19話 異変
学校からの帰り道、俺の横には羽野以外に佐久野の姿があった。俺と羽野は、佐久野が言った言葉が嬉しすぎて頭から離れなかった。
しかし、助けると言ったのはいいが、実際どうしたら助けることが出来るのかわからないと羽野が言ったのである。そのため佐久野も含めてそのことについて話しながら帰ることにしたのだ。
学校を出てすぐ、羽野は質問した。
『佐久野さんの過去について俺も聞いていいのかな?』
羽野も関わることを決めたのにこのことについて知らせないというのはおかしな話だと思い、俺が話そうとすると
『私が話すね』
佐久野が先に話し出したのだ。俺はその姿に少し驚いた。
しばらくして全てを聞いた羽野が口を開いた。
『そんなことがあったのか・・・なんか悪いこと聞いたみたいだ』
羽野が申し訳なさそうな顔をした。しかし、佐久野は首を横に振り、大丈夫と答えた。
そして羽野は俺に質問した。
『それで前に戦うって言ってたけど、実際どうやって呪いに勝つんだ?』
そう言われると、いい答えがみつからなかった。最初は耐え続ければいいと思っていたが、実際それだけでは勝てない気がしたからだ。
『それを探すんだ!今はただ耐えるしかない…』
『確かにそうだよな。でもこのままだと勝つ方法がわかる前にこっちがやられてしまう。佐久野さん、何かわからないかな?』
羽野はここで初めて佐久野に話を振った。しかし、佐久野がこんな質問に答えられるはずがない。俺はそう思った。それから佐久野の方を見ると、佐久野は少し考える仕草をしてから答えた。
『ごめんなさい。何もわからないの…でも、普通の呪いではないと思う』
普通の呪いではないとはどういうことなのか。俺がその疑問を頭に思い浮かべた時にはすでに羽野が質問をしていた。
『どうしてそう思うの?』
『普通の呪いだったらお祓いすれば解けると思うの。でも何回してもダメだったから』
『お祓いもしてるの!?』
羽野がとても驚いていた。俺も驚いたが、羽野の驚き方があまりにも凄かったので、そっちに気をとられてしまった。すると、羽野が、
『お祓いしてもダメなら、今のところ解決策はないな。でも、きっと何かあるはずだ!それさえわかれば何とかなる!』
俺はそれに賛同した。
『そうだな。絶対何かあるに違いない!それに俺達は絶対に負けない。だから安心して、佐久野さん』
佐久野は笑いながら答えた。
『うん、ありがとう!』
それからしばらく歩いていると、俺はふと不思議に思ったことがあった。こうやって佐久野と一緒に歩いているのに、俺にも羽野にも不幸と呼べることが全く起こらないのだ。その時俺は、そのことがとても不気味に思えた。しかし、今このことを言ってはいけないと思いずっと黙っていた。
そして何も起こらないまま、佐久野の家に着いた。
『二人ともありがとう。気をつけてね。じゃあまた明日』
『また明日』
佐久野は少し不安な顔をしたがすぐ笑顔になり、家の中に入っていった。
佐久野の家を後にしてからすぐ、羽野が俺に話しかけてきた。
『何も起こらなかったな』
『気付いていたのか!?』
『当たり前だろ。佐久野さんを不安にさせちゃいけないと思って黙ってたんだよ』
『俺も』
羽野もやっぱりというような顔をした。そして、
『これからが危険かもしれないな』
『あぁ』
俺達は一層警戒心を強めて歩き出した。どこから来るかわからない。そんな呪いとの戦い。しかし、この時俺はこの不幸の呪いに抗うことは出来ないような予感がした。俺達には想像もつかない大きなもので、俺達はその中でただ遊ばれているだけのような気がしたのだ。
そして、やはりと言うべきか、家に着くまで何も起こらなかったのである。




