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♥ これは式神  作者: 雪*苺
八日目 / 月曜日 4月29日
48/104

♥ 瀬圉家 18 / 本家 18 / 別邸 6 / ダイニングキッチン 2


厳蒔弓弦

「 ──今、げんが食べてるのが最後だ 」


衛美

「 えぇっ?!

  げんったら、また1人で食べちゃってるの??

  げんの食いしん坊!!

  少しは私に残しといてよ!! 」


玄武

いやだな。

  起きてこないえいが悪い 」


衛美

なんですってぇ!! 」


厳蒔弓弦

げんえいは仲がいな。

  まるで兄妹きょうだいのようだ 」


玄武

「 確かにな。

  惚れた弱味…と言うのかもな。

  ワタシにとってえいとしの離れた妹のような存在だ。

  可愛くて仕方無い 」


厳蒔弓弦

えいのような妹がいたら毎日が楽しそうで退屈しなさそいだな 」


玄武

「 ならば、づるえいを妹だと思えばいい。

 妹として接したら少しは女性不信も改善するかも知れないぞ 」


厳蒔弓弦

「 どうかな…。

  私の女性不信は身内の姉達が原因だからな…。

  難しいかも知れない…… 」


玄武

「 妹と姉は別物だぞ。

  妹に対しては兄の権限で命令も出来るし、パシリにも使えるからな 」


厳蒔弓弦

「 いや……婚約者のえいに命令は出来ない。

  パシリも流石にな…… 」


玄武

「 そうか?

  残念だな、えい


衛美

「 ちっとも残念じゃありません!!

  もう、好き勝手に言ってくれちゃって!

  なにが妹よ。

  孫の間違いでしょう 」


玄武

「 孫とは違うな 」


厳蒔弓弦

げんは千年以上も前に生み出された式神だったな。

  えいが孫でもおかしくないかも知れないぞ 」


玄武

「 ………………。

  いや、やはり違うな。

  孫と言うより妹だ。

  は弟のような存在だったしな 」


衛美

「 ねぇ、げん……。

  私はしじほんに私の前世なの? 」


玄武

「 そうだ。

  こうはらえいひめえいえいの前世だ 」


衛美

「 …………なんか信じられない話よね…。

  私がお祖母様(瀬圉遠古)お祖母様(瀬圉衛柚)だったなんて、嘘みたいな… 」


玄武

「 そうだな。

  ワタシもこれほど最近に転生するとは思わなかった 」


衛美

「 ねぇ、転生陣ってなんなの?

  しょうれいが言ってたでしょ。

  『 転生出来たしらない 』とか言ってたけど…… 」


玄武

「 さぁな。

  ワタシも詳しくは知らない。

  通常の転生とは違うようだ 」


厳蒔弓弦

「 どう違うんだ? 」


玄武

「 通常の転生は、死んだ人間が手前の襖を開けて次の部屋へ入るようなものだ。

  せいぜん(このよ)で功徳を積んで貯めた善根── 謂わば黒字貯金だな ──によって、らい(あのよ)へ生まれ変わる期間が変わり、よりい恵まれた環境の元へ生まれる事が出来る。

  貯金が多ければ早く生まれ変われるし、五体満足な身体からだで人間として生まれ変われる。

  貯金が少なければ、生まれ変わる迄の時間が長くなり、稀に五体不満足な身体からだで生まれ変わる。

  逆に赤字貯金ならば、ぐに生まれ変われるが、人間には生まれ変われない。

  善根を積めない動植物に生まれ変わるのをなんぜんなんまんと繰り返し、赤字貯金が無くなるまで続く 」


厳蒔弓弦

「 それが通常の転生なのか。

  転生陣を使うとなにが変わるんだ? 」


玄武

霊魂たましいと共にワタシも時代を越えられるようになる。

  本来は閉まっている襖は開いている状態になっている。

  本来は手前の部屋にしか入れないが、部屋を移動する事が出来、好きな部屋を選ぶ事が出来る。

  選んだ()()へ生まれ変わる事が出来る。

  環境は選べないが、五体満足の身体からだで生まれる事が出来る。

  前世の記憶はたましいに記録され蓄積される。

  さま(ざま)な体験,経験から得られた膨大な知識がたましいの奥底で眠っている。

  全ての前世の記憶が戻ってしまうと、脳が記憶の処理に追い付けず、廃人になり兼ねない。

  廃人になりたくなければ、前世の記憶など思い出さないに限る 」


衛美

「 …………しょうれいはそれを知ってるの? 」


玄武

「 さぁな。

  まではワタシも知らない。

  記憶の事を知っていて事を言ったとすれば、性根は腐りきっている。

  元から腐っていたがな 」


衛美

「 …………そう… 」


玄武

えいしょうれいに言ったように、の人生は既に終わっている。

  えいの記憶を思い出す必要はない。

  “ えい ” として生まれた以上、えいには新たに与えられた人生を全うする権利がある。

  前世はあくまで前世でしかない。

  既に終わった()()えいが縛られる必要はない。

  仮にえいの前世を知っている輩が現れ、 “ 前世ではえいの婚約者だった ” と言ってても無視すればいい。

  えいにはづるるからだ。

  しつこければワタシが人知れず始末してもいいぞ。

  完全犯罪なら任せろ 」


衛美

「 …………がとう…。

  今は気持ちだけ受け取っておくわ…。

  げんってばぐ “ 完全犯罪 ” って言うんだから… 」


玄武

「 ワタシにしか出来ない事だからな! 」


衛美

「 ドヤ顔で言わないでよ… 」


厳蒔弓弦

げんは今までに完全犯罪をなし得た事はあるのか? 」


玄武

「 前世までならある。

  こん(このよ)ではだないな。

  えいいやがる所為だ。

  も虫の息で生かしてやってはいる。

  ワタシは完全に息の根をめてやりたいのだが、えいいやがる。

  えいは自分に危害を加えた犯罪者共に対して甘いのだ。

  ワタシは気に入らないが…えいが望む以上、無視は出来ない 」


厳蒔弓弦

「 そ…そうか……。

 ( えいも人知れぬ苦労をしているのだな… )」


玄武

づるもしつこい女に困った時は遠慮なく言え。

  ワタシが病死に見せ掛けて始末してやる 」


厳蒔弓弦

「 …………心の中にとどめておこう… 」


玄武

「 そうか?

  解剖をしなければ、死因が分からないように隠蔽する事も出来るからな。

  足は付くまいよ 」


厳蒔弓弦

「 …………そう、だな…。

 ( これが〈 〉のり方なのか… )」

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