♥ モレットモール 3 / 2:1デート 3 / フードコート 1
──*──*──*── フードコート
お目当ての映画を観終わった弓弦さん,玄武,私は2階にあるフードコートに居る。
テーブルの上には弓弦さんが腕に縒り掛けて作ってくれた料理が詰め込まれた重箱が置かれている。
弓弦さんは玄武の希望通り、和洋中の料理を作ってくれていた。
重箱は4段あって、1段目には和食,2段目には洋食,3段目には中華,4段目にはサンドイッチとご飯モノとパスタが綺麗に詰め込まれている。
食べるのが勿体無いぐらい綺麗だから、箸を付ける前に写メを撮らせてもらった。
衛美
「 玄武、欲張って食べ過ぎないでよ 」
玄武
「 分かっている。
衛美は食いしん坊だな 」
衛美
「 玄武に言われたくないわ… 」
中華の具は、千焼蝦仁,酢豚,青椒肉絲,回鍋肉,春巻き,棒棒鶏の6品。
洋食の具は、ハンバーグ,オムレツ,ローストビーフ,海老フライ,グラタン,コロッケの6品。
和食の具は、鶏の唐揚げ,とんかつ,卵焼き,しょうが焼き,鰤の網焼き,照り焼きチキン,豚バラ巻き,チーズボール揚げの8品。
最後の重箱には、サンドイッチと今朝の炊き込みご飯の稲荷寿司,2種類のパスタが入っている。
何れも美味しそう(////)
弓弦さん、奮発してくれたんだ。
衛美
「 いただきます! 」
胸の前で両手を合わせて合掌したら、弓弦さんが用意してくれたオシボリで両手を拭く。
右手に箸を持って、料理が詰められている重箱に手を伸ばした。
弓弦さんは席を立っていて、玄武と私の分の飲み物を取りに行ってくれている。
何処まで弓弦さんは親切なのかしら。
頭が上がらない。
幾ら私が婚約者になったからって……親切過ぎじゃないのかしらね?
両親以外から女の子らしい扱いをしてもらえてないから、弓弦さんの優しい気配りと思い遣りは嬉しいんだけど(////)
もしかしたら、女性不信を克服する為に、敢えて私に歩み寄って優しくしてくれているのかも知れないわね。
目的や目標があって、やる気もあれば、人は何れだけでも頑張れるんだもの。
私も弓弦さんが少しでも女性不信を克服出来るように微力ながら協力させてもらう事にしよう。
ただでさえ食いしん坊な玄武の事で金銭的に迷惑を掛けちゃうんだもの。
それぐらい協力しないと罸が当たっちゃうわよね?
衛美
「 ──それにしても、≪ 營譱家 ≫が監修してるだけあって、面白かったわよね。
映画であんなにハラハラ,ドキドキしたのは久し振りかも!
陰陽師と退魔師は完全に悪役ポジションだったけど、陰陽師と鬼達が激突して戦う戦闘シーンなんて迫力あって吃驚しちゃった 」
玄武
「 ワタシも楽しめた。
続編が楽しみだ。
是非とも観たい 」
厳蒔弓弦
「 続編は来年の冬に公開予定らしいな。
順調に撮影が進めばらしいが 」
衛美
「 でもでも、スタッフロールに弓弦さんの名字が出て来るなんて思いませんでした。
お兄さん、弓使いの退魔師として出演していたんですね 」
厳蒔弓弦
「 それには私も驚いた。
何時の間に撮影に参加していたのか… 」
衛美
「 最後は切なかったですね…。
陰陽師も退魔師も全滅手前でしたけど、鬼側は完全に全滅してましたし… 」
玄武
「 人間が作っているからだろう。
どんなに不利な状況に置かれても結局は人間が最後には勝つように作るものだ 」
厳蒔弓弦
「 抱き抱えられて逃げ延びた鬼の赤子が続編の主人公になるのだろうな 」
衛美
「 DVD、買っちゃおうかしら… 」
玄武
「 出来るものなら撮影現場を見学したいものだ 」
厳蒔弓弦
「 それは難しいかも知れないな。
≪ 營譱家 ≫が完全監修する程の作品だ。
部外者は立ち入り禁止になっているかも知れない 」
衛美
「 何はともあれ、来年の冬が楽しみね!
GW前に見れて良かったわ 」
玄武
「 再来週に観る映画はGWとやらの後に公開されるのか? 」
衛美
「 そうね。
GWは明後日からだもの 」
厳蒔弓弦
「 衛美はGWは何をして過ごす予定だ? 」
衛美
「 ん〜〜〜……特にはないです。
去年のGWは友達と会って遊んだりしましたけど、友達は県外の大学に行っちゃいましたし… 」
厳蒔弓弦
「 大学に友達は居ないのか? 」
衛美
「 …………実は未だ居なくて……。
何かサークルに入っても良いかな〜〜って思ったりしてます 」
厳蒔弓弦
「 そうなのか… 」
玄武
「 予定が無いなら好都合だ。
弓弦、退魔師組合を抜けて独立しろ 」
厳蒔弓弦
「 独立?!
玄武、いきなりどうした? 」
玄武
「 衛美も弓弦と私に付き合え 」
衛美
「 何なのよ、急に? 」
玄武
「 ワタシの食費を稼ぐ。
手伝え 」
衛美
「 唐突過ぎるわね… 」
玄武
「 退魔師組合は副業は禁止だろう。
ワタシが養ってやるから、ワタシが立ち上げる退魔所に就職しろ 」
衛美
「 はぁ?
玄武が “ 弓弦さんを養う ” って何よ?
玄武は文無しでしょ! 」
玄武
「 250万ある。
弓弦を養うぐらい出来る。
それに直ぐ大金持ちになる 」
衛美
「 何考えてるのよ… 」
玄武
「 衛美は弓弦が退魔師として戦う様子を見たいのだろう。
GW中は毎日見れるぞ 」
衛美
「 そりゃ言ったけど…… 」
玄武
「 どうだ、弓弦。
独立するか?
退魔所は弓弦が引っ越した部屋にすればいい 」
厳蒔弓弦
「 強引だな、玄武は… 」
衛美
「 玄武、弓弦さんに無理を言って困らせないで。
映画の影響でも受けちゃったの? 」
玄武
「 別に受けてない。
社長は養い主のワタシでいい。
陰陽師の四聖玄武にしよう。
社員は退魔師の厳蒔弓弦だ。
衛美は退魔師見習いだ 」
衛美
「 ちょっと、勝手に退魔師見習いにしないで!
私は戦い方を知らないのよ 」
玄武
「 衛美は戦う必要はない。
ワタシの隣で見学してればいい。
衛美が居ないとワタシは移動が出来ないからな 」
衛美
「 そういう事…… 」
玄武
「 どうだ、弓弦、給料は弾むぞ。
7:3だ。
7割りは弓弦の取り分だ 」