♥ ルルゥアンリィ 1 / ランチタイム 1
──*──*──*── ルルゥアンリィ
玄武
「 ──水曜日はタルトか。
苺だけでなく他の果物タルトも食べれるのは嬉しいな 」
実体化した玄武は、タルトのメニューを見ながら嬉しそうにはしゃいでいる。
衛美
「 玄武、メニューに載ってるタルトを全部注文するのは駄目よ 」
玄武
「 残さず食べる。
いいだろう? 」
衛美
「 駄目よ、駄目!
幾らすると思うのよ 」
厳蒔弓弦
「 衛美、私が払う。
好きなだけ食べてもらおう。
今夜から忙しくなるのだろう? 」
玄武
「 話が分かるな、弓弦。
依頼を達成した報酬は期待していいぞ 」
衛美
「 …………ねぇ、本当に今夜から始めるの? 」
玄武
「 当然だ。
夕食を済ませたら現場へ直行する。
転移陣を使うからな、交通費は掛からない 」
衛美
「 ……今夜は何時まで続けるの? 」
玄武
「 23時までだな。
18時から始めるとして、約5時間だ 」
衛美
「 じゃあ、遅くても17時45分には夕食を済ませないといけないのね 」
厳蒔弓弦
「 夕食はビーフシチューでいいか? 」
衛美
「 ビーフシチューですか?
私、ビーフシチュー大好き♥
楽しみです♪ 」
玄武
「 おかわりは出来るんだろうな? 」
厳蒔弓弦
「 大鍋で作るからな。
何杯でもおかわり出来る 」
玄武
「 それは楽しみだ 」
衛美
「 もぅ〜〜。
玄武ったら… 」
私の左隣に座っている玄武は、店員さんを呼んでメニューの中からタルトを注文している。
玄武の辞書には “ 遠慮 ” っいう文字は無いみたい。
図書館関係者の弓弦さんは、休校中の大学にも入れるみたいで、今日の午前は昨日の続きで、弓弦さんが友人から頼まれた呪い関連の資料になりそうな本を探す作業をした。
午後も図書館へ戻って作業の続きをするんだけど、昼食はルルゥアンリィで済ませる事にした。
玄武の転移陣を使って、午前は別邸のリビングから図書館へ移動した。
図書館からルルゥアンリィへ向かう時も、玄武の転移陣を使った。
ルルゥアンリィで昼食 & スイーツを済ませたら、玄武の転移陣で図書館へ戻る予定なの。
序でに図書館から別邸のリビングへも玄武の転移陣を使って帰る予定。
転移陣って便利よね。
今夜から始まる玄武が始めた仕事の内容だけど、何処の誰からどんな依頼を受けたのか分からないし、何件の依頼を受けたのかすら分からない。
玄武ったら全然、教えてくれないのよね。
そうそう、弓弦さんは強引な玄武の言う通りに退魔師組合を独立しちゃて、【 四星玄武の退魔所 】の正社員になってくれた。
因みに退魔師の知識も経験も全然無いのに、私は弓弦さんの後輩として退魔師見習いをする羽目になった。
玄武ったら、私用に退魔師の衣装を用意してくれてるみたい。
弓弦さんが着ている衣装と御揃いなんだけど、色違いらしいの。
ちょっと気になる。
── “ 気になる ” と言えば、今朝のニュースで見た行方不明者達の事が妙に気になったりしてるのよねぇ…。
赤い雪が降っていた一昨日、行方不明者が多発していたみたいなの。
とは言っても行方不明者の届け出が出たのは翌日なわけだけど…。
行方不明者と言っても──、家出なのか,失踪なのか,誘拐なのか,監禁なのか,事件なのか,事故なのか,神隠しなのか……何が原因なのかは未だ分かっていないみたい。
きっと、これから分かって来るんだろうな──って思う。
ニュースでは──、赤い雪が降っていた日、日本全国の都道府県から行方不明者が出たみたい。
届け出が出ている県で行方不明者が多いのは10名。
性別,年齢,職歴,国籍,人種に一切の関連性はないみたい。
行方不明者は、子供だったり,学生だったり,大人だったり,お年寄りだったり,外国人だったり──。
一昨日からの行方不明者を合わせると、400名以上は居るみたい。
こんなに沢山の人達が一昨日から行方不明になってるのは、どうしてなのかしら??
玄武は「 赤色に染まっているただの雪だ。何ともない 」みたいな事を言っていたけど……、あの赤い雪は身体に何等かの害を及ぼしていたんじゃないの??
400名以上の行方不明者は何処に居るのかしら…。
ちゃんと見付かるのかしらね??
厳蒔弓弦
「 ──衛美、どうした。
タルトは嫌いか? 」
衛美
「 えっ??
あ……タルトは好きです。
美味しいですよ、苺のタルト 」
玄武と私のお向かいに座っている弓弦さんは、心配そうな顔で私に声を掛けてくれた。
私ったら美味しいタルトを目の前にして、思い詰めたような顔をしてたのかしらね?
ニュースの事は横に置いとこう。
今は目の前にあるタルトを味わって食べなくちゃね!
玄武
「 ──このパイナップルのタルトも美味いな。
衛美、明日は木曜日だったな 」
衛美
「 そうね。
明日はロールケーキの日ね 」
玄武
「 明日の昼食も此処で決まりだな! 」
衛美
「 はいはい… 」
厳蒔弓弦
「 ははは。
1日毎にメニューが変わると通うのが大変だな 」
衛美
「 本当ですね。
今がGWで良かったです。
──それにしても……GWのお昼時なのに御客さんが少ないのは、どうしてかしら?
女性に人気のスイーツ店だし、賑わっていてもおかしくない筈なのに… 」
玄武
「 意外にタルトは人気がないのではないか?
こんなに美味いのにな 」
衛美
「 それは違うと思うわ…。
女性は意外とタルトが好きよ。
食べ易い一口サイズのタルトもあるぐらいだし 」
厳蒔弓弦
「 ホールでタルトを注文する客は玄武ぐらいだろうな 」
玄武
「 そうか?
タルトのホールは小さいからな、全種類制覇は楽勝だぞ 」
衛美
「 もぅ、制覇しなくていいから… 」
玄武
「 このキューイタルトも美味いな!
イチジクタルトも美味い。
梨タルトも── 」
衛美
「 はいはい。
そりゃ良かったわ… 」




