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THE USAKAME

土曜日の20時更新です…

 我が生涯。それは闘争の歴史。

 

 幾多の死線を乗り越え、戦い続けてきた。生きるという事は死に狂う事だと信じて。

 

 そして今、我はこの血の赴くままに。長きにわたる因縁の戦いに終止符を打つべく、永遠とも思える時の流れを越えこの公園に辿り着いた。

 

 我の目にはベンチに座して菓子を食らう黒耳の白き獣の姿が。稲妻の化身はその口を開く。

 

「アレーッ! 亀のかめ丸じゃね。どしたどした、伊吹山から出てきたんか?」

 

 ついに……ついに、ついに、我らは合いまみえた。積年の思いを込めて我は奴に問う!

 

「げーんーきーだーっーたーウーサー?」

 

「うん。お陰さまで。かめ丸、歩いて来たのか?」

 

「さーんーすーけーとーいーっーしーょーにー」

 

「キツネの三助? あいつ正月にはここ来てたけど。もう5月だね」

 

「マージーでーかーW」

 

 世間話はもういい。過ぎ去った日々に興味などないのだ。

 

「んで。今日はどしたん?」

 

「えーとーネーしーょーうーぶーのーつーづーきーをーしーにーきーたーよー」

 

「……勝負?」

 

 我宿敵は相も変わらず物覚えの悪いようだ。我々は何故か顔を合わせれば駆けっこをしなくては収まらん運命の元にある。

 

「やーまーのーてーっーぺーんーまーでーきーょーうーそーうーだー!」

 

「え……山ないから。ここ東京。の隣の県。てか、僕かめ丸と競争したコトあったっけ?」

 

「あー……」

 

 ない。

 

 やっと追い詰めたのだ! 


 我が生涯で初めて、宣戦布告まで漕ぎ着けた。


 ここに至るまでの長い道のり……だってこのウサギ! 話の途中でいつもどっか行っちゃうから。後、忘れっぽくて毎回会う度に設定から説明しないとだもん。

 

 亀ってサ、ウサギ見ると血が沸くんだ。普段はめっちゃ安定してんのにね。

 

 だから駆けっこしたい。ウサと。

 

 その為に追いかけて来ました!

 

「ポップコーン食べる? かめ丸」

 

「たーべーるー」

 

 ウサがポップコーン投げてきた。顔にポンて当たる。


 口でパクッてやらせかったんだと思う。でもボクは慎重に行動する派だから、何事も時間をかけてアクションするんだ。

 

 コーンが下に落ちてから首を伸ばして「あ~ん」した。

 

 すかさずウサがもう一個コーン投げてくる。ちょうど口閉じた時にまたポンて当たった。

 

「ガッデムううッ!」

 

 何かスゴい悔しがってる。ベンチに立ち上がって前足で「カマン、カマン」て。え、口開ければいいのかな。あ~ん……ウガッ、むっちゃ何個も投げてくるうう! 

 

「首引っ込めんな、かめ丸! パクッて。パクッてしてみ、口開けて!」

 

 何か怖いいこの情熱……お菓子はゆっくり食べる派なんだボク。そんなに投げないでおくれよう。

 

「一個も入んねッ。何だこのクソゲー、金返せ!」

 

 足をダンダンしてて怖いい。お金もってないよボク。駆けっこしたかっただけなんです。

 

「ごーめーんーなーさーいー」

 

「もう、いいよ! かめ丸のバッキャローッ!」

 

 ウサが物凄い勢いでダッシュしてった。

 

 ボクは慌ててうんしょ、うんしょ、体制を整える……我が宿敵の白き稲妻よ。その背はとうに見えなくとも我の目には映る。

 

 幾多の死線を乗り越え、勝利する姿が。

 

 さぁ、死に狂おうではないか!

 

「よーいードーンー!」

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。

それではまた……

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