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プロローグ
ご無沙汰しております。
検索除外中の旧作から番外編を徐々にリライトしてこちらへ移していきます。
まずは番外というか続編というかな立ち位置の「山猫は雑踏を走る」をお送りいたします。
本日は2話同時投稿いたします。こちらが1話目になります。
「だめ! ぜ~~~ったいに、だめです!」
スマホに向かって力一杯拒否しているのは一平。仕事からの帰り道、電車を降りたところでかかってきた電話を駅の片隅で受け、話しているうちに、思わず声を荒げてしまった。周囲の人の視線が痛い。
慌てて声を潜めて、電話の相手にだめ押しをする。
「とにかく! 申し訳ないけどそれは断固として拒否しますからね! それじゃ!」
ぷちっ。
電話を切ってスマホをスーツのポケットに放り込み、ふうっと息を吐く。
全く、そんなことできる訳がないだろう。たとえ人と違う能力があっても、俺達は普通に暮らしたいんだ。その能力を貸してくれ、なんて冗談じゃない。
一平は不機嫌なまま家路を急いだ。




