36話 別れと新たな出会い
あの事件があってから1年が経とうとしていた。私達は中学生になり新しい友達が出来たりもした。
しかし私の噂を聞いたり実際に起こってしまった不幸な出来事を目の当たりにした友達は少しずつ私の元から離れていったのだ。
私の側にいたのは昔から数人の友達と親友の葉月だけであった。
ある日のことである。突然葉月以外の友達が全員私の元に集まってきたのだ。
『色乃・・・ちょっと話があって』
皆どこか痛々しそうに絆創膏が貼られていたり、包帯が巻かれていたりした。そして皆の表情は良くなかった。それを見て私は嫌な予感がした。
『私はね、本当は色乃と一緒にいたいし遊んだりしたいの。でも・・・色乃と一緒にいると怪我や病気が絶えない。だからごめんね・・・』
友達の一人がそう言った。私は浮かんでくる涙を堪えながら聞いた。また別の友達が話し出す。
『お母さんが友達のお母さんに色乃のこと聞いたらしくて、それで私に色乃にはもう関わるなって・・・本当にごめん・・・』
彼女は少し泣きながらそう言った。自分の子供の今の状況を見てさらに危ない目に遭うかもしれないと思えば親としてそう言ってしまうのも仕方がないと思った。
それから一人一人私に理由を告げた。全員泣きそうな顔をして話し続けた。私も聞いていて途中で涙が止まらなくなった。本当は一緒にいたいと思っていてくれてる。そのことだけが救いだった。
そして全員話し終わると私の元から去っていった。
それから時を見計らっていたように葉月が私の元へやってきた。
『私は何があっても側にいるからね!』
『はづき・・・』
私は葉月にしがみついて声を出して泣いてしまった。葉月は私の頭を撫でて大丈夫だよと言ってくれた。
私の側にいてくれるのが葉月だけになってから葉月に起こる不幸は日を追う毎に増えていった。葉月が怪我をせずに学校に来た日はなかった。
『葉月大丈夫?』
私は葉月のことが心配だった。私に関わると不幸になるのは間違いない。やっぱり私は呪われている。この時そう思った。
『大丈夫よ。私がドジなだけでこんなことなんでもない』
葉月はいつも笑ってそう言ってくれた。私はその言葉に何度も救われたが、このままではやっぱり葉月が危ないのではないかと思った。
『葉月やっぱり私・・・』
一緒にいない方がいいのか相談しようと思ったが、そう言いかけた時
『それは言わない約束でしょ!色乃は悪くない。たまたまだって』
葉月はそう言って私にそれ以上の言葉を言わせなかった。
しかし葉月の状態はどんどん悪くなっていった。私以外の人も皆葉月の心配をして声をかけていた。それでも葉月は
『色乃のせいじゃないよ』
そう言って私のことを庇ってくれていた。でもどんどん一緒にいる私の方が辛くなってきたのだ。
葉月が違うと言ってくれてもやっぱりそうだとしか思えなかった。
それから1週間、葉月が病気で学校を休んだ。その間私はあいつのせいだという目を向けられ続けていた。早く葉月に会いたい。そう願った。
そして葉月が学校へ来た日の朝私は葉月の元へ飛んで行った。
『葉月!おはよう!もう大丈夫なの?』
『う、うん・・・』
明らかに葉月に元気がなかった。私はその理由がわからなかった。
『どうした?』
『なんでもない』
葉月はいつもの表情に戻って私の頭を撫でてくれた。それがとても懐かしく感じ嬉しかった。
しかしその日葉月の様子はやっぱりおかしかったのである。
最後の授業が終わり終礼の時に担任の先生が葉月を呼び出した。私はどうしたんだろうと思い葉月を見ていた。
『今日は田影さんから大事なお話があります』
先生がそう言った。大事なお話ってなんだろう?私にはわからなかった。
そして先生が葉月にどうぞと言うと葉月が話し始めた。
『実は今週いっぱいで転校することになりました。皆さん今までありがとうございました』
私はそれを聞いた瞬間訳がわからなくなった。葉月が転校?そんな話全く聞いてなかった。あまりの突然の出来事に私は固まってしまっていた。
葉月が席に戻りその後すぐに終礼が終わった。
私はすぐに葉月の元へ向かった。
『葉月、転校ってどういうこと?』
葉月は申し訳なさそうな顔をしていたが目には涙が浮かんでいた。
『両親が・・・離婚することになって。私はお母さんに着いていくことになったんだけど家が遠くなるから転校しないといけなくなったの。だから色乃・・・ごめん』
葉月はそれ以上何も言えず涙を流していた。私は葉月と一緒に涙を流した。それと同時にこれも私のせいなのかと思った。
葉月が引っ越す日の朝、私は葉月を見送りに来ていた。
『ずっと一緒にいるって約束守れなくなってごめんね・・・』
『ううん、仕方ないよ。葉月のせいじゃない』
『負けちゃ駄目だよ?』
『・・・うん、頑張る』
私と葉月はその後出来るだけ沢山のことを話した。これまでの日々を振り返りながら二人で笑い、涙した。
そしてお別れの時間がやってきた。
『時間だから行くね』
葉月がそう言うと私は涙が溢れてきた。
『笑って送り出してよ』
そう言っている葉月も泣いていた。しかし葉月は涙を拭くと
『絶対連絡するからね!また会おうね!私達ずっと親友だからね!』
そう言って葉月は去っていったのである。
しかし葉月からの連絡は一切なかったのである。
葉月を見送ってから私は学校へ行った。
もう葉月はいない。私は急に寂しさがこみ上げてきた。そして机に伏せて泣いていた。
そして1時間目の授業が始まる前に担任の先生がやってきた。先生は教卓の前に立つと
『今日は皆に新しい友達を紹介する』
そう言った。




