♥ 瀬圉家 19 / 本家 19 / 別邸 7 / ダイニングキッチン 3
厳蒔弓弦
「 …………玄武、衛美が幼い頃に保育園や小学校で事件のような騒ぎが何件か起きていた筈だが……、あれも玄武が関係しているのか? 」
玄武
「 保育園から高校までだな。
ワタシの可愛い衛美に危害を加えた害虫を駆除しただけだ。
殺してはないぞ。
衛美が嫌がるからだ。
衛柚の時と比べるとワタシも随分と寛大になったと思うぞ 」
厳蒔弓弦
「 そうか… 」
玄武
「 ワイドショーで取り上げられ、何日も報道されたのも何件かあったな衛美 」
衛美
「 嬉しそうに言わないでよ…。
私の気も知らないでぇ… 」
玄武
「 万能な式神等いない。
衛美の気持ち等分かるわけがない 」
衛美
「 …………便利な言葉ね、 “ 万能じゃない ” って! 」
厳蒔弓弦
「 確かにな。
言い訳に使うには以て来いの言葉かも知れないな 」
衛美
「 ──そろそろ着替えに戻ろうかしら?
玄武、私の部屋まで転移して 」
玄武
「 良いだろう。
弓弦も自宅へ戻るなら転移するぞ。
どうだ? 」
厳蒔弓弦
「 私も良いのか?
助かる 」
玄武
「 衛美は準備に時間が掛かるからな。
衛美を転移させたら、弓弦を転移させるとしよう 」
厳蒔弓弦
「 有り難う、玄武。
恩に着る 」
玄武
「 大した事ではない。
弓弦には美味い料理を食べさせてもらうからな 」
衛美
「 ──玄武、お願い 」
デザートを食べ終えて「 御馳走様でした 」をした私は、椅子から腰を上げて立ち上がった。
ダイニングキッチンとリビングの境目に玄武が立っている。
ダイニングキッチンとリビングを隔てるのは収納が出来る引き出し付きの1人用ソファー。
好きな場所に動かせる特注品のソファーみたい。
大型テレビも完備されていて、如何にも “ ザ・お金持ち ” って感じ。
本棚もあって、色んな書が入っているみたい。
私は読まないけど、弓弦さんは読書も好きみたいで、時間があれば料理関連の本を探しては読んでるみたい。
弓弦さんは本当に料理が好きなのね。
実体化していた玄武の姿が透け始める。
“ ◯◯陣 ” っていう眞小呂が生み出した術式は、実体化していると使えないみたいなの。
玄武が術式を使うには、実体化を解かないといけないみたいだから、ちょっと不便ね。
実体化してると本来の力の半分しか出せないみたいだから不便よね。
それでも十分に強いみたい。
どのぐらい強いのかは分からないけど、祿棠冥晶の強そうな式神が、実体化した玄武の前で滅茶苦茶ガクブルに怯えていたぐらいだから、相当強いのかも知れない。
強いのに実体化していたら術式が使えないとか、そんな縛り要るの??
どんな縛りプレイなのよぉ…。
玄武が転移陣を発動してくれる。
衛美
「 自宅の部屋に戻ったら、外出用の服に着替えないとね。
暫く此方で生活する事になるなら、荷造りもしないと…。
時間、掛かっちゃうかも… 」
玄武
『 時間なら十分あるだろう。
帰宅後に荷造りに戻っても構わないしな 』
衛美
「 そうね 」
転移陣が淡く光出す。
何かファンタジー世界に良くある魔法陣みたい!
私の視界から弓弦さんの姿が消えた。
私の視界に入って来たのは────。