、敵を倒すために隆二さんはダンジョンに残ったのです。私は隆二さんのテレポートのおかげで一足先にダンジョンから抜け出せれました」
「また師匠は…1人で戦っているのですね」
「ダンジョンから抜け出せれたのはよかったのですが、敵であるあの男に襲われまして」
「オッケー!事情は理解できたよ」
そう言うと、ノンの目線に合わせてかがんでいたエミリーはテミスに加勢するべく立ち上がった。
ノンが見ると2人は互いに、武器を構えて睨みあっていた。
「おいおい。とんだ邪魔者ですねー。部外者は黙っててもらえませんかね?」
「私達はノンさんの友人なのだ。黙って見過ごすわけにはいかんだろう」
ルイスの迫力に負けずとも劣らない迫力をテミスは出しながら答えた。
「何を目的でノンさんとリュウジさんを狙ったのかは知らんが、ここからは3対1だ」
「全力でいくわよ!」
エミリーとテミスが地面を蹴る。
『限界突破』のあるダンジョンの戦い
現在の状況
神崎隆二…戦闘可能。現在地ダンジョン
ノン・マティス…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』
ルイス・ハーン…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』
エミリー・スチュアート…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』
テミス・コロミー…戦闘中。現在地『ストラスフォード国城下町』
仮面の男…戦闘可能。現在地不明
戦闘不能者
オスカ・ヘンリー




