ザ・ミラクル(たまに起きる)
土曜の20時更新です……
「絶ーッ対美味しい! ね、リン」
「だね! 絶対美味しいよコレは。リンさん」
テレビのつまんないバラエティで料理VTR見たタレントが必ず言うヤツだ。このセリフ。
エプロン姿の私。我が家の小テーブル前に鎮座したウサとロッキーが一生懸命食レポしてる。お昼ご飯に『冷凍食品』じゃないヤツが出て来てパニくってるらしい。
「ロッキー見て、この黄色さ。絶対美味しいじゃん」
「ご飯の赤も絶対美味しそうだよ、ウサくん」
とりあえず色誉めとるけど。何故食わんのだコイツら。
オムライス。作った。
初めてのオムライス。
パッと見。卵が焦げて巻いてるとこも破れてて、そこからはみ出すケチャップライスも具がやたらデカいし、全体的にドロッとしてる。
だから何?
元々オムライス自体ポテンシャルの高い料理だから。不味く作る方がムズいわ。
「絶対に…………美味しいよね? ロッキー」
「うん、絶対……」
疑問形になってきたかー。
この世の中に絶対なんてない。
テレビタレントはVTRを信頼して「絶対美味しい」を連呼してんのよ。最悪編集で何とかなるだろーし。
でも、これはテレビじゃない……不確定要素が多過ぎて正直私にもわからん。味見なんかしてないし。
けど言ったよねアンタ達。絶対美味しいって。
だったら早く食べなさいよー! スプーン握ってんだからサ。ほら、パクって。パクって食ってみ。
「僕……。食べるよロッキー」
「待て、ウサくん! 早まるんじゃあない。この赤いのが何なのかわからないんだ!」
鋭い。
「赤いから」と思ってタバスコも入れてみた。
でもね、ケチャップもちゃんと入ってるからぁ!
何が正解かなんて誰にもわかんないよ。オムライスってもっと自由な食べ物でいいんじゃないかなー? ちなみに黄色のとこにはカラシも入れてみた。後は卵です。
「はむゥ」
「ウサくんがいったアアアアアアッ!」
いったかー(ドキドキ)
「はう?」
「ウ、ウサくん?」
「うううう……………………うま!」
ヨシャーッ! うしゃああああーッ!
魂のガッツポーズを決める私。
「何か辛いけどウマい! カラウマ!」
「ホントかいはむはむはむ……美味いッ! 柔らかくて全部がフゥワフゥワしてるコレ!」
バクバク食べてくれてる~。
包丁無いから冷食の袋切るハサミで切った食材達。大丈夫。油無いから代わりに水で炒めたんだけどサ。大丈夫。
私の初めての手料理、大成功じゃん!
「リン。コレ何て食べ物なの?」
は?
オ、オムライスですけど。何言ってんのウサ。
「ホントだよリンさん。一体どこの国の料理かな?」
脳筋プードルは食った事ないのかなオム・ライス。日本の洋食だからなオム・ライス。
「僕、名前つけたい! えーとね、激カラご飯」
シンプル!
「激カラ取られちゃった。それじゃ、ぶよぶよご飯」
どシンプル!
え、何これー。オムライス1mmもかすってないよねー。オム認定されなかったんでしょうかー。ハズくてハズくてたまんなーい。
「でも絶対美味しいよ、激カラぶよぶよご飯」
「だね。絶対美味しかった激カラぶよぶよご飯」
そんな美味しいのか激カラぶよぶよご飯。ウサのそれを一口パクリ。
タバスコ風ケチャップリゾットのカラシ卵巻き。
絶対美味しいわ、これ。
それではまた……




