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ペットに留守番させると大抵こーなる

土曜日の20時更新です…

 リンがいない…………。

 

 僕だけ。ワンルームマンションの部屋にいる。


 ……何でだっけ? あ、リンは朝から実家に用事があるんで帰ってるんだった。夜までいない。僕、お留守番頼まれてた。

 

 寝てたね。時計を見る。もうお昼の十一時だ。

 

 ……何やるんだっけ。あ、朝ご飯食べなきゃ。冷蔵庫、冷蔵庫。ん、何だコレ。数字が貼ってあるお皿が三つ。『8:00』『12:00』『18:00』

 

「暗号? え、怖。……何か説明された気するけど」

 

 僕は賢いうさぎだから数字なら読める。8時と12時と18時だ。


 お皿には菓子パン、スパゲティ、コロッケ定食。

 

「何だっけ。…………ヤバ、頭パーンてなりそ。考えたらダメなヤツだコレ!」

 

 順番にコロッケカリカリ、パスタちゅるちゅる、菓子パンぱくぱく食べた。


 18時のコロッケについてるライスとサラダが残ったから。ライスは炊飯器に戻してサラダはトイレで流す。怒りを込めて。このサラダ野郎め!

 

 ちょうど十二時になったんで、また寝た。お腹ポンポンだし。


✳✳✳

 

 起きた。鼻ヒクヒク。お昼の二時。

 

「……何かリンに言われてた気がするけど。考えるの危険だと思う!」

 

 ヒマだからベランダに出てみた。天気いいなー。


 川向こうの電柱にカラスが一羽。こっち見てる。僕は急いで部屋から傘を取って来るとカラス目掛けて中指立てた。

 

 ヤツは一瞬羽を広げたけど、また元に戻す。


 何だソレ。威嚇のつもり? 僕は両前足を突き出して「来いよ来いよ」てやった。コクコク頷きながら。

 

 カーって鳴いてこっちに飛んで来るカラス!

 

 僕は耳ピーンてなって傘のボタンに爪かけたけど。ヤツはそのまま屋上を飛び越えてどっか行った。ウチの部屋は最上階の五階なんだ。

 

「勝ちーッ!」

 

 イキってガッツポーズする。ちょっとだけ怖かったけど逃げなかった。


 アドレナリンどばどばになって、足ダンする僕。「ダン、ダン、ダン、ダン」てやったら下の部屋から「ドン」てやられた。

 

 速攻で部屋出て下の階へすっ飛んでく。

 

 ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ……

 

 ジャンプしながらピンポン攻撃! 部屋のヤツが覗き穴から見てる気配するけど。僕ちっちゃいから見えないだろ?

 

 出て来たら必殺のラビキックお見舞いするつもりで準備してた。でも出て来ない。

 

「ハイ、勝ちーッ!」

 

 胸張って帰還。二連勝、不戦敗だけど勝ちは勝ち。まだ二時十分じゃん。

 

「やるコトないから寝よ」

 

 でもコーフンしててちっとも眠くならない。テレビ点けたけどつまんないワイドショーばっか。リンに録画してもらったアニメ見ようと思ってもやり方わかんない。

 

「外遊びに行こ!」

 

 玄関でピタと止まる。……鍵、ないよ僕。


 いきなり暗い箱の中にいる感覚、キタ!

 

「はああわわわわわわわああああああああッ……」

 

 まだ昼の二時なのに。やるコトなくなる恐怖が僕を襲う!

 

「退屈、退屈、退屈、退屈、退屈、退屈、退屈……」

 

 涙出た。鼻水も。

 

「リン! リンどこ? 帰って来て、帰って来て」

 

 リンを想う。


 綺麗な黒髪のショートボブ。宝石みたいな瞳。いい匂いがして、いつも優しく抱き締めてくれる。だ~い好きなリン…………


✳✳✳

 

 気がついたら玄関で寝てた。夕方? まだ四時過ぎ。お腹空いたから冷蔵庫開ける。ガチャ。

 

 ……ない。


 ご飯、ない。食べる物、レトルトしかない。僕作り方わからないんだ。


 まだ四時なのに、お腹空いたのに、ご飯食べれない恐怖が僕を襲う。どうしよ! 死んじゃうかも! リン、助けてーッ!

 

 ぺたん。

 

 冷蔵庫の正面に前屈みで座り込んでフリーズ。

 

 スイッチ切った。草食動物は肉食に食べられる瞬間こーなる。苦痛をシャットダウンする能力だ。

 

 僕はオフ状態でリンを待った。

 

✳✳✳

 

 夜の七時に帰って来たリン。

 

 再起動した僕は今日あった出来事を。いっぱい、いっぱい訴えた。途中ワケわかんなくなったけど。


 リンはずっと笑顔で聞いてくれて最後に「サラダはトイレに流さないでね」て言うとギュ〜ッて僕を抱き締めた。

 

 安心して頬擦りする僕。優しさの匂いが拡がる。

 

「ハイ。じゃ、洗濯物入れてくれるウサ?」

 

 言われてたのコレだったあああああ!

それではまた……

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