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パンダとじゅりあ~ファーストブラッド~

土曜日の20時更新です……

 世界中から賞賛の声が聞こえてくるよ……。


 ただ存在するだけでワンダフルだと。この星のミラクル。それがパンダという名の栄光。


 たまにね、こうやって耳を澄ましてみる。人気者の宿命かな。慌ただしい毎日を過ごしていると、こういった時間も大切になってくるんだ。


 ホラ、学校帰りの子供達がパン田に気付いて歓声をあげている。百メートル程先かな。


 あとコアラ軍団の下っ端がこっち見てるね。距離は五十。余裕で走って逃げられる。パトカーは、と……このブロックには走ってない。  


 以上。周辺チェック終わり!


「街角に油断のない目付きのガリガリパンダがいるのだわ。強盗でもする気なのかしら」


 後ろを振り返るとツインテメガネの女の子が立っていた。ランドセル……小学生だね。


「パン田のバックを取るとは大したモンだお嬢さん。アレ? 君、ウサくんのお友達じゃないかな」


「瀬良じゅりあ。小三。ウサのストーカー」


 正直に言おう。


 君は今、パンダを目の前にしているのだが? 何故そんな冷静でいられるのかなー。


「よし。それじゃあ、でんぐり返しでいいね」


 パン田は十八番の技を決めてみせたよ。うん、いつも通りパーフェクト!


「まるでパブロフの犬かしら。やらずにいられないか、もしくはやっとけばオッケー的な。恐らく後者だと思う」


 おっと。たまにいるんだよ我慢強い子が。


 こーゆー子はお代わりを求めてくる。只の食いしん坊さんさ。お次は何をご所望かな?


 愛らしく覗き込んであげた。


「その目。ガリガリのジリ貧でもパンダはパンダね。まるで悲劇なのだわ」


「何の呪文かなお嬢さん? いいかい、素直に自分を解放するんだ。子供らしくね。特別にパン田がハグしてあげよう!」


 両手を広げたよ。心の翼が開くように。


「おーぷんあーむず」


 Dの国のネズ公が裸足で逃げ出す必殺技さ。


「さァ、おいで!」


「行かないし何故行くと思ったのかしら? MMAの選手がタックルに来んのかと身構えるレベルね」


 驚いている……。


 おーぷんあーむずが効かない人類に初めて遭遇したんだが。


 この子はパンダに抱き締められる幸運を理解出来ないのか? ひょっとして宇宙人? さっきから変なコトばっか言うし。言葉…………そうか!


「こころ、ひらく、わかる? ここ、ここだいじ!」


 胸をポンポンしたよ。大丈夫、パンダがやれば何でも大抵大丈夫!


「色々と考えた結果がコレなら。せらの想像以上に拗れた動物なのだわパンダ」


 ……………………何だろう。


 ここから逃げた方がいい気がする。


 勘が、野生の勘が囁くんだ。あ、パン田は元々野良パンダなんだけれどもね。


 この子、じゅりあ。天敵だと思う!


 だって言ってるコトがわからないんだもの……パン田は本能的に理解出来ないコトはヤバいって知ってるの。


 幸いナチュラルダイエットの甲斐あって足には自信アリなんだ。これまで豪州産有袋類や銃を持った地方公務員から何度も逃げ切ってるしね。


 さっさとお暇するとしますか……


「もう見てられないかしらパンダ。みすぼらし過ぎて」


 は?


 イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!


 今、この子パンダのコト……みすぼらしいって言ったんだがああああッ?


 世界の頂点に立つウルトラアイドル、パンダなんですけどー!


 ヤバッ……激ヤバだよ、メガネっ娘!   

 

 ここは一刻も早く退散しよう。そして、今後はこれまで以上に周辺チェックに力を入れるんだ。二度と捕まらな


「まぁ、その…………アンタさえ良ければ、だけれど」


 へ?


「ウチに来てお風呂入って。ご飯食べたらどうかしらパンダ」


「伺います」


 ご飯……じゃなくてファンの頼みとあれば断らない。


 それがパンダ道。

それではまた……

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