地獄のハロウィンナイト
土曜日20時更新です……
「すっかりハロウィンだな! ウサ」
「めっきりハロウィだね! ヨースケ」
いつの間にか秋、終わる。僕は故郷の伊吹山の紅葉を思い出して自慢の黒耳がひこひこした。
「ン! ハロウィ、ン! 言ってみ。ハロウィ?」
このモモンガ、食い気味でうるさい。
今、商店街をヨースケと歩ってる。あちこちにハロウィンのポスターが貼ってあって。仕事帰りだし僕ら小動物のテンションはプチアゲ状態です。
「へロウィン?」
「打つとアゲアゲになるヤツ? 違うわ、モモンガやめますかになるわ。ハ・ロ・ウィ・ン!」
「ハロウィンて何?」
「それな。ハロウィンて……何なんだろなぁウサ」
僕らは少し黙り込んだ。こーゆーどーでもいいコトに取り組むのって何か楽しい。
「カボチャ?」
「だな、ウサ。ハロウィンはカボチャ、大切!」
「コスプレ?」
「だよだよー! コスプレ命」
「…………ヨースケも何か出せ」
「え? あ、えーとアレだよアレ。ハロウィン……」
僕らは無言でてくてく歩く。ヨースケの脳ミソは突っ込みに全フリしてるから考えんのは苦手なんだ。
今日はハロウィン責めでいくと決めた。
「いつかな? ハロウィン」
「おぇ、きょ今日とかじゃね?」
「じゃ、ハロウィンやろーよ。ヨースケ」
「え……うん。いいよ、やろやろ!」
「ハロウィンて何すんの?」
近くの電柱までダッシュするとスルスル登ってジャンプしたヨースケ。十メートルくらい向こうまで滑空してく……
逃げる気だ!
「待てえええ~ヨースケえええ~!」
キャッキャ言いながら追いかけっこする僕ら。商店街を行く人達、すり抜けて走る走る。
「何やっとんねんお前ら。鬼ごっこか?」
前の方から関西弁の知った声。キツネの三助が買い物袋下げて突っ立ってた。今日の義手はボーリングのピンだ。
「三助三助~。僕達ハロウィンやりたいんだけど。何すればいいか、わかんないんだ」
「ハロウィンて何や?」
ハイ、振り出し戻ったー。
三助とあんま遊んだコトないヨースケ。突っ込みたくてモジモジしてる。
「カボチャとコスプレまでは突き止めた」
「ほうか。ちょい待っとれウサ」
キリッとした顔して三助。目の前にあるタバコ屋のおばあちゃんにハロウィンのコト聞きに行った。コイツ、病気が治ってからシャキシャキしやがってー。
「わかったでウサ。ハロウィンはな、一年の終わりを十月の三十一日で考えとった古代何とかの何とか人がフニャフニャ」
「……おばあちゃんの知恵袋」
ヨースケが小声で突っ込む。十月三十一日しか覚えてないじゃん三助。
「だーかーら。何すればいいの?」
「うーん、何やったっけ…………悪さしてお菓子食える祭り、みたいな? あ、十月三十一日の夜な。そこだけ自信ある!」
思わずモモンガと顔を見合わせる。
「ヨースケ……」
「あぁ、ウサ」
「悪いコトしてもいい日があるって知らなかった僕」
「だな……やるか」
「うん。決行は十月三十一日の夜!」
「十月三十一日の夜!」
三助が「トニック・オア・トリートメント言うてたら何とかなる」て言いながらスタスタ帰ってった。
「合い言葉はとにっく、おあ、とりーとめんと!」
「とにっく、おあ、とりーとめんと!」
うおおおおおおッて盛り上がる僕ら。小動物って普段いい子にしてるからね。
思いっきり悪いコトがしたいんだ!
十月三十一日の夜、この街を地獄の底に叩き落としてやる…………。
興奮した僕はその辺走り回ってからおウチ帰った。
「ただいまー、リン。あのねあのね!」
リンに堂々と悪い子宣言する僕。
メッ、てされた。
それではまた……




