♥ 上空 2 / 対峙 1 / 大空の空中戦 1
離れた場所に何かが浮いている。
あれは──グリフォン?!
グリフォンって──、ファンタジー世界の動物よね??
どうしてファンタジー世界の動物が居るの??
それにグリフォンの背中に座っているのは誰なの??
あれが、あの人が霄囹なの??
巨大なグリフォンと対峙するかのように朱雀が進むのを止める。
霄囹(?)
「 ──やぁ、衛美ぃ、久し振りだねぇ!
元気にしてたかい?
僕に会えなくて寂しくて泣いてなかったかなぁ? 」
衛美
「 はぁ??
どうして私が寂しがったり泣いたりしないといけないのよ! 」
霄囹(?)
「 強気だねぇ、衛美ぃ。
勝ち気な衛美も好きだよ!
はははっ!
──あれぇ?
玄武は居ないのかい? 」
衛美
「 ちゃんと居るわよ!
視力が悪いんじゃないの? 」
実体化していない玄武は霄囹にも見えないみたい。
目の前に居る霄囹は式神じゃないんだ。
じゃあ、生身の人間??
それにしても、容姿と声が一致してなさ過ぎないかしら??
前髪に赤メッシュの入った金髪の美青年が、生意気な小学生の声で話し掛けて来る。
低学年で声変わりしてない甲高い声。
う〜ん……「 名●偵コ●ン 」に登場するコ●ン君みたいに、大人を見下した時みたいな鼻につく小生意気な声!!
外見も声も、むっかつくぅ〜〜。
衛美
「 何で、こんな酷い事をするの! 」
霄囹(?)
「 酷い事ぉ?
一体何の事かなぁ?? 」
衛美
「 惚けないで!
赤い雪を降らせたり、500人近い国民を誘拐したり、誘拐した500人を犠牲にして妖樹を召喚したり、地震を起こしたりした事よ!!
今だって地震を起こしてるでしょ!
それに、日本中に妖樹を召喚しようとしてる!
違う? 」
霄囹(?)
「 えぇ〜〜〜。
何で全部知られてるのかなぁ…。
あははっ!
凄いねぇ、衛美ぃ。
全部、玄武の入れ知恵だろう?
玄武はお喋りだなぁ!! 」
衛美
「 ──霄囹、妖樹を召喚するのを止めて!!
これ以上、地震を起こさないで!! 」
霄囹(?)
「 えぇっ??
何それぇ?
衛美ぃ、もしかして僕に “ お願い ” してるのかい?
可愛いなぁ…。
ゾクゾクしちゃうねぇ…。
それも玄武の入れ知恵かなぁ?
ゲスい式神だなぁ!!
衛美は確かに可愛いよぉ。
眞小呂の面影もある。
だけど──、衛美は眞小呂じゃない。
衛美の “ お願い ” は聞けないなぁ 」
衛美
「 交渉決裂って事になるのかしら? 」
霄囹(?)
「 気が早いなぁ、衛美は!
妖樹の召喚を止めてもいいよ。
僕の条件を呑んでくれるならねぇ! 」
衛美
「 条件??
どんな条件なの?
一応、聞いてあげてもいいわよ! 」
霄囹(?)
「 強気だねぇ。
衛美ぃ。
身体は衛美のままでいいよ。
中身が眞小呂ならね! 」
衛美
「 中身が眞小呂って──どういう事よ? 」
霄囹(?)
「 僕はねぇ、眞小呂が欲しいんだよ。
感動の再会がしたいんだ!
衛美の魂の奥底で眠っている眞小呂を目覚めさせてよ!
眞小呂が目覚めたら、僕は眞小呂と感動の再会が出来るんだよぉ!
僕は眞小呂1つになりたいんだぁ 」
衛美
「 ──はぁ?
無理でしょ!
頭、イカれちゃってるんじゃないのぉ?! 」
霄囹(?)
「 無理じゃないよ。
身体は女のままなんだからねぇ。
僕はねぇ──、眞小呂を身体の隅々まで凌辱したいんだよぉ。
僕の子供を沢山産ませたいんだよぉ。
僕と眞小呂が、新世界のアダムとイヴになるんだ!
どうだい、素敵だろう?
僕と眞小呂の子供達が、新世界を支配する新人類になるんだよぉっ!!
今の世界中に我が物顔で蔓延ってる旧人類には絶滅してもらおうと思っててねぇ──。
手っ取り早く人類を絶滅させる為に、態々異界から妖樹を召喚したんだよぉ。
僕と眞小呂だけの楽園を作る為にねぇっ!! 」
衛美
「 新世界…??
人類を絶滅!?
──じゃあ、日本人を絶滅させたら次は世界に手を出すつもりなの?! 」
霄囹(?)
「 いいや。
もう世界にはとっくの前に手を出してるよ。
日本に世界の情報が入らないのは、僕達が偽装して隠蔽した嘘っぱちな情報を流しているからだよ。
地球には砂漠が多くていいよねぇ。
丁度良いからさぁ、砂漠に大量の妖樹を召喚したよぉ。
今や砂漠は妖魔を生み出す妖樹の森と化してるよぉ。
外国にはさぁ、法力を扱える祓い屋が居ないから、妖魔の侵略も早いんだよねぇ。
そうそう、外国人ってさぁ、兵器を使うのが本っ当に好きだよねぇ!
妖樹や妖魔の大群に最新式のミサイルを惜しみ無くブチ込んで来る軍隊は見物だったよぉ。
未だ抵抗してるけど、日本中に妖魔が蔓延る頃には、ほぼ全滅してるんじゃないかなぁ?
あはははははははははっ!!!! 」
衛美
「 ──酷いっ!!
楽園だなんて、くだらないものの為に、世界中に妖樹を召喚するなんて!! 」
霄囹(?)
「 くだらなくないよ。
最も崇高な目的なんだからね!
衛美には分からなくても仕方無いよ。
分かってもらうつもりなんて微塵もないよ★ 」
衛美
「 ………………召喚を止める気なんてないんじゃない… 」
霄囹(?)
「 あるわけないだろ。
旧世界を楽園へ作り替える為に必要な工程なんだからさぁ!
未々これからだよ。
これからどんどん犠牲者が増えるからねぇ!
日本は妖樹大国になるのさ!!
天災程じゃないけど、地震もしょっちゅう起きるようになるし、地殻変動だって起きるよぉ。
津波も来るかも知れないねぇ!
火山も爆発しちゃうかもねぇ!
これからもっともっともぉ〜〜〜とっ、面白くなるよぉ!!
犠牲者の霊魂は強制的に妖樹召喚に使うから、餌には困らないしねぇ!!
あはははははっ!! 」
◎ 訂正しました。
グリホォン ─→ グリフォン