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接点
「はあ・・」
理恵は、佐伯にも向かってこう言った。
「お義父さん、取引先の㈱RECの北海道副支社長さんか何か知りませんけど、若菜に勝手に話しかけないように言って下さい」
「ああ・・言っておくよ」
佐伯はそう言うしか無かった。確かに何も接点も無い事だ。菊野に頼まれているとも彼は言えない。続けて理恵は言った。
「それに、差し出がましいようですが、秀一さんも私も今後㈱RECさんとはお付き合いしたく無いんです」
「まあ、待て理恵。少なくても佐伯海産は、わしが運営している会社だ。幾ら何でもそれは出過ぎた意見とは思わんか?」
佐伯が少し興奮して赤い顔になったので、理恵はその話は引っ込めた。秀一を理恵に呼ぶように言うと、応接室で苦い顔をしながら、佐伯は座っていた。
「何だい?親父」
「秀一、理恵がちょっと若菜に辛くあたり過ぎて居らんか?わしは、ちょっと気になっておる」
秀一も頷いた。




