♥ 瀬圉家 5 / 本家 5 / 本邸 4 / 応接間 3
遠古
「 美緒さん、貴女は席を外しなさい。
久し振りに學舎へ顔を出してはどうかしら 」
衛美ママ:美緒
「 お母様!
衛美を1人にするなんて出来ません 」
衛美
「 お母さん、私は大丈夫だよ。
弓弦さんも居てくれるし。
( お母さんには悪いけど、居なくなってくれた方が都合が良いし… )」
玄武
『 悪い娘だな 』
衛美
「( お母さんが被害に遭ったら困るでしょ。
私は母親思いの娘だから! )」
衛美ママ:美緒
「 衛美…… 」
衛美
「 心配しないで、お母さん 」
衛美ママ:美緒
「 …………分かったわ。
お母様、私は席を外します。
衛美を宜しくお願いします 」
お母さんは心配そうに私を見ていたけど、大丈夫オーラを出してニコニコしている私を見て、応接間を出る決意をしたみたい。
ソファーから腰を浮かせて立ち上がったお母さんは、お祖母様に会釈をして応接間から出て行った。
衛美
「 霊能力ってので老化を遅らせてるなら、若作りしてるおじいちゃんじゃん。
不老不死にでもなりたいの? 」
遠古
「 衛美!!
口を慎みなさい! 」
祿棠冥晶
「 良い、遠古。
なかなか威勢の良い小娘だ。
我が恐怖くないのか? 」
衛美
「 此方の方が『 はぁ? 』だし!
小学生の姿をしてるおじいちゃんなんて怖くないし!
私は大学生なんだからね。
馬鹿にしないで! 」
遠古
「 衛美!
祿棠冥晶様には敬語を使いなさい! 」
衛美
「 お祖母様、これから私を『 祓う 』とか言う失礼なおじいちゃんに何で敬語を使わないといけないの? 」
玄武
『 “ 冥晶おじいちゃん ” は遠古より歳上だぞ。
遠古が敬語を使うなら衛美も敬語を使わなければな 』
衛美
「( 分かったわよぉ……。
姿が子供だからややこしいったらないわね… )
──御免なさい、冥晶お爺様。
子供の姿なんかしてるから、つい。
お祖母様より歳上なら敬語を使わないと駄目よね 」
遠古
「 おじいさま…………衛美!
失礼にも程があります!! 」
祿棠冥晶
「 良い。
そう喚くな遠古。
然し、 “ お爺様 ” は止めてもらいたいものだな 」
衛美
「 本当の小学生だったら、 “ 冥晶君 ” って呼んでも良かったけど、老化を遅らせてるだけなんでしょ? 」
玄武
『 衛美、遠古が今にも噴火しそうだぞ。
面白いが、血圧が上がっては拙いのではないか?
遠古の顔を立てて “ 冥晶さん ” にしといてやってはどうだ? 』
衛美
「( そ、そうね…。
こんな所でお祖母様が倒れたりでもしたら私が悪者にされちゃいそうだもんね )
──じゃあ、 “ 冥晶さん ” で良いですか? 」
祿棠冥晶
「 まぁ、良かろう。
──本題へ入らせてもらうぞ。
衛美に取り憑いているのは何の霊だ?
生き霊,背後霊,守護霊,悪霊,怨霊,死霊,動物の霊,モノノケの類い,妖かしの類いか? 」
衛美
「 ……妖かしって妖怪の事ですよね?
鬼とか悪魔とかは入らないんですか? 」
祿棠冥晶
「 鬼,悪魔は “ モノノケ ” の類いに入るからな 」
衛美
「 そうなんですね…?
冥晶さん、玄武は何れにも入りません。
それに玄武は悪さなんてしません。
私を守護ってくれるだけです。
それに式神は祓えないんじゃないですか? 」
祿棠冥晶
「 ──式神…だと?
衛美の近くに見える白い靄は式神なのか? 」
衛美
「 白い靄??
冥晶さんには玄武が白い靄に見えるんですか? 」
玄武
『 ほう?
態々見えないようにしているのにワタシが『 白い靄に見える 』だと?
なかなか強い霊能力を持っているな。
面白い。
衛美、そいつの式神を見てみたい 』
衛美
「( 式神を見てどうするの? )」
玄武
『 式神を見れば術者が何の程度なのか分かる 』
衛美
「( へぇ?
そうなんだ?
じゃあ、聞いてみるわね )
冥晶さんの式神を見てみたいです 」
祿棠冥晶
「 我の式神が気になるか? 」
衛美
「 気になります!
凄く気になります!
強いんですか? 」
祿棠冥晶
「 ふむ…。
そんなに見たいなら見せても良いぞ 」
衛美
「 本当ですか?
有り難う御座います! 」
祿棠冥晶
「 その代わり、衛美の式神を我にも見せてほしい 」
衛美
「( 玄武、どう? )」
玄武
『 構わない。
自慢の式神を泣かせてやるとしよう 』
衛美
「( 程々にしてよね )
分かりました。
玄武も『 姿を見せても良い 』って言ってくれてます 」
祿棠冥晶
「 そうか。
それは楽しみだな。
場所を変えるとようか 」
遠古
「 祿棠冥晶様、裏庭へ案内致しますわ 」
ソファーから腰を上げて立ち上がったお祖母様は、冥晶さん,弓弦さん,私を裏庭へ案内する為に応接間を出た。