♥ 瀬圉家 / 本家 / 別邸 / リビング
──*──*──*── 本家
──*──*──*── 別邸
──*──*──*── リビング
玄武の転移陣で図書館から別邸のリビングへ戻って来た。
玄武はルルゥアンリィで買ったお持ち帰り用のタルトを食べたそう。
衛美
「 ──玄武、弓弦さんがビーフシチューを作ってくれるんだから、タルトはお預けだからね 」
玄武
「 タルトはビーフシチューが出来る迄の繋ぎだ。
衛美も食べればいい 」
衛美
「 玄武!
タルトは置いて!
それより、私に用意した退魔師の衣装は何処にあるの?
見たいから出して 」
玄武
「 分かった。
着替えるなら出そう 」
衛美
「 着替えるのはビーフシチューを食べ終わったらよ。
決まってるでしょ!
──そうだわ。
お祖父様と伯父様に話す為の資料を作らないと!
ビーフシチューが出来るまで時間あるし、手伝ってくれるんでしょう? 」
玄武
「 そうだったな 」
弓弦さんが夕食を作ってくれてる間、私は玄武に資料作りを手伝ってもらう事にした。
衛美
「 ──出来たぁ!!
玄武、お祖父様と伯父様に読んでもらう資料はこれで大丈夫かしら? 」
玄武
「 ワタシが監修したのだから、大丈夫に決まっている。
資料作りの経験のない衛美が頑張って作った感が滲み出ている。
心を打たれ号泣する事、間違いなしだな 」
衛美
「 本当?
お祖父様と伯父様は信じてくれるかしら?? 」
玄武
「 さぁな。
期待はしない事だ。
衛美の衣装はソファーの上に置いたぞ 」
衛美
「 有り難う、玄武!
──ねぇ、何時この資料をお祖父様と伯父様に見せたら良いの? 」
玄武
「 それは追々な 」
──*──*──*── ダイニングキッキン
玄武
「 弓弦、ビーフシチューは何時出来るんだ? 」
厳蒔弓弦
「 もう直ぐ出来る。
ビーフシチューは煮込んでいる最中だ。
今は付け合わせを作っている 」
玄武
「 付け合わせか。
何を作っている? 」
厳蒔弓弦
「 大葉とチーズのアイデア餃子、タコのマリネ、アスパラのチーズ焼き、海老とリンゴのフリッター、ツナとアボカドのココット、カレー風味のイカリング、4種のアボカドエッグ、レタス,ホウレン草,玉ねぎのサーモンサラダ──、8品だな 」
玄武
「 随分と奮発したな。
良く短時間で8品も作れるものだ 」
厳蒔弓弦
「 予め下拵えは済ませてあるからな。
付け合わせを先に食べるか?
薄切りにしたパンも用意してある。
パンに乗せて食べてくれ 」
玄武
「 いいだろう 」
衛美
「 玄武……。
ビーフシチューが出来るまで待てないの? 」
玄武
「 待てないな。
衛美も食べたらどうだ 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
ビーフシチューはもう少し煮込むから先に付け合わせを食べてくれ。
あまったビーフシチューは明日、コロッケにしようと思うんだがどうだ? 」
衛美
「 え〜〜〜、ビーフシチューのコロッケですか?
食べたいです!!
玄武、呉々もビーフシチューを全部食べないでよ! 」
玄武
「 ビーフシチューのコロッケか。
美緒は作った事がなかったな。
食べてみたい。
いいだろう、コロッケに使う分は残しておこう 」
テーブルの上にはお洒落なペーパーランチシートが敷かれていて、ビーフシチュー用のお皿とスプーンが置かれている。
テーブルの空いた部分には付け合わせ料理が盛り付けられたお皿が並べられている。
玄武ったら早速、スライスされてるパンの上に付け合わせ料理を乗せて食べている。
私も椅子に腰を下ろして座ったら、胸の前で両手を合わせて「 いただきます 」をして、スライスされたパンに手を伸ばした。
パンの上に付け合わせ料理を乗せて食べる。
こういう食べ方って、ちょっとお洒落よね?
──*──*──*── リビング
弓弦さんが丹精込めて手際良く作ってくれた美味しい料理を御馳走になって夕食を済ませた私は、玄武がリビングにあるソファーの上には出してくれていた退魔師の衣装を持って、寝室で着替えて来た。
私がリビングへ戻って来ると仕事着──退魔師の衣装に着替え終えた弓弦さんと陰陽師姿の玄武が居た。
玄武は何時もの格好だから、見慣れちゃってて珍しくないけど、退魔師の衣装を着た厳弓弦さんの姿は新鮮だった。
弓弦さんが本物の退魔師なんだって事を実感する。
本物の退魔師を見たのは、今が初めてだし。
私の着ている衣装は弓弦さんの仕事着と御揃いだけど色違い。
弓弦さんの仕事着の色は、紺色と紫色が混ざったような黒色に近い色で、落ち着いた大人に見える。
私の衣装の色は薄紫色で、玄武の着ている狩衣と御揃いの色。
玄武の瞳と同じ紫色は守護色らしい。
玄武は何時もと同じ扇子を持っていて、弓弦さんは弓を持っている。
あれが魔具師に作られた魔喰いの弓なんだ…。
弓弦さんにしか扱えない世界で1つしかない弓弦さんだけの魔喰いの弓。
なんかカッコイイ!!
弓弦さんは長い髪が邪魔にならないように後ろで三つ編みにして結んでいる。
因みに弓弦さんも私も別邸で過ごす間に必要な衣服類とかを自宅から持って来ている。
勿論、玄武の転移陣を使ってね!
玄武
「 準備は出来たな。
忘れ物はないか? 」
衛美
「 私は手ぶらだからOKよ 」
厳蒔弓弦
「 私も魔喰いの弓さえあればいい 」
玄武
「 衛美、この眼鏡を掛けていろ。
≪ 瀬圉家 ≫の娘だと知られない為の眼鏡だ。
野良式神も見えるようにした 」
衛美
「 有り難う、玄武 」
玄武から手渡されたのは、レンズが渦巻いているだっさいグルグル眼鏡。
眼鏡には度は入ってない伊達眼鏡みたい。
玄武
「 依頼場所へ転移するぞ 」
玄武の姿が消えると転移陣が発動した。