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ピクニック at 平和公園~リンの幸せな時間~

土曜日の20時更新です…

 ゴールデンウィークだから。

 

 せっかくのゴールデンウィークなんだから。働いてる動物達を連れて駅前の平和公園でピクニックしてる。私? 私は働いてません。不動産あるんでテヘペロ。

 

 メンツはうちのウサと『ほっぺた』でクッキー作ってるモモンガのヨースケくん。それとパンダのパン田さんね。パン田さんが何やってんのかウサの説明じゃよくわかんなかったけど。デスペラードって何?

 

「リン。ゴールデンウィークだね~!」

 

 シートの上を転がり回りながらウサ。ヨースケくんはその辺の木に登りに行ったまま帰って来ない。

 

「おいおい、気ままな小動物達だなぁ。全ての動物を代表するパンダがお詫びを申し上げるよ。済まないねリンさん」

 

 ガリんガリんのパン田さんが、この日の為に買ったバスケットの前にへばりついて何か言ってる。


 パンダ、目が怖い。視線を気にしつつバスケットからお弁当箱を取り出す。早起きして作った冷凍食品オンリーのお弁当。

 

 どっかからヨースケくんがひゅーて飛んで来た。

 

「リン、見た見た今の? アイキャンフライ!」

 

「すごーい。飛べるんだヨースケくん」

 

「違! 飛んでないの。滑空。上から下。飛んでるよーに落ちる技術だからコレ!」

 

「邪魔しちゃダメだよヨースケくん。リンさんは今、弁当箱を開ける為だけに存在している」

 

 どんな存在だよと思いつつフタに手を掛ける。

 

「ゴールデンウィークって何? リン」

 

「へ? あぁ、えーとねウサ……」

 

「果物の名前じゃんウサ。ねーリン、もっかい滑空見たい?」

 

「リンさん、使命を思い出して。その手を上に引き上げるだけでいい!」

 

 ウサがフレアスカートにしがみついてくる。

 

「ゴールデンウィーク~!」

 

「リン、木に登るトコも見てて!」

 

「今週は虫しか食べてないんだッ!」

 

 な、何か切実な訴えが一個混ざってないか?

 

 とりあえず私は弁当箱を開けてみる。パカッ。

 

 冷凍食品のコロッケに冷凍食品のタコ焼きに冷凍食品のチャーハン。で作ったおにぎり。

 

 顔を上げると、みんなシートの上に大人しく座ってくれてた。何この一体感。私はそれぞれお皿に取り分けてあげると手を合わせた。

 

「いたーだきます」

 

 動物達は行儀良く食べ始めた。かわいい。パンダなんか涙流しながら食べてる。

 

 弁当箱が空になったんでオヤツも用意してあげた。

 

 冷凍食品の回転焼き。あんこじゃなくカスタードクリームのヤツ。

 

 これもみんな行儀良く食べてくれた。

 

「ごちそーさまでした!」

 

 何だか落ち着いた空気が流れてて。私もやりきった感出てる。

 

「ねぇリン。ゴールデンウィークって美味?」

 

「それって五月の連休の事だよウサ」

 

「何だ、そっか~。誰だ果物って言ったヤツ~」

 

「ゴメンよウサ。お詫びに皮膜ぴろーん」

 

 キャッキャみんなで笑い合う。スゴく楽しい時間。やって良かったぁピクニック。また、やろうかな。

 

「それじゃあ、パンダはこの辺で失礼するよ。一ヶ所に長く留まると危険だからね。リンさん、冷凍食品のフルコースご馳走さま」

 

「俺も帰る。リン、また今度滑空の技術見て。ムササビとレベチだから。俺は好きだよ冷凍食品スペシャル」

 

「リンは冷凍食品とレトルトが得意料理なんだ。僕、毎日食べてる!」

 

 みんな、ありがとう。

 

 私、何で泣いてるんだろ。 

それではまた……

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