第34悲劇 Sランク魔物は喋る、泣く、恋をする……でも捕まえる♡
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「我等が友情に、一切の曇りもなし!!」
声たかだかに、叫んだのであった……。
その姿、正に勇者の如し……!!
私は涙を流して拍手し、ナンシーはポロリと涙をこぼして「困ッタ仲間ネ!」と笑った。
即座に動いたのはダンダくんだ。
絶命を確認し、「血抜きしますか?」とブラッドスライムのキャンディを取り出してくる。
「そうか……。ナンシーにもついにそのような男が。何となく悟っていたよ」
「キャシー……」
「実にいい傾向ではないか!! この【ゼクディ】で初の、初の離脱者が出るぞ!」
「そうよ! 初の離脱者よ! その為にも力を着けて魔王城での打ち合わせデートに間に合わせないと!」
「ウ、打チ合ワセ……デート、ダナンテッ!!」
「はっはっは! 照れるなナンシー! 所謂アレが使えるぞ」
「アレ?」
「ごめーん♡ 急いできたんだけど、待った~?♡ って奴よ!」
「キャッ♡」
「使エルネ!」
「これからは磨きをかけてドンドン前に進みましょう!」
「「ガッテン!」」
こうして、キャンディちゃんに血抜きをしてもらい、ミルクちゃんの空間収納にバインソンジェネラルは入り、ナンシーの結婚祝いに使おうと言う事になった。
王族すら欲しがるアイテムだ。
きっと喜んでくれるに違いない!
その後もぼちぼち敵を倒しつつ向かい、池に到着すると確かに〝ガメーラ〟が2体と言うべきだろうか……池の畔で休んでいた。
いや、なんというか、入り方が完全に温泉である。
何か喋っているが魔物語なので分からない。
だが、多分――。
『あ――やっと出てこれたわ』
『やっぱり池の独占最高ね~』
『他の亀いると、匂いがきつくてさ~』
『わかる~~』
そんな会話をしていそうな空気である。
何ともまったりしている……。
これから、君たちが行くところは、EXなお兄さんがいる、何時甲羅を剥ぎ取られるかもわからない地獄だと言うのに……。
「ダ・イ・ヤ・モ・ン・ドッ!!」
「網で捕獲よ♡」
この時のガメーラの絶望顔は忘れられない。
意味がわからないという、どこぞの猫のような顔をしていた。
途端暴れ出したガメーラたちだったけれど、この網はガメーラ専用……。
逃げようとすればするほど絡まって……ああ、最悪な気持ちなんだろうな。
『君たち! 俺達に何をする!』
「「「「喋った!」」」」
『他の亀がいなくなってやっと自由になったのに酷いわ!』
「Sランクの魔物って喋るやつもいますけど、喋られるんですね」
「良いことを貴様らに教えてやろう。これから行く場所は〝楽園〟だ」
『嘘だ! でっち上げだ!』
「大勢のガメーラが仲睦まじく生活し、数が増えたら甲羅をはがして屠殺する。そう、我々人間にとっては――ダイヤを手に入れる事が出来る〝楽園〟と言えるだろう」
『人間は野蛮だわ!』
『くそっ! 俺達が美しいばかりに!』
「沢山子供作ルネ! 増レバ、増エルダケ、ダイヤ、手ニ入ルヨ」
キャシーとナンシーの言葉に震えるガメーラカップル……と言うべきだろうか。
デートに来ていたのに捕獲され、ドナドナされる……という事件と言うべきか否か。
「でも、残念だな。喋られる魔物と言うのは珍しい個体だと言うのに」
「直グニ屠殺サレルカモネ」
「あの……デート中でしたか?」
私が恐る恐る聞くと、どうやらこのガメーラ達は久々のデート中だったらしい。
そこを襲った我々。凄まじい罪悪感……かと思いきや。
「リア充、と言うべきではないな、この場合は……マモ充滅ぶべし!」
『なんて奴らだ……おい、金髪のお前! その様子じゃ彼氏もいないだろ!』
『だから貴女は、お一人様なのよ!』
あ、あ、いけませんソレは!!
途端、キャシーの背後に闘気が噴き上がる!
「今……なんと言った?」
『ヒッ』
「「ひっ!」」
「お一人様で何が悪い……私はな……魔王城に婚活に行くのだ! 史上最強の男たちが集う最大規模の婚活会場へな!」
『人間が駄目だからと、魔族との婚姻を目指すなんて罰当たりな!』
『そうよ! 貴女ベジタリアンなの⁉』
「……ガメーラの肉はうまいんだろうか?」
「珍味ヨ!」
『野蛮な肉食女子め!!』
「ふはははははは!!」
なんか色々違う気がするけど。
結局彼らカップルは、キャシーさんに振り回されながら依頼主であるゴルバディス大商会の、オウーマイーガ街まで連行されることになった。
ブンブン振り回されて目を回した二匹をミルクちゃんの空間収納に放り込み、一旦カテエラ街へ戻りクエスト完了。
「全く、失礼なガメーラたちだった……」
「全くです! キャサリンの良さを分からないモンスターがいるなんて信じられない!」
「ダンダ、良いんだ。私は所詮独り身」
「俺だって独り身です!」
「では、独り身同士仲良く次の街へと抱っこして連れて行こうか」
「よろしくお願いします!」
「イサミン♡ 私もイサミン抱っこして行きたいな♡」
「いやん、重いから駄目です♡」
「装備込みで百五十キロくらいでしょ? 軽い軽い♡」
「もう♡」
「百五十キロ、軽イネ。私、装備合ワセテ、五百六十キロアルネ」
「店の床が抜けないギリギリを、私達は攻めているからな」
そんな話題をしつつ、私達は次の街へ進むべく……原始の森ではなく、オウーマイーガの街を目指すことになるのである。
「さぁ、いつもの行くわよ♡」
「「「アイ・キャン・フラーイ!!」」」
安定の掛け声と同時に、私達は走り出した。
――時速百キロで、婚活一直線。




