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十三

「クロエ様、クロエ様、」

「ん...」

クロエはいつの間にか眠りについてしまっていた。

リヒトの膝は思った以上に寝心地がよく、気がつけば朝だった。

クロエは離れようとする暖かみを、半分夢の中のまましがみついた。

(ふわっふわ〜〜)

クロエは幸せそうな表情で、むぎゅっと抱きついた。

「く、クロエ様!」

そしてまた、眠りについた。


「おお、リヒト、帰ったのか。」

夜遊びもしないリヒトが帰らないことに、オーナーも何かあったのでは、と心配していた。

「おめぇ...フード外したのか。」

「ええ、まあ。」

アッサリ言ったことに、驚きを隠せない。

「じょ、嬢ちゃんと...」

「クロエ様が起きてしまわれるので、あちらで。」

部屋を離れる間も、リヒトの意識はクロエに向いていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれ...りひと...?」

目を覚ますと、オーナーがいた。

「おお、嬢ちゃん、だいじょぶか?」

「お、オーナー!」

オーナーに飛びつき、ぐりぐりと頭を擦り付ける。

「ちょ、まてまて!髪ぼっさぼさだぞ。」

パーティー用にセットした髪は、ピンが飛び出しぐちゃぐちゃになっていた。


「クロエ様!」

「あ、リヒト...」

どこからともなくリヒトが飛んできた。

「ああ、よかった...」

そのままの勢いで、ぎゅーっと抱きしめる。

先ほどの仕返しでもあった。

「り、リヒト、ちょっと恥ずかしいかも...」

いつの間にか揃っていたみんなが、ニヤニヤとこっちを見ていた。

リヒトはいつの間にか吹っ切れて、誰に見られようが、なんとも思わなくなっていた。


「クロエちゃん!お水ドーゾ。」

リヒトの影から差し出された水は、リヒトが強引に受け取り、クロエに飲ませた。

「ありがとう...えーっと...」


水を渡してくれた男は、リヒトがかぶっていたようなフードを身につけていた。

クロエは主に厨房のみんなとは仲が良かったが、さすがにそれ以外ではあまり交流のない者もいた。

実際は、ちょこまかと動くご令嬢にどう接していいのやら。みんな遠くから微笑ましく見守っていたのだがーー


「ロビン、お前もフード取っちまえよ。」

「だめだ!」

オーナーの提案に、リヒトが反対した。

「く、クロエ様...」

大人気なく大声を上げたことクロエに見られていたことを思い出し、リヒトの耳がしゅん、となった。

(か、かわいい...!)

檻の中では暗くて見えていなかったクロエ。

リヒトの耳の可愛さにやられるーー


「リヒト?」

「クロエ様、あいつには関わないで下さい...」

クロエはきょとん、とした。

リヒトがこの牧場の人を大切に思っているのは知っていたし、フードをかぶっているということは多分同じ獣人なのだろう。

クロエはリヒトが嫌がる理由が分からなかった。

「ックックッ。あーもー、クロエちゃん、サイコウッ!」

急に笑い出したロビンを見て、クロエはより怪訝な顔をした。

(獣人っていっても全然性格が違う...)

「クロエちゃん、リヒトのことがダーイスキなんだよな?」

ロビンはニヤニヤと締まりのない顔をみせる。

(ついさっき、気持ちを確認したばかりなのに、もうバレてる...)

クロエの頬は一気に赤くなった。


「ホーラ。だいじょぶじゃねぇーか。」

こんな可愛いクロエを見せられては、リヒトも反論できなくなってしまった。

「ほら、オレもあっちーから。脱ぐぜ?」


パサリ。


ロビンのフードが床に落ちた。

もうすぐ新しい食べ物いきまーす

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