♥ 瀬圉家 17 / 本家 17 / 別邸 5 / ダイニングキッチン 1
──*──*──*── ダイニングキッチン
衛美
「 ──玄武、大変なの!!
雪が──、赤い雪が降ってるの!!
ねぇ、何が起きて──………………玄武、何してるの?? 」
階段を駆け降りて、急いで1階へ降りた私は、リビングに入った。
リビングには玄武は居なくて、隣のダイニングキッチンに玄武と弓弦さんがいた。
玄武は椅子に座っていて、何かを食べているみたい。
玄武
「 衛美か。
朝っぱらから騒がしいな 」
厳蒔弓弦
「 御早う、衛美。
朝食は和食にしたんだが、良かったか? 」
衛美
「 ゆ…弓弦さん?!
お…御早う御座います(////)」
弓弦さんも泊まってたの忘れてたぁっ!!
嫌だわぁ……恥ずかしいところをガッツリと見られちゃったっ!!
玄武
「 ワタシの予想が的中したな。
衛美が昨晩、普段しない事をしたから赤い雪が降ったんだろうな。
衛美の所為だぞ 」
衛美
「 言ってろ!
私が皿洗いを手伝ったぐらいで赤い雪が降るわけないでしょが!! 」
玄武
「 そうでもないぞ。
衛美はもっと自覚した方がいいな 」
厳蒔弓弦
「 玄武……衛美をからかうのは良くない。
赤い雪がは衛美の所為じゃない。
気にするな 」
衛美
「 弓弦さん…(////)
有り難う御座います。
──と、そんな事よりも、玄武は何を食べてるの?? 」
玄武
「 今朝のデザートだ。
美味いぞ 」
衛美
「 デザートって…… 」
厳蒔弓弦
「 玄武は朝食を食べ終わったからな。
衛美も食べるだろう? 」
衛美
「 弓弦さん…。
どうして弓弦さんは落ち着いていられるんですか?
赤い雪が降ってるんですよ!
気持ち悪くないんですか?
不安にならないんですか?? 」
厳蒔弓弦
「 騒いでも何も変えられないだろう。
自然現象なら尚更だ。
人間に雪を止ませる事は出来ない。
それに玄武が落ち着いているしな。
大丈夫なのだろう 」
衛美
「 そ…それは…そうかも知れないけど……。
…………玄武、本当に大丈夫なの? 」
玄武
「 天気予報では異常気象だと騒いでいるぞ。
何処のニュース番組でも緊急特番が組まれていて、面白い程に赤い雪一色だ 」
厳蒔弓弦
「 赤い雪が降ったのは初めてだからな。
騒ぎになるのも当然だな 」
衛美
「 ニュースで取り上げられる程、一大事な現象なんだって事は何と無く分かるわよ。
危険じゃないの? 」
玄武
「 心配するな。
モノノケの仕業なら間違いなく陰陽師が動く。
日本には優秀且つ有能で金にがめつい陰陽師が多いからな。
赤い雪を降らせているモノノケが原因ならば勝手に退治してくれる。
放っておけばいい 」
衛美
「 …………何か無責任ねぇ… 」
玄武
「 そうでもない。
専門家に任せるのは自然な事だ。
今日は映画に行くのだろう。
衛美、朝食を食べてしまえ 」
衛美
「 えっ……行くの?
こんな状況で映画を観に行くつもりなの?? 」
玄武
「 当たり前だ。
弓弦の弁当を食べたいからな。
それに雪は赤く染まっているだけだ。
身体に害はない。
気にするな 」
衛美
「 …………本当に何ともないんでしょうね?
映画に行きたいからって嘘吐いてないわよね? 」
玄武
「 心外だな、そんな事しない 」
衛美
「 そう… 」
厳蒔弓弦
「 衛美、朝食の用意が出来たぞ 」
衛美
「 ──有り難う、弓弦さん。
それにしてもよ、主よりも先に朝食を食べるなんて、式神としてどうなの??
私が来るまで待っててくれてもいいんじゃないの? 」
玄武
「 ワタシが衛美より先に食べたのは、衛美の為に毒味をしたからだ 」
衛美
「 はぁ?
毒味ぃ??
何言ってんのよ、嘘ばっかり! 」
玄武
「 嘘ではない。
実際に実体化した式神は毒味役に重宝されていた。
人間が毒味をすると死んでしまうが、式神は死にはしない。
毒味役にするなら人間より式神の方が適任だぞ 」
衛美
「 ──玄武、幾ら何でも “ 毒味 ” だなんて、料理を作ってくれる弓弦さんに失礼でしょ! 」
厳蒔弓弦
「 衛美、私は気にしてない。
先に食べてしまった口実に “ 毒味をした ” と言っただけだ。
それにしても式神も言い訳をするのだな 」
玄武
「 ワタシは特別な式神だからな。
言い訳も言えば冗談も言うぞ 」
厳蒔弓弦
「 玄武のような人間味のある式神は世界の何処にも居ないのだろうな 」
玄武
「 当然だ 」
玄武と弓弦さんは相変わらず楽しそうに話しているわね。
まるで歳の近い兄弟みたいに、すっかり仲良しさんね。
私は腰を下ろして椅子の上に座った。
テーブルの上にはお洒落なペーパーランチシートが敷かれている。
ペーパーランチシートの上には、箸置きに乗せられた箸、ごはんの入った茶碗、お味噌汁の入ったお椀、卵焼きのお皿、骨無し切り身魚の網焼きのお皿、千切りキャベツ,千切り大根,千切り人参の梅と鰹節のお浸しのお皿が並べられている。
何れも文句なしに美味しそう!
絶対に間違いなく、美味しいに決まってる!!
私は胸の前で両手を合わせて「 いただきます 」してから、弓弦さんが作ってくれた料理をいただいた。
朝食を食べ終えた後は、昨日の夜に食べずに残していた杏仁豆腐をいただいた。
果物たっぷりの杏仁豆腐も美味しかった。
勿論、今朝のデザートも確りと、いただいてます!
角切り林檎の入ったシャキシャキ蒟蒻ゼリーも美味しくて絶品♥
弓弦さんって、料理だけじゃなくてデザートも得意なのね!
何か、同僚の人から「 嫁になってくれ 」って言われちゃうのも分かるかも。
美味しい料理だけじゃなくて、美味しいデザートまで食べれたらねぇ…。
今から弓弦さんのお弁当が楽しみだわ。
お弁当の中身がどんなのか気になって仕方無い!!
衛美
「 弓弦さん、この蒟蒻ゼリーも美味しいですね。
もうないんですか? 」