♥ 大学 1 / 図書館 1 / テラス
──*──*──*── 大学
──*──*──*── 図書館
──*──*──*── テラス
図書館の中で資料本探しをして、今は休憩中。
図書館にはテラスがあって、青空の下でお茶を飲みながら休憩の出来る場所。
勿論、此処で借りた本を読んだり、勉強してもOKな場所。
玄武
「 ──まさか、この大学にも行方不明者が居たとはな 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
やはり、赤い雪の降っていた日に行方知れずになっていたらしい 」
衛美
「 楽しいGWが来る前に行方不明になっちゃうなんて、可哀想よね… 」
厳蒔弓弦
「 赤い雪が降っていた月曜日に、この近辺で事故や事件は起きていないそうだ 」
玄武
「 行方不明者が家を出てから大学までの道程でも事件や事件は起きていない 」
衛美
「 ……誘拐されたのかしらね? 」
玄武
「 行方不明者は金持ちでもなかろうに。
誘拐するか? 」
衛美
「 まぁ、確かに…お金持ちではないとは思うけど、子供を大学へ通わせれるぐらいの余裕はあるんだから、裕福な家庭なのよ 」
厳蒔弓弦
「 金銭目的の誘拐なら、実家がもっと金持ちの学生が幾らでもいる。
金銭目的の誘拐ではないと思うな。
誘拐とは限らないが… 」
衛美
「 大学に行く為に自宅を出たのに家出なんてしないわよね… 」
玄武
「 どうだろうな。
大学へはきちんと行くが、自宅へは帰らず家出をする者も中には居るだろう。
両親が勝手に “ 行方不明だ ” と騒いでいるだけで、大学には普通に通いに来ているかも知れないぞ 」
衛美
「 まぁ…ね、そういう人も中には居るかも。
でも、家族関係は良好だったみたいだけど? 」
玄武
「 TVの前だろう。
本来は仲違いをしているが、世間体を気にしてTVようコメントをしている場合もあるだろう 」
厳蒔弓弦
「 日本全国で行方不明者が出ている事に便乗し、殺害した子供を何処かへ埋めた後、捜索願いを出し、被害者家族を装う場合もあるな 」
衛美
「 その凶悪事件はTVで見た事あります!
外国であったんですよね。
女の子ばっかりの誘拐事件が起きて──。
犯人は捕まって、誘拐された子達は皆殺されてましたけど、 “ 1人だけは誘拐してないし、殺してない ” って犯人が訴えていたんですよね。
だけど、警察からも世間からも全然信じてもらえなくて──。
それでも犯人は40年間ずっと “ その子だけは違う。オレじゃない ” って訴えて続けていたけど、やっぱり信じてもらえなくて、有名な霊能者に依頼して “ 無実を証明してほしい ” って依頼をしたまま獄中で亡くなったんですよね…… 」
玄武
「 それなら覚えている。
誘拐した少女達に散々酷い事をした挙げ句、惨たらしい殺し方をしといて無実もないがな 」
厳蒔弓弦
「 犯人は別に居たのか? 」
衛美
「 弓弦さんは結末を知らないんですね。
犯人から依頼を受けた霊能者は双子の霊能者で、彼女達は半年で犯人達を突き止めたんです。
霊能者に依頼した犯人の疑いは晴れました。
疑いが晴れても罪は消えませんけど…。
双子の霊能者が突き止めた犯人は、行方不明になっていた少女の育ての親だったんです。
反抗期だった少女を落ち着かせようとして、手違いで殺してしまったそうです。
その時、ちょうど歳の近い女の子達の誘拐事件が起きていたので、 “ 捜索願いを出せば、娘も誘拐犯に誘拐されたって思われて、上手くいけば誘拐犯に罪を擦り付けれるかも知れない ” って考えたそうです。
思惑通り、40年間は犯人の仕業だと思われていたけど、双子の霊能者の活躍で夫婦は逮捕されたんです。
育ての親に殺された少女の白骨死体は庭にあるベンチの下から発見されたみたいです 」
厳蒔弓弦
「 白骨でも見付けてもらえて良かったな 」
衛美
「 本当ですよね。
今から10年程前に実際に起きた事件らしいです 」
玄武
「 双子の霊能者が得意なのはペンデュラムダウジングだったな。
ペンデュラムが激しく揺れた場所を掘ると、白骨死体が出て来たそうだ 」
衛美
「 天然石のペンデュラムって残留思念に反応するのね 」
玄武
「 不純物の入ってない高純度のクリスタルは残留思念に反応するようだな 」
衛美
「 高純度のクリスタルかぁ…。
高そうね… 」
厳蒔弓弦
「 高いだろうな。
天然石が好きで集めている同僚が居るが、高純度の天然石なら安物でも数百万はするそうだ 」
衛美
「 えぇっ??
安物でも数百万もするんですか??
お手頃価格で買える天然石ばかりじゃないんですね… 」
玄武
「 ──ところで弓弦に呪いに関する資料を頼んだ友人は誰なんだ 」
厳蒔弓弦
「 あぁ…藺羨駛夏だ 」
衛美
「 いうらや…はやか??
誰ですか?
…………女性…ですか? 」
厳蒔弓弦
「 いや、駛夏は男だ。
幼馴染みでな、現在はオカルト雑誌の “ 月刊UA ” のライターをしている。
代々陰陽師の家系で育ったが、陰陽師にはならずに “ 月刊UA ” に就職して、今や売れっ子らしい 」
衛美
「 そ、そうなんですか…。
月刊UAって読んだ事ないですけど、何か怪しそうな雑誌ですね… 」
厳蒔弓弦
「 まぁな。
実際に怪しい雑誌だな。
信憑性はないし、 “ らしい ” やら “ かもしれない ” ばかりの内容ばかりの娯楽雑誌だからな。
衛美には薦めたくない雑誌だ 」
玄武
「 陰陽師の家系で育ったなら、式神は使役出来るのか? 」
厳蒔弓弦
「 出来たと思うぞ。
強い式神を使役する事は出来ないが、身の丈にあった式神に身の回りの雑用をさせてるらしい 」
玄武
「 中々賢い奴だな 」
衛美
「 藺羨駛夏さんって、どんな記事を書くのかしらね? 」
玄武
「 気になるなら買ってみてはどうだ?
本屋で売ってるだろう 」
衛美
「 買うのはちょっと……。
図書館の中にないかしら? 」
厳蒔弓弦
「 探せばあるかも知れないな。
この図書館は無駄にオカルト関係の書籍が多いからな 」
衛美
「 私、探してみていいですか? 」
厳蒔弓弦
「 私は構わない。
後は資料になりそうな部分に付箋を貼るだけだからな 」
玄武
「 要らない本を棚に戻した後は、ワタシが頁のコピーをしよう 」
厳蒔弓弦
「 そうしてもらえると助かる。
付箋を貼り終えたら私もコピーを始める 」
玄武
「 そろそろ戻るか 」
厳蒔弓弦
「 そうだな 」
話を切り上げて、私は玄武と弓弦さんとテラスを後にした。