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改革
やはり自分が飛ばされたのは、派閥論理の一貫か・・それでもし須崎が埋没したら、結局切り捨てされる・・つまり、彼らには所詮手駒に出来なかっただけの話。強い憤りも感じるものの、ようやく須崎には、チャンスも巡って来た訳だ。無気力だった営業所員も、今度は安穏として居られなくなった。本当に彼らを飛ばす権力を須崎は握ったのである。進藤は、泣く泣く異動を飲まざるを得なくなった。
「ち・・進藤君が早々に須崎に飛ばされたよ」
屋鍋は、仁科に歯噛みした。
「何か情報を握ってるんでしょうかね・・須崎・・部長補佐は」
「知らん!」
屋鍋は、仁科に歯がゆそうに一言で応えた。
一方、須崎に指名された安藤は、実は複雑だった。彼には須崎と違って家庭がある。子供も小学校に上がったばかりだった。須崎とまた仕事をするのは嬉しい。だが、寒い北海道に、妻三重は行くのを拒否した。




