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♥ これは式神  作者: 雪*苺
七日目 / 日曜日 4月28日
35/104

♥ 瀬圉家 6 / 本家 6 / 本邸 5 / 裏庭 1


──*──*──*── 裏庭


 お祖母様とづるさんから見守られる中、めいしょうさんが式神を出した。


 めいしょうさんの式神は、物凄く大きくておう(おう)しくて逞しくて()しくて賢そうでにも強そうな立派な犬。


 “ 犬 ” なんて言ったら語弊になっちゃうかしらね。


 白銀色の美しい毛並みを風に靡かせる狼…かな??


衛美

「 立派な狼ですね。

  凄く強そう…… 」


祿棠冥晶

「 狼ではないな。

  フェンリルと言う 」


衛美

「 フェンリル……。

  ファンタジー映画や漫画に登場するフェンリル??

  自分の望む式神を作れるって事ですか? 」


祿棠冥晶

「 まぁ…そうだな。

  次はえいの番だ。

  えいの式神を見せてもらおう 」


衛美

「( げん、どうしたの? )」


玄武

えい、手加減出来そうにない 』


衛美

「( どういう事?

   本気を出さないと勝てないの? )」


玄武

『 そうではない。

  コイツ(祿棠冥晶)彼奴あいつの子孫だ 』


衛美

「( はぁ?

   彼奴あいつって誰なの?

   知り合い?? 」


玄武

『 ワタシの生みの親(眞小呂)の仇──しょうれいの直系の子孫だ 』


衛美

「( しょうれい??

   仇の子孫だからってころさないでよ?

   お祖母様も見てるんだからね! )」


玄武

『 …………約束は出来ない 』


衛美

「( えぇっ?! )」


祿棠冥晶

「 式神はどうした、えい? 」


玄武

る 」


 げんが実体化した?!


 もは実体化しないで見せるだけなのに!!


祿棠冥晶

「 …………おまえが……えいに取り憑いている “ げん ” とやらか! 」


玄武

「 勘違いするな。

  憑いてはいない。

  ワタシはえいの〈 〉だ。

  れいたぐいではないし、もののけのたぐいでもない。

  で尻尾を巻いて怯えている犬ころと同じ式神だ 」


祿棠冥晶

「 …………怯えているだと?

  なにを──っどうした!?

  リア丸!! 」


衛美

「( り…リア丸ぅ??

   名前、ダッサ! )

  それにしても凄い怯えようじゃないの…。

  げん、あの式神になにしたの?! 」


玄武

「 ワタシはなにもしてない。

  つい最近、生まれたばかりの式神には、千年以上も前に生まれた式神は脅威でしかない。

  式神にも序列はある。

  あの犬ころは2度とワタシに牙は向けれまいよ 」


衛美

「 ちょっと可哀想かも… 」


玄武

「 実体化すると力が制限されるものだが…、この程度とは……興が削がれた。

  しょうれいの直系子孫も大した事ないな 」


遠古

「 …………えい……これが “ げん ” なの??

  ほんとうに……?? 」


衛美

「 お祖母様?

  どうしたの??

  ──あっ、げんの背が高過ぎるから吃驚してるの?

  げん、背を低く出来ない? 」


玄武

「 どのぐらいだ? 」


衛美

「 170cmぐらいかな? 」


玄武

「 いいだろう 」


 2m近い身長のげんは、直ぐに背を縮めてくれた。


 155cmの私にはだ高いけどね。


 づるさんの身長は知らないけど、今のげんの身長はづるさんより少し低いかもね。


玄武

とわ、顔色が悪いぞ。

  ワタシの美貌に酔ったか? 」


衛美

げん…… 」


遠古

「 …………貴方は……お祖母様に…憑いていた筈ではなかったの?

  えいに憑いているの! 」


玄武

えいが生まれ変わりだからな。

  そうか、とわはワタシを知っていたか 」


厳蒔弓弦

「 …………どういう事だ? 」


 づるさんが裏庭へて初めて喋った!


 無口なのかと思ってたけど、違ったのね。


玄武

「 さぁな。

  最近で言えば、えいの事か?

  えいはワタシをぎらっていたな 」


衛美

「 そうなの?

  どうして?? 」


玄武

えいは生まれつき身体からだが弱くて病弱でな、元気な子供達からいやがらせを受けていた 」


衛美

なんか分かっちゃった… 」


玄武

「 ワタシはえいの〈 〉だったからな。

  おのれやくたしていた 」


衛美

「 …………げんおこないが前世の私…えいさんにとっては “ 迷惑千万だった ” って事ね? 」


玄武

「 そうらしい。

  自分が病気で身体からだが病弱なのも、自分の周りで不幸が起きるのも全てワタシの所為だとかで、毎日罵られた。

  ワタシを罵る時だけえいは生き生きしていて可愛かった 」


衛美

「 …………マゾじゃないわよね? 」


玄武

「 マゾ?

  飼い犬が敵意を剥き出して懸命に吠える姿は可愛いだろう?

  小型犬の……チワワとやらを浮かべて見ろ。

  可愛くて和まないか? 」


衛美

「 ………………可愛いかしらね?

  牙を剥いて敵意を向けて吠えるチワワって……恐いんだけど… 」


玄武

「 そう言えば…死期の近いえいの見舞いに子供がなんにんていたな。

  その中にとわたかも知れないな 」


遠古

「 …………貴方がお祖母様の周りでさま(ざま)な不幸を起こしていたのね……。

  そして…今はえいの周りで…… 」


玄武

「 勘違いするな。

  ワタシはえいの身をっていただけだ。

  えいが無事なら周りの奴等がどうなろうと知った事ではなかった。

  えいはワタシをぎらい拒絶していたが、えいは違う。

  ワタシを必要としてくれている。

  今はえいいとおしい 」


遠古

「 …………なんて……なんて事なの……悪魔……っ!! 」


衛美

「 お祖母様、げんは悪魔じゃなくて式神だから。

  げんはね、ほんに私をってくれてるだけなの。

  そりゃね、昔はやり過ぎてる時もあったけど、今はちゃんと手加減してくれるんだよ!

  むやみやたらに力なんて使わないし、大人しいの。

  げんは安全だよ。

  安心して? 」


玄武

「 必死だな 」


衛美

「 誰の為にフォローしてると思ってるの!

  げんの為なんだからね! 」


玄武

「 そうか。

  とわ、ワタシは安全な式神だ 」


衞美

「 こんなに嘘っぽい言葉もないわよね… 」

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