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帰郷
「待ってくれ、半年で良いから、俺を見てくれ。根室営業所を北海道支社№1の営業所にして見せるから」
「わあ・・それって須崎さん、三鍋さんへのプロポーズ?」
新田が眼を輝かした。三鍋は一晩で急変した須崎に、ただ驚くばかりで声も出なかった。
須崎が玄関から出た後、三鍋の眼から少し涙が毀れる・・新田が
「何だ・・やっぱり須崎さんと付き合ってたのね。急いで化粧室行きなさいよ、三鍋さん。わあ・・凄い男らしい・・格好良いわ・須崎さんて」
REC㈱では、玄関で堂々と三鍋にプロポーズした須崎の話題と、第一営業部の安藤主任を根室営業所の副所長に、既に須崎が指名し、すぐ辞令が来月にも降りると言うたった一日の動きが、REC㈱内で話題が駆け巡っていた。勿論、姥捨て山から超V字復帰特進の須崎の特進も当然ながら・・である。
「何でだ・・何でこうなる?」
屋鍋は、仁科と行きつけの割烹で分からぬを連発していた。そしてまさか安藤を須崎が指名し、それがそのまま人事に繋がると言う話もだった。




