56話 お香
試合が終わった後、俺は与右衛門達の元へと歩み寄った。
与右衛門は床几椅子に腰を下ろしたままに俺を見詰めていたが、椅子から立ち上がると頭を下げてきた。
「殺し合いでのうて良かったわ」
俺は肩で息をしながらも笑顔を浮かべて皆にそう言った。
「大したもんや!」「ようやりなはれたわ!」
周りの男達が俺にそう声を掛けてくるが、与右衛門はずっと俺に頭を下げ続けていた。
どないしたんやろ……そない思い声を掛けようかとした時、与右衛門が頭をあげた。
「葛原二郎光丞殿!御迷惑をお掛け致しましたる事、誠に申し訳御座らぬかった!」
そう言い俺に向けて又頭を下げとる。
「い、いや、構へん!秀吉様からも褒美貰える言われて俺は……逆に得したから……頭あげてくだされ」
そう言うもしばらく与右衛門は俺に謝罪の言葉を繰り返していた。
俺も困惑したが周りの男達も困惑していた。
しばらく俺は与右衛門に非が無い事を訴え続け、周りの男達からも声を掛けられ、ようやく与右衛門が頭を上げる始末であった。
少し落ち着きを取り戻した与右衛門は幕の外へと向かっていった。
周りの男達も彼に続いて幕の外へと向かう。
俺も彼らに続き、最後に幕の外に出ると小綺麗な格好をした中年の男が俺の元へと近づいてきた。
「葛原二郎光丞殿、此度のご活躍、上様も誠に御満足なさられておりましたゆえ、上様から貴殿に二十俵の褒美を授けられると仰られておりまする」
「に……二十俵!!」
米俵二十やと?!!
俺は驚愕して使者の男を見詰めた。品の良さそうな、ちゃんと正装された中年の男である。
「貴殿の故郷であられる丹波の亀山へとお運び致しますゆえ、明日正午まで今朝御宿泊なさられました御寺にてお待ちくださりますようお願い申し上げます」
「はい」
俺はそう返事をし、与右衛門を見た。
与右衛門はじっと使者を見詰めている。
「上様も貴殿のお力の事大変褒められておりました。どうぞ今宵は御ゆるりと御休み頂き、明朝に再びご挨拶申し上げ致します」
そう言うと使者の男は笑顔のままに頭を下げた。
「は、はい、ありがとうございます」
俺も一応頭を下げた。
与右衛門を始め、周りの男達も頭を下げている。
「では、今宵はごゆるりと、失礼をば」
そう言い秀吉の使者は頭を軽く下げるとその場を去っていった。
「はぁぁ……」
緊張が解けた俺は大きく息を吐いた。
そして、ちらりと与右衛門を見た。与右衛門も俺をちらりと見ると、
「槍を」
周りの男にそう告げている。
すると男の一人が俺に槍を手渡してきた。
飯田家の家宝の例の槍や。
「ひとまず白川の寺に戻る」
与右衛門は周囲にそう告げると先々と歩き出し、寺の門へと向かっていった。
俺は重い槍を手にしながら、取り合えず列の最後尾を歩いていった……
「二郎、どうぞ」
今は白川の小寺にいた。寺内の広い間で昼食をとっている。
皆の前に膳が配されていた。
また、白米に焼き魚にお浸しに漬け物にお吸い物と言う豪華な食事が用意されとった。
そんな膳の上に置かれた盃に与右衛門が徳利を手に取り、酌をしてくれていた。
「どうも」
俺は盃を手にし、小声でそう言った。
なみなみと盃に酒が浸されると、与右衛門は自分の盃に酒を注いでいる。
「あっ……」
俺が酌をしようと思い、声を掛けたが彼は自分で酒を注いでいった。
「此度の貴殿の御活躍を祝して」
与右衛門は酒に満ちた盃を手に取ると、それを持ち上げた。
俺も盃を手にし、それを口に運んだ。
盃は小さく酒の量も大して入っていないので一口で飲み干せた。
俺はごくりと酒を飲み干すと盃を膳に置いた。
一応、小姓の少年達も俺らの後ろに従えているが今回はなぜか女のような化粧は施されてはいなかった。
「二郎殿、随分な槍の実力をお持ちなされておられるな」
隣の与右衛門が俺に堅苦しい口調でそう言う。
「いや俺なんか……結局俺の負けやったから」
「あれでか?端から見とったらどう見てもお前の圧勝やった」
そう言いながら与右衛門は焼き魚を箸でほぐしている。
「いや、加藤清正……やったな、あいつの怪力は凄かった……棒を折られた……」
「それ以降は二郎の圧勝やったように見えた、常に」
そう言い与右衛門が焼き魚の身を箸でつまみ口に運んでいる。
「うーん」
俺も焼き魚の身を箸でほぐしながら今日の戦いを思い返した。
あの蹴りで棒を折られた時の衝撃を思い出す。
岩がぶち当たってきたかのようなあの衝撃……
「そんで二郎、秀吉公の御使いの方に明日まで待たれよと言われておったが……」
隣の与右衛門が俺を見詰める。
「…………」
俺も箸を止め与右衛門を見詰めた。
「このまま亀山に帰るんか」
「……いや、俺は……」
与右衛門がじっと俺を見詰める。
「成り行きのままに任せとるだけで……」
「我らは小栗栖に戻る」
「え……」
俺は与右衛門を見詰めた。
「秀吉公にお褒め頂き、御褒美授けられたのは二郎、お前や、そやからお前は亀山へ戻りゃええ。我らは亀山とは何の関係もあらへん。京より小栗栖に戻る」
そう言いお吸い物の器を手にし、口に運んでいる。
「……そやけど……」
「一献」
そう言い与右衛門が俺の盃に酒を注ぐ。
そしてまた自分で自分の盃に酒を注いでいる。
「……与右衛門さん、あんたには感謝しとるんや、なんかせんと俺の気が済まへんねん」
「十分したやろう!俺はお前の命を駒にして惟任光秀の首を取るように仕向けたんやぞ!」
そう言うと酒をぐいっと飲み干しとる。
「それは……まあ……」
俺は口ごもった。
「なんかするって言うて音羽を貰ってくれるんか?亀山にお前を待っとる女がおると言うとったが」
「…………」
俺は無言になりうつ向いた。
「お前ほどの勇ましい男……見た事あれへん。是非飯田家に欲しい」
隣の与右衛門が急に改まり、じっと俺を見詰める。
「…………」
「惟任光秀公を討った貴殿への御褒美もまだ授けておらんゆえに、亀山へと戻った後に!再び小栗栖へとお越し頂けませんでしょうか!」
そう言うと与右衛門は床に手を付き俺に頭を下げてきた。
床に額をつけて、まるで土下座である。
さすがに周りの男達も当主のその姿に動揺し黙り込んでいる。
「わ、分かりました。頭あげてください」
俺は慌て与右衛門の背に手を添えた。
「どうか!どうか!」
与右衛門は相変わらず頭を下げとる。
「分かりました、一度亀山に戻りますが再び必ずや小栗栖に戻りますんで頭上げてくだされ」
俺がそう言うとようやく与右衛門が頭を上げた。
「ほんならお前にあの槍を預ける。飯田家の家宝の名槍を」
与右衛門が俺をじっと見詰める。
「…………」
俺は無言でいた。
「あの槍は家宝、必ずお返しくだされ、お返しくだされた暁には褒美を……音羽を……」
……褒美って音羽なのか。
「音羽は物やあらへん、一人の人や……そんな、褒美やなんて……」
俺は戸惑いながらそう言った。
「ほんなら飯田家の家督でええか?!嫌とは言わさん!」
そう言い与右衛門は俺の盃に酒を注ぎ、そして自分の盃にも酒を注いどる。
……まさか、もう酔ってるんちゃうやろな……
与右衛門は盃の酒をぐいっと一気に飲み干してる。
俺は冷ややかな目でその姿を見詰めた後に酒を口に運んだ。
「お前音羽抱いたやろ!分かっとるんやぞ!」
酒を飲んでる最中に唐突にそう言われ、俺は酒を吹き出しそうになった。
「な、何が?!」
「あやつは俺の娘のようなもの!責任取ってくれるんか!」
参ったな……
与右衛門は目付きが虚ろになり、ふらふらとしとる。
確かに音羽は魅力的やが、久も亀山で待っとるし……
俺はどないすればええんやろうか。
「と、所で徳二はどうするつもりなんや?あいつはまだ十五の子供やねん」
俺は酔った与右衛門にそう尋ねた。
「あぁ……あいつか……何かに使おうかと思うとったが……」
「あいつはまだガキや、高槻の子や、母親と妹が待っとるらしいんや、帰したってくれ」
「ふんっ!それは俺が判断する事、お前にとやかく言われる筋合いはあらへん」
そう言うと与右衛門は漬け物を箸で摘まみ口に運んだ。
その目は正常に戻っている。
この男、酔っとるんか酔っとらんのかよう分からんな……
俺も漬け物を口に運んだ。
口の中に漬け物特有の酸味が広がってゆく……
夜中、俺は布団の中に入り天井を見詰めていた。
薄暗いが少しだけ天井の様子が窺える。
……亀山か……
明日、俺は亀山に帰れるんか。しかし与右衛門達は小栗栖に帰る。
おとんやおかんや久や……兄貴に会えると言うんは嬉しいが……
小栗栖の音羽の事も気になる。
亀山に帰った後、再び小栗栖へと向かうと言う約束をしてしまった事も気になる。
家族に会った後、再び小栗栖へ……
もう寝るか……
そう思った時やった。
俺の部屋の入り口に灯りを灯した者が現れた。
障子戸は閉められているが影が複数見える。
……なんやこいつら……
俺は布団から身を起こした。
「もし」
外から小姓の少年の声がする。
「……何?」
「ご失礼いたします」
そう言うと障子がそっと開かれた。
「お疲れの所、申し訳ございません」
小姓が廊下に座り頭を下げる。
その隣に女もいて、俺に対し頭を下げている。
小姓が頭をあげると蝋に灯された灯りを手にした。
隣の女も顔をあげる。
若い女がじっと俺を見詰めている。
「上様より、このおなごを葛原殿の床へと遣わされるようにとの事にて」
小姓がそう言うと女が、
「お頼みもうします」
と言い再度頭を下げた。
「…………」
俺は無言のままに女を見詰めた。
……え?なんやこれは……
俺が茫然としとると女が立ち上がり部屋に入ろうとしてきた。
「ちょっと待ってちょっと待って」
俺も立ち上がった。
「もう寝ようかなと思っとってん、酒も入っとるし」
俺は女が部屋に入ろうとする前に入り口を立ち塞ぎ、小姓の少年にそう言った。
「しかし上様の御厚意で御座いますゆえに」
秀吉の厚意か……断るなと言いたげやな……そやけど眠いんや……
「わ、分かりました、ありがとうございます……」
俺がそう告げると女はさっと俺の部屋に入ってきた。
小姓の少年は一言声を掛けると頭を下げ障子を閉めた。
はぁ……眠いのに……
「よろしくお願いいたします」
女は床に腰を下ろすと丁寧に頭を下げた。
「……酒が入っとってな、無理せんと添い寝だけでいいわ」
俺はそう言い布団の中に入り込んだ。
女は少し戸惑ったが服を脱ぎ、一声掛け布団をめくり俺の隣に寝そべってきた。
「無理せんでもええ、どうせ無理に言われたんやろ?」
俺は隣に添い寝する女にそう尋ねた。
「いえ……」
秀吉の命令でここに来た女が、『はい』なんて言えるはずもなく彼女は小声でそう呟いた。
「今日は色々とあって疲れてな、お前も添い寝するだけでええで」
「はい」
「…………」
「えろう、お優しいんどすな……」
女が静かにそう言う。
「疲れててな、かなり」
「うち……落ち度ありましたん?」
女がそう呟く。
「ちゃうちゃうほんまに疲れたんや、五人と戦わせられてな……」
「そやけどうち……事せんと叱られます……」
事って抱けって事か?しんどい……眠い……
「叱られるって秀吉様に?」
「直接に上様からやありまへんねんけど他の方に」
「……したって嘘ついたらええやん」
「……うちそんな嘘よう言えまへん……」
さすがにここまで言われたんやったら、男なら何もせん訳にはいかんか……
「そこまで言うんやったら……」
俺は彼女を抱き締めていった…………
翌朝、外から小姓の声がし目を覚ました。
そっと障子が開かれ起きるようにと促された。
俺の隣で添い寝する女は身を起こし、うつ向いたままに着物を着てゆく。
夜中は部屋も暗く、彼女の顔をよく確認出来んかったが朝日に照らされた女は愛嬌のある可愛らしい顔をしとった。
「良くしてくれはりまして……ありがとうございました……」
着物を着終えた女はちらりと俺を見ると少し頬を染め頭を下げた後に部屋の外へと出ていった。
「お食事のご用意が整っておりますゆえに」
小姓が廊下に座ったままそう告げる。
女も小姓の隣に座り頭を下げた。
まるで俺を公家か武士かのような、身分が高い者のように扱ってくれている。
ほんまは、ただの農家の者やと言うのに。
「先に厠に行かさせてくだされ」
俺がそう言うと小姓と女は床に頭をつけんばかりに下げた。
そんなにかしこまらんといてくれ。
俺は苦笑いを浮かべつつ廊下へと出ていった……
「ではこれより丹波の国、亀山へと参る!」
今は午九ツ(午後12時)辺りやろう。
秀吉の使いの男が声を上げてそう言った。
俺は今、寺の出入り口の門の前にいる。
寺の門の前に並ぶ与右衛門を始めとした男達が俺を見詰めていた。
俺の後ろには米俵を担いだ男達がずらっと列を作って並んどる。
「与右衛門殿、お世話になりました。この槍、必ずお返しに参ります」
俺は槍を少し持ち上げたのち、与右衛門に対し頭を下げた。
「お待ちしております」
与右衛門も俺に頭を下げた。
「では」
俺が使いの男にそう告げると、
「では参るぞぉ!」
と、後方の男達に向け声をあげた。
「おおおおおぉ!!」
と大声の返事が来た後、男達が動き出した。
与右衛門達は俺らに対し深々と頭を下げている。
秀吉の使いの男が先に歩き出した。俺は与右衛門達を見詰めながら彼の後ろに続いた。
俺の後ろには米俵を担いだ男達二十人程が続いてくる。
この男達の担ぐ米俵全てが俺の物や……そう思うと不思議な気持ちになる。
寺から離れ、京の町を歩いとると人々がみんな俺らに頭を下げとった。
ただ幼い童達は不思議そうに俺ら一行をじっと見詰めとった。
初夏の正午の陽射しは少し暑く感じる。
俺は額に滲む汗をぬぐった。
先頭を歩く男は正装をしていて黙々と先を進んでゆく。
俺は重い槍を杖がわりにして、地に着けながら歩いていった。
「お見事でありました」
突然、隣に黒い服を着た何者かが現れ、そう声を掛けられた俺はびくりとした。
さっと横を見ると黒頭巾を被り黒装束を着た女がいた。
昨日戦ったあの女や。
長身の女は俺とほぼ背丈は変わらん。彼女はじっと俺を見詰めながらそう声を掛けてきた。
「あ、あんたか……」
俺は少したじろぎながら隣の女を見た。
「公に認められしその御力、誠お見事でありました」
女が再びそう言う。
「あぁ……いやあんたも大したもんやった。ごっつい速くて……」
俺がそう言うと女はふふふと笑いだしとる。
「戦ならおらの負けだったが槍だけならおらの勝ちだったがんねぇ」
女が唐突にそう言った。
「……え?」
「おらの勝ちだべ」
彼女はじっと俺を見詰めそう言う。
「あぁ、いや……」
「卑怯だべ、あんな棒掴んでよ」
だべ?なんや、だべって……
「あれは咄嗟に……」
「おらが女だからって舐めてかかったんだろ?」
「……舐めた訳やあらへん、咄嗟に棒掴んだだけや」
「そうだかてあら卑怯だがん、いしの腕は確かかもしれねえけんど」
「……え?」
「卑怯だがん」
なんやこいつ……俺は女を見た。
秀吉も聞き慣れん言葉喋っとったけどこいつも秀吉の同郷なんやろか。
「だけんどいしのお力は認めます」
「石?」
俺がそう言うと女はくすくすと笑いだした。
妙な言葉を話すが顔が美しいので妙な気持ちになる。
「分かんねえよね、畿内のお方にはね」
俺は隣を歩く女をじっと見詰めた。
「おら、いしの護衛として公よりここに行くよう言われただ」
「あぁ……」
「私は貴殿の護衛をするよう秀吉公から申し付けられ、ここに参りました」
女が改めてそう言う。
「あ、それは……ありがとうございます」
「だけんどおなごだからってうらはあいくなって言われてそんでここに来たんだ」
「……え?なんて?」
「いしの護衛つってもおらよりつええから意味ねぇな」
なんやこの女……意味不明な言葉を続けて喋りだして怖くなってきた。
「……あんたどっから来たんや、言葉がよう分からん」
「武州だ」
「ぶしゅう?」
どこやそれ……
「ずっとずぅっと東の地だ」
女がそう言う。
「そ、そうなん」
「からかっただけだ。そなたの護衛をさせていただきます」
女が急に改まってそう言った。
「そ、それはありがとうございます……」
「見事な腕前でした、さぞや名の知られた棒使いか槍使いであられますか?」
急に女がまともに喋りはじめて調子が狂うが、
「故郷でずっと兄と槍の訓練をしてました」
俺はそう答えた。
答えると同時に兄貴の事が脳裏をよぎった。
兄貴は無事でおるんやろうか。
心配にはなるが兄貴の槍の実力も相当なもんやから大丈夫やろう……
大丈夫であってほしい……頼むから……
「私は武蔵の国より参りました香と申します。以後お見知り置きを」
女が俺を見詰めそう言った。
「葛原二郎光丞と申します」
「光丞殿、おらの事お香って呼んどくれ」
急に女が変な言葉でそう言った。
「……あぁ、俺は二郎で構へんわ」
「じゃあ二郎って呼ぶよ?二郎」
なんか妙な女やなぁ……
「お香でええんか?あんたは……何者や?異様に棒の突きが速かったが」
俺はお香にそう尋ねた。
「鹿島新當流だ」
お香が俺をじっと見詰めそう言う。
「かしま?」
「そう、私は塚原の一門として生まれたが……」
「…………」
「おらは槍より太刀が得意だんべ。太刀なら二郎もおらに敵わねえど」
「え?」
俺はお香を見詰めた。
お香は少し笑みを浮かべている。
なんやよう分からんがちょっとおもろそうやな、こいつ。
妙に明るい雰囲気を放つ彼女を見ていると、俺の心の緊張は徐々にほぐれていった。
お香はじっと俺を見詰め、微笑みを浮かべている。
俺も彼女の美しい瞳を見詰め、つい微笑み返していた。
俺達一行は遥か亀山へと向かい、京の町中を行進していく。
京の人々は俺ら一行に頭を下げている。
隣のお香は相変わらず笑みを浮かべ俺を見詰めていた…………




