♥ 瀬圉家 13 / 本家 13 / 別邸 1 / ダイニングキッチン 1
──*──*──*── 別邸
──*──*──*── ダイニングキッチン
私は今、実体化したままの玄武と一緒に弓弦さんが作ってくれたら手料理を食べている真っ最中。
弓弦さんが作ってくれた料理は、何れも頬っぺたが落ちちゃいそうなくらい美味しい。
料理好きのお母さんも料理上手だけど、弓弦さんの料理の腕はプロ並みかも。
退魔師なんて止めて料理本を出したり、料理教室を開いたら印税ウハウハなんじゃないの?
勿体無いわぁ…。
玄武
「 ──美緒の料理も美味いが、弓弦の料理も美味いな。
合格だ 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
玄武に気に入ってもらえて良かった 」
玄武は料理が美味しければ誰が作った料理でも良いのかしらね。
玄武の食べる姿も絵になる。
私が居ると邪魔になっちゃうぐらいに、玄武と弓弦さんのツーショットは絵になるわぁ…。
玄武が傍に居るから私はBL漫画を読んだりしないけど、きっとBLファンなら涎を垂らして喜ぶような光景になってると思う。
私……邪魔じゃない??
弓弦さんが作ってくれた料理は和食全般。
玄武が和食を要求したからなんだけど。
食材,調味料,香辛料は何でも揃っていて自由に使っていい事になっているから、弓弦さんも奮発してくれたみたい。
厚焼き玉子焼きが私にはストライク!
だし巻き玉子なんて、ふわっふわで美味しいぃ〜〜(////)
玉子焼きに関しては完全にお母さんより美味しい!
定番の肉じゃがも絶品だし、里芋の煮っころがし,南瓜の金平,ピーマンの焼きびたし,落とし卵のお味噌汁,お揚げの巾着煮,ブリの照り焼き,蒸し茄子の胡麻和え,豆苗とエリンギの蒸し豚巻き,揚げ出し豆腐の蟹身あんかけ,鶏肉と牛蒡の生姜炒め,たたき胡瓜の梅味噌ミョウガ和え,煮卵と豚の角煮,鱈の玉葱あんかけ,照り焼きチキンカツ,蓮根のはさみ揚げ,しょうが焼き,椎茸の味噌マヨ焼き,鶏胸肉のしっとり蒸し鶏,鮭と茸のバターコンソメ焼き,鶏胸肉の甘酢あん,舞茸と豆苗サラダ──とかとかとか、作り過ぎってぐらいに作ってくれた。
玄武ったら「 牛肉を食べたい 」なんて贅沢な我が儘を言いながら、次々に料理を平らげていく。
衛美
「 …………玄武、食べるのは良いけど、料理は何処に消えるの?? 」
厳蒔弓弦
「 私も気になる 」
玄武
「 体内へ入ると吸収されて跡形もなく消えるな。
エネルギーに転換されるようになっている 」
衛美
「 へぇ…。
じゃあ、幾らでも食べれるって事? 」
玄武
「 限界はないな。
大食い大会に出たら優勝出来るぞ 」
衛美
「 そういう事はもっと早く言ってほしかったわ 」
厳蒔弓弦
「 作り甲斐がある。
あまり作り過ぎると食べきれなくて困っていたが、玄武が食べてくれるなら作り過ぎても安心だな 」
玄武
「 思う存分に作ればいい。
全てワタシが完食してやろう 」
衛美
「 玄武って食いしん坊だったのね。
実体化した玄武は食費が掛かって仕方無いわね… 」
厳蒔弓弦
「 ははは、言えてるな。
──ところで衛美、明日は何の映画を観に行くんだ? 」
衛美
「 “ 陰陽大戦譚 末期 〜 枩鬼妃の野望 〜 ” です 」
玄武
「 何だそれは? 」
衛美
「 ほら、今って陰陽師ブームが来てるじゃない。
陰陽師ブームに便乗して製作された映画なの。
続編で “ 絶期 〜 絶鬼童子の復讐 〜 ” と “ 復期 〜 賦鬼皇の再建国 〜 ” があるの 」
玄武
「 3作とも “ 鬼 ” が付いているな。
陰陽師は出るのか? 」
衛美
「 出るわよ。
陰陽大戦譚は鬼視点で作られた映画なの。
陰陽師や退魔師は敵として登場する形になるのかしらね? 」
厳蒔弓弦
「 それなら知っている。
≪ 營譱家 ≫が完全監修をして製作された映画だな 」
衛美
「 そうなんです!
≪ 營譱家 ≫って、応接間で玄武も言ってたでしょ?
陰陽師が鬼視点で映画を作るなんて、どうしちゃったのかしらね? 」
厳蒔弓弦
「 確かにな…。
気にはなる。
明日は私も同行していいか? 」
衛美
「 勿論です!
一緒に行きましょう 」
玄武
「 なら弁当は必須だな。
弓弦、和洋中の3食を希望するぞ! 」
厳蒔弓弦
「 重箱でだな?
腕の振るい甲斐がある 」
衛美
「 弓弦さんって料理が好きなんですか? 」
厳蒔弓弦
「 初めはそうでもなかった。
退魔師は不規則な生活だからな。
健康の為に料理を始めたんだ。
自分で食べるだけだから大した物は作らずに簡単な料理しかしていなかったが、何時の間にか上達していた。
今は退魔師仲間から弁当をせがまれるようになるぐらいだ 」
衛美
「 へぇ……。
皆、弓弦さんの手料理が好きなんですね 」
厳蒔弓弦
「 ははは。
料理を好いてくれるのは有り難いが、 “ 嫁になれ ” は流石に笑えない…… 」
衛美
「 …………大変ですね… 」
玄武
「 料理上手も苦労するのか。
弓弦は衛美の夫になるのだから、 “ 先約済み ” と公言すればいい。
弓弦を口説く害虫はワタシが始末してやろう。
完全犯罪に出来るから心配するな 」
衛美
「 玄武ぅ〜〜〜 」
玄武
「 睨むな、衛美。
弓弦もワタシの保護対象だ。
ワタシは毎日でも弓弦の料理が食べたいからな。
弓弦に何かあっても困る 」
厳蒔弓弦
「 …………気持ちは有り難いが…。
出来れば殺さないでほしい。
同僚だからな… 」
玄武
「 そうか?
衛美といい、弓弦といい──、遠慮してばかりだな。
つまらない… 」
厳蒔弓弦
「 衛美も毎日、大変だな… 」
衛美
「 分かってもらえます?
玄武ってば、何時爆発するか分からない時限爆弾なんですよ! 」
玄武
「 人聞きの悪い事を言うな 」
厳蒔弓弦
「 明日は何時に別邸を出るんだ? 」
衛美
「 映画が10時20分開始なので、10時にはモレルに着きたいです 」