♥ モレットモール 5 / 2:1デート 5 / 楽器屋 1
──*──*──*── 楽器屋
衛美
「 ──わぁっ!
ピアノとエレクトーンがある!
良いなぁ〜〜 」
玄武
「 本邸には立派なピアノが置かれていたな 」
厳蒔弓弦
「 本邸にあるのはランクの高いグランドピアノのランクだろうな。
色んな種類の楽器を1度に見れるのは楽しいな 」
厳蒔弓弦
「 衛美、試し弾きも出来るみたいだぞ。
折角来たんだ。
触ってみたらどうだ? 」
衛美
「 そうね。
なかなか楽器を触れる機会なんてないものね 」
私は家庭用の小型ピアノを触ってみた。
厳蒔弓弦
「 衛美は何か弾ける曲はあるのか? 」
衛美
「 えっ?
え〜と……ねこふんじゃった,ド○ミちゃん,きらきら星,こぎつねコンコンの途中までなら弾けます… 」
厳蒔弓弦
「 途中までなのか? 」
衛美
「 はい…(////)」
玄武
「 衛美、折角だ弾いてみたらどうだ? 」
衛美
「 えぇっ?!
嫌よぉ!
上手に弾けないし、恥ずかしい!! 」
玄武
「 弓弦もピアノを弾く衛美を見たいだろう? 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
“ ド○ミちゃん ” がどんな曲なのか気になる。
聞かせてほしい 」
衛美
「 えぇ〜〜〜…(////)」
玄武
「 衛美、女は度胸と行動力だぞ 」
衛美
「 わ…分かったわよぅ 」
弓弦さんは私が弾こうとしてる “ ド○ミちゃん ” を楽しみにしてくれてるみたい。
弾きたくないわぁ…。
衛美
「 私、片手弾きしか出来ませんからね。
指使いも全然ですからね! 」
玄武
「 良いから早く聞かせてやれ 」
私を急かして弾くように促す玄武を一睨みしてから、私は “ ド○ミちゃん ” を途中まで弾いてみた。
衛美
「 ──こんな感じです(////)」
玄武
「 ふふふっ──ふはっ!
衛美……全然上達してないな…(////)
寧ろ昔より酷くなってるように聞こえたぞ 」
衛美
「 ──笑うな!
しょうがないでしょ!
家にはピアノどころか、オルガンだって無いのよ。
練習が出来ないんだから上達するわけないでしょ! 」
私にピアノを弾かせるだけ弾かせた玄武は、広げた扇子を口に当てて可笑しそうに笑い転げている。
衛美
「 もう、玄武!
幾ら私が下手っぴだからって、笑い過ぎよ!! 」
玄武
「 然しな…『 笑うな 』と言われても……これは、無理だ(////)」
衛美
「 玄武ぅ〜〜〜!! 」
玄武
「 衛美、次は “ こぎつねコンコン ” を弓弦に聞かせてやったらどうだ? 」
衛美
「 もう弾きません!!
──あ…あのぉ……弓弦さん…?
御免なさい…私、本当に下手で…(////)」
厳蒔弓弦
「 あ…いや…うん…(////)
…………良かったと思う(////)」
衛美
「 へ??
そ…そうですか?(////)」
どうしたのかしらね?
弓弦さんの顔が赤く見えるんだけど…。
右手で口元を隠してるし…。
玄武
「 弓弦もツボったのか?
衛美、弓弦も面白かったみたいだぞ。
良かったな! 」
衛美
「 嬉しくないわよ…。
弓弦さん……大丈夫ですか? 」
厳蒔弓弦
「 あ、あぁ…大丈夫だ。
何でもない(////)
気にしないでくれ(////)
( 確かに衛美の弾き方は御世辞にしても “ 上手い ” とは言い難いものだが、ピアノを弾いている衛美は飛びきり可愛い(////)
…………どうしたものかな…(////) )」
玄武
「 笑い過ぎて腹筋が痛むのではないか? 」
衛美
「 ──玄武は少し黙って! 」
玄武
「 ──弓弦は何か弾けたりしないのか?
弓道一筋だったから弾けないか? 」
厳蒔弓弦
「 私か?
弾けない事はない。
学生の時は伴奏者をした時もあるからな 」
衛美
「 えっ?
弓弦さん、ピアノを弾けるんですか? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ。
弾ける曲は少ないが、一応弾けはする 」
玄武
「 ほう?
何が弾けるんだ? 」
厳蒔弓弦
「 ──そうだな……国歌,小学校の校歌,中学校の校歌,高校の校歌,蛍の光,仰げば尊しが弾ける。
後はクラシックを少し…だな 」
衛美
「 えぇっ?!
凄いですね…。
校歌を弾けちゃうんですか? 」
厳蒔弓弦
「 まぁな。
小,中,高でピアノ伴奏を一時期していたからな。
卒業してからは弾いてないから何処まで弾けるか分からないが 」
玄武
「 弓道も出来て、伴奏者経験もあるとは流石だな。
衛美とは雲泥の差だ 」
衛美
「 放っておいて!
弓弦さんはピアノにも興味があったんですか? 」
厳蒔弓弦
「 いや、全然無かったな 」
衛美
「 えっ……無いのにピアノを弾いてたんですか? 」
厳蒔弓弦
「 ピアニストを目指していた姉に強制されてな。
何時の間にか弾けるようになっていた 」
衛美
「 お姉さんの…。
ピアニストって、お姉さんは退魔師じゃないんです? 」
厳蒔弓弦
「 退魔師は男子だけだ。
弓道も男子が習うものだしな。
姉達は自分のなりたい職業に就いて、好きな仕事を楽しんでいる。
≪ 厳蒔家 ≫は男系だからな。
男子より女子の方が人生の選択に対しては自由なんだ。
女子も弓道を習ってもいいし、退魔師になっても構わないが、姉達は別の道を選んだ。
女子は家を継がずに嫁ぐ側だからな、姉達に対しては割りと放任主義だったな 」
衛美
「 そうなんですね… 」
玄武
「 弓弦の姉達は退魔師とは無縁な人生を謳歌してるわけか 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
長女は有名なピアニストとして、今は世界中を飛び回り、演奏している。
次女はエステシシャンとして、日本に7店舗を持つ社長だ。
3女はネイリストとして、主に芸能関係で有名らしい。
4女は弓道経験があり、海外へ留学したまま大学で研究員をしている 」
衛美
「 世界に出ちゃってるなんて凄いですね… 」
玄武
「 一癖も二癖もありそうな姉達だな 」
衛美
「 玄武!
失礼でしょ! 」
厳蒔弓弦
「 いや…、三癖も四癖もある質の悪い姉達だ。
出来るなら会いたくない… 」
衛美
「 弓弦さん…… 」
玄武
「 弓弦、何か弾いてみてくれ。
衛美に手本を見せてやってほしい 」
衛美
「 玄武、一言余計よ! 」
厳蒔弓弦
「 分かった。
弾いてみよう 」