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♥ これは式神  作者: 雪*苺
十一日目 / 木曜日 5月2日
83/104

♥ 瀬圉家 2 / 本家 2 / 別邸 2 / リビング 2


衛美

「 ねぇ、花はだ咲いてないわよね? 」


玄武

ようか?

  だ咲いてはないな。

  ようを咲かせるには大地に張った根が新たな環境に慣れる必要がある。

  それに栄養も必要だからな。

  ようが咲く時には、甘い香りが漂う。

  人間には毒だ。

  吸い込まない方がいい 』


衛美

「 吸い込んじゃったらどうなるの? 」


玄武

『 一種の麻薬のようなものだ。

  ようじゅに対してメロメロになる。

  生まれてくるようべさせる為に餌を集める為の香りだ 』


衛美

「 香りは防げないの? 」


玄武

『 空気に混ざるからな。

  無理だ 』


衛美

「 マスクをしても? 」


玄武

『 マスクをしても息は出来るだろう。

  無理だな 』


衛美

「 …………防ぎようがないなんて有り得るの?? 」


玄武

『 香り成分は空気に溶けてしまうからな。

  防護マスクをしても防げないな 』


衛美

「 ──じゃあ、ようは倒せるのよね? 」


玄武

『 一応は生物だからな。

  倒せない事はないな。

  倒せる事は倒せるが、一般人には無理だ。

  ようを構成しているを消し去る事が出来るのは、ほうりきの使える陰陽師,退魔師だけだ。

  霊的存在ではないからな、祓う事やじょれいじょうれいなど出来ない 』


衛美

「 お祖父様と伯父様に教えないと! 」


玄武

わざ(わざ)教えるのか? 』


衛美

「 教えるに決まってるでしょっ!!

  放っとけないもの。

  ちなみにようじゅは燃やせるの?

  切り倒したり出来るの? 」


玄武

『 出来ないな。

  空気中に漂うあらゆる不純物を体内へ取り込み、光合成によって、体内で清浄な空気へ変換し体外へ吐き出す。

  人間には嬉しい現象だ。

  不純物を体内へ取り込み、新たな環境に慣れる為の作業であって、人間の為ではない。

  不純物は無くならないからな、ようじゅには楽園だろう。

  環境に順応出来ると、取り込んだ不純物を体内で魔素へ変換させる。

  十分なようじゅの中に蓄積すると、ようじゅようを咲かせる。

  順調に進めばようが咲くのは1ヵ月後か 』


衛美

「 1ヵ月?!

  ほんね?

  花が咲く迄は1ヵ月も時間があるのね? 」


玄武

『 早く見てもな。

  但し、しょうれいが関わっているなら、早まる可能性はある。

  そう(そう)に手を打つなら、うかうかはしていられないな 』


衛美

「 どうしたらいいの?

  燃やせないし、切り倒せないなら、どう対応したらいいの?? 」


玄武

『 空気中に漂う不純物を取り込ませなければ、遅らせる事は出来るだろうが…。

  しょうれいようじゅの事は知っている。

  なんかの妨害はしてるだろうな 』


衛美

「 ………………そんなぁ… 」


玄武

『( ──しょうれいめ、余計な事を…。

   そんなにたましいの奧底で眠っているを呼び起こしたいのか?

   が目覚めれば、えいと入れ替わる。

   えいに戻れる保証はない。

   だが…なら──。

   自身の霊魂たましいを式神こうりゅうへ変換したならば……ようじゅを消滅させる事は出来ずとも、どうにか出来るかも知れないが…。

   確証はない── )』


衛美

げん、どうしたの? 」


玄武

『 …………どうもしない。

  えいの気が済むなら教えればいい 』


衛美

げん……がとう!

  お祖父様と伯父様に話すにしても、ようじゅの資料を作らないといけないわね。

  げん、手伝ってね 」


玄武

『 監修なら任せるといい。

  幼児にもわかるように教えてやろう 』


衛美

「 幼児は言い過ぎよ? 」


 私はげんに手伝ってもらいながら、突然現れた地震を起こした原因でもあるようじゅに関する資料を手作りする事にした。


 今年のゴールデンウィークは、とんでもない事になっちゃったけど、残念がってる場合じゃないと思うの。


 お祖父様と伯父様に資料を渡して読んでもらっても──、げんから教えてもらった事を話しても──、2人から信じてもらえるとは限らない。


 一応は聞く耳を持ってもらえて、話を聞いてもらえたとしても──、げんと私が別邸に戻ったあと、資料がゴミ箱へ捨てられてしまうかも知れない。


 悪い事ばかり考えても仕方無いと思うけど、可能性は捨て切れない。


 幾ら実体化したげんを実際に見たからと言って、まる(まる)全てを素直に信じてもらえるとは思えない。


 むずかしいと思う。


 まで信じてもらえるか分からないけど、私に出来る事があるなら、少しでもなにかしたいと思うの。






衛美

「 ──どうかしら?

  これで大丈夫かしら? 」


玄武

『 そんなものだな。

  必要があれば実体化してワタシが話してもいい 』


衛美

げん……。

  どういう風の吹き回しなの?

  がたいけど… 」


玄武

『 単に暇潰しになればと思っただけだ。

  ときつぐが信じないなら別にそれでも構わない。

  7ヵ月後が楽しみになるだけだからな 』


衛美

げん……。

  ──お祖父様と伯父様に話す前にづるさんには話しておきたいわ。

  づるさんならげんの凄さを間近で見て実感してるし、絶対に信じてくれると思うの! 」


玄武

えい、無闇に “ 絶対 ” という言葉は使うものではないぞ。

  人間は〈 久遠(しん)実成(ぶつ) 〉ではないのだからな。

  驕り高ぶるのはくない 』


衛美

「 別に驕ってないし…高ぶってもないんだけど… 」


玄武

『 人間に “ 絶対 ” はない。

  かる(がる)しく使わないように気を付ける事だ 』


衛美

げん……。

  …………そうよね?

  折角、げんが教えてくれたんですものね。

  なるべく気を付けるようにはするわ… 」


玄武

『 不服そうだな。

  そんなえいも可愛いが 』


衛美

「 …………もぅ…(////)

  私は大学生になったんですからね!

  子供扱いはめてよ…(////)」


玄武

『 子供扱いはしてない。

  妹扱いだ 』


衛美

「 言い方を変えたって駄目なんだからね! 」


 げんったら、口元を扇子で隠して笑ってるわ!!


 もうっ!!(////)

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