表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われた転校生  作者: にごう
2章:佐久野色乃
51/80

51話 意志と決意

私がそう言った瞬間新瀬君の顔が今まで以上に驚いている顔に変わった。

『呪われてるってどういうことなんですか?』

『私に関わった人はどんどん不幸な出来事が起こるようになるの。あなたに今起こっているのもそのせいだと思う』

『そんな馬鹿な!?』

新瀬君は信じようとしなかった。確かにそんな非現実的なことを突然言われて信じろっていうのも難しい話である。私はどうしたらいいのか悩んだ。

『今お前が病院にいるのもこうして記憶がなくなっているのもそれのせいだ。それでも信じられないか?』

羽野君が新瀬君にそう言った。すると新瀬君は羽野君を不思議そうな目で見た。

『ちょっと待って下さい。もし彼女に関わると不幸な出来事が起こるなら何故あなたは怪我も何もしていないんですか?』

新瀬君がそう言うと羽野君も困った顔をした。

『今はそうだ。でもどうしてなのかがわからない。お前が事故に遭うまでは俺にも起こっていたんだ。推測だが何かが変わってきているのかもしれない』

『そんなの納得いくはずがない!二人して僕をからかっているんじゃないですか?』

彼は何を言われても信じないぞといった感じになってしまった。


それから私達は新瀬君にどう言えば信じてもらえるのか考えていたが突然新瀬君が口を開いた。

『でも仮に関わると不幸になるってわかっているのにどうして僕は関わっていたんですか?』

そんな質問が彼から出た。新瀬君の中で何かが噛み合わなかったのであろう。

私と羽野君はお互い顔を見合わせた。そして羽野君が頷いた。俺から言うと言ったように見えた。

『それはお前が佐久野さんを救いたい。呪いから解放したいと言ったんだ。真意は俺達にもわからない。ただお前が決めたことなのは間違いない。だから俺もお前について行ってた。』

『僕が・・・本当にそう言ったですか?』

『そうだ』

すると新瀬君は悩み始めた。どうしたらいいのだろうか。そういった風に頭を押さえて考え始めた。それを見た羽野君が新瀬君の肩に手を置いた。そして私に顔を向けると軽く顔だけでお辞儀をした。

『でも今はお前に記憶がない。この先佐久野さんとどうするかはお前が決めろ。俺達は強制はしない』

お辞儀の意味は私へのお詫びだったのだ。もし新瀬君がもう私と関わるのを止めると言うかもしれないからだ。でも私も羽野君と同じ気持ちだ。今の新瀬君に無理矢理お願いをして嫌われてしまう方が辛い。だから羽野君はきっと私の代わりに言ってくれたんだと思う。


そしてしばらく新瀬君は黙ったまま考え続けていた。時折首を振ったりしていたが答えには確実に近付いているといった風に見えた。

最後に新瀬君が首を縦に振って私達の方を向いた。

『結論が出ました』

私達は息を呑んで次の言葉を待った。

『佐久野さん。僕はあなたを救います。例えこの先何があっても』

そう言われた瞬間その姿が色君と重なって見えた。私は涙が出そうになった。しかしそれをぐっと堪えて私は聞いた。

『本当にいいの?』

『はい!』

新瀬君は強くそう言った。その目には強い信念があるように見えた。

そして私はこの先どんな手段を用いてでもこの呪いを解くと心に決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブログ にごうきち Twitter @nigo_do_vi
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ