表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/229

ラッコのため吉に心から謝りたい件

土曜日の20時更新です…

 ウサっぺがどーしても応援したいって言うから。連れて来たんだども。


「それでは5キロ10分のチャレンジです。よーいスタート!」


 大食いのチャレンジな。ウサっぺ興奮しとるウホホ。オイラはラッコのため吉。特技の大食いでお店のチャレンジメニュー食い荒らしとるの。


 今回は洋食屋さんの肉盛り盛りプレート。攻略ポイントは肉を先に片付けるコトだな。


 オイラはラッコだから容量は問題ねー、余裕だぁ。10キロは軽い。後は如何に効率良く時間内に胃に収めるか、だども……。


「ため吉、石! 石使ってけーッ」


 ウサっぺがお腹コンコン叩くジェスチャーしてくる。


 イヤ、使わねーから。早食いだし肉だし。石は貝割る時なんだわ。


「負ける! 石使わないと負けるううう!」


 油でベトベトになるだけだわ。石に肉叩きつけても。


 ウホホホホホホホホ。ヤバ、想像したらウケた。急がんとイカんね。シャクシャクシャクシャク、クチャクチャクチャクチャクチャ。


「え、ため吉めっちゃクチャクチャ言うけど……大丈夫コレ?」


 マジでかー。時間ないんだども。応援席から気になる発言カマしてきたわ。


「え、コレ。こんな……リンに怒られるんじゃね?」


 まだ言うとるー。リンて誰ー。


 ラッコの食事マナーに疑問持っちまったわ。生まれて初めて。


「ため吉……何かスピード落ちてる!」


 お前のせいだわー。負けたら自腹五千円だども。ウサっぺの頭、自慢の石でコンコンしてやっからな。


 ウホホホホホホ。想像したらウケた。ヤベ。


「ため吉笑ってる……もう諦めたのかなぁ? 何かつまんない。毛、多いクセに」


 デ、ディスってくるー。


「石ないと誰だかわかんないし。ラッコってキャラ弱くね?」


 ダメ出ししてくるー。


「ため吉ー、ファイッ! はい、ガンバーッ」


 応援してくるー。


 ……うん、イヤ合ってるさコレで。


 やっとたどり着いたんだな、ウサっぺ。コレが正解。友達の応援、コレが正解だから。普通は最初からコレな。


「ため吉、残り後五分! 半分しかないよーッ」


 まだ一割しか食ってねーだども。オイラなら完食出来る。よーし、こっから本気出すか。


 シャクシャククチャクチャシャクシャククチャクチャクチャシャクシャククチャクチャシャクシャククチャクチャクチャシャクシャククチャクチャシャクシャククチャクチャクチャシャクシャククチャクチャシャクシャククチャクチャクチャシャクシャククチャクチャシャクシャククチャクチャクチャ……ピチャピチャン。


「ため吉、やった! すげ。完食だよーッ!」


 ありがとウサっぺ。最後まで応援してくれてた。両手で耳ペッタンコしとらんかったらな、百点。


 もうね、耳ペッタンコが目に入った瞬間。


 心エグれるかと思ったー。


 うさぎの耳ペッタンコはキッつい。何も塞がんでも、なぁ……。


 自分がクチャラーだって思い知らされたわ。今日、オイラは死にました。楽しく自由に生きてたラッコは、もういませんぺ。


 気がついたらオイラは泣いてたー。


 ウサっぺも「感動した!」って大泣きしながら、しがみついて来たんだども。


 ……避けちまったわ。

それではまた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ