44話 新瀬の安否
目を開けると天井が見えた。ここはどこだろうと思い私は辺りを見渡した。どうやら病室のようだ。そうだ、私は新瀬君が事故に遭ってその場で気を失ってしまったんだ。新瀬君はどうなってしまったのだろう。私は不安でいっぱいになった。
すると病室の扉が開いたのだった。そして羽野君が入ってきたのだ。
『羽野君!』
『佐久野さん。よかった起きたんだね。一時はどうなるかと思ったよ』
羽野君は喜んで近付いて来たがどこか元気がなかった。それによく見ると羽野君もどこか怪我をしていた。
それより新瀬君の安否はどうなったんだろう。
『羽野君。新瀬君はどうなったの?』
『・・・・・・今は集中治療室にいてる。なんとか一命は取り留めたみたいなんだけど、まだ気は抜けないらしい・・・・・・』
『そんな・・・』
その時また私はあの夢の言葉を思い出した。
『もしかしたらこの先大事な人を失うかもしれない・・・』
また少し頭痛がしたが今度は大丈夫だった。やっぱりあの声は色君なの?大事な人って新瀬君のこと?わからなかった。
お願い色君・・・・・・新瀬君を守って。私はそう願った。
羽野君が心配そうな顔をして私を見ていた。
『佐久野さん。もうすぐご両親が来ると思う。俺達を助けてくれた人が一緒に佐久野さんのご両親にも連絡してくれだんだ。ただ連絡先を調べるのにちょっと荷物見せてもらったんだ。ごめん』
『ううん、大丈夫。ありがとう』
私がそう言うと病室に誰かがまた入ってきた。
『色乃!大丈夫なの?』
お母さんだった。とても心配した顔をしていた。私は大丈夫だよと笑顔で答えた。
『それとね、そこで新瀬君のお母さんに会ったのよ。そしたら是非あなたに会いたいとおっしゃったから一緒に来てもらったの』
すると見たことのない女性がお母さんの横から顔を出した。とても見た目の若い綺麗な人だった。お姉さんと言われてもわからないくらいだ。
『こんにちは、色乃さん。新瀬典貴の母です』
『こんにちは』
私はそれ以上何て言ったらいいのかわからなかった。私のせいで新瀬君があんなことになっているからだ。
すると新瀬君のお母さんは笑顔を作って話してくれた。
『とでも綺麗なお嬢さんで驚いたわ。典貴にはもったいないくらい』
『え?』
私は驚いた。どうしてこんな状況でこんなことが言えるのだろうかとも思った。驚いた顔をしていた私を見て新瀬君のお母さんは少し笑った。
『典貴からあなたのことは聞いてるのよ。まあ聞いたのは昨日だけどね。そりゃ最初は驚いたわよ?あなたが呪われていてあの子が不幸にあうなんて言い出したから』
『じゃ、じゃあどうしてそんなに落ち着いていられるんですか?新瀬君は今もどうなるかわからないんですよ?』
『そうね・・・・・・でもあの子が言ってたから。自分は何があっても絶対死なない。あなたを助けるんだってね。正直心配もあるけど私はあの子を信じてる。だからきっと戻ってくるわよ。それに今あなたを見たらどうしてそこまで真剣なのかわかったから。色乃さんすごく可愛いんですもの。あの子が惚れるのもわかるわ』
そう言われて私は顔が赤くなった。それと何故か安心した。確信はないけど新瀬君はきっと大丈夫。私達の元に返ってきてくれる。色君にそんなこと言ったらどんな顔するだろうか?そう思って私は少し笑ってしまった。
それからしばらくして新瀬君は集中治療室から出られるようになったと病院の先生から連絡があった。
そして私達は新瀬君の元へ急いだ。




