♥ 瀬圉家 3 / 本家 3 / 本邸 2 / 応接間 1
──*──*──*── 応接間
応接間へ入るとお祖母様が上座に座っている。
お祖母様の右側にあるソファーには男性と男の子が1人ずつ座っている。
お祖母様よりに座っているのは男の子で、ドア側に座っているのは背の高い男性。
かなりのイッケメーーーン!
この2人が私に会わせたい人って事?
遠古
「 良く来てくれましたね。
美緒さん,衛美。
2人共、ソファーにお座りなさい 」
衛美ママ:美緒
「 はい、お母様。
失礼致します 」
衛美
「 こんにちは、お祖母様。
私に会わせたい人って、この人達? 」
衛美ママ:美緒
「 ──衛美!
お行儀が悪いわよ! 」
衛美
「 ごめんなさ〜い… 」
ぎょっとしたお母さんに、ゆる〜く謝ってからソファーに腰を下ろして座る。
衛美
「( う〜〜〜ん…。
1人は小学生よねぇ?
隣の人は……私より歳上よねぇ?
リッちゃんと良い勝負になりそうなイケメンさんね。
何か、機嫌が悪そうに見えるんだけど…………気の所為かな?? )」
玄武
『 …………………… 』
衛美
「( 玄武?
どうしちゃったの?
急に黙っちゃって )」
玄武
『 ………………少しばかりムカムカしてな… 』
衛美
「( ムカムカ??
珍しいわね… )」
遠古
「 ──紹介しますね。
此方は祿棠冥晶様,彼方が厳蒔弓弦さんです 」
衛美
「 厳蒔?
厳蒔…………何か、聞いた事あるかも…? 」
遠古
「 弓弦さんは、退魔師の家系の御子息ですよ 」
衛美
「 退魔師??
妖怪とか退治する祓い屋さんみたいな? 」
遠古
「 衛美……。
貴女も≪ 瀬圉家 ≫の人間でしょう。
端くれなりに少しは陰陽師と退魔師の事を知りなさい 」
衛美
「 は〜〜い……。
( 玄武から聞いてるから本当は知ってるけど…。
知らない振りしたら呆れられちゃったわね )」
玄武
『 そのまま知らない振りをしとけば良い。
知ったら知ったで厄介事に巻き込まれるからな 』
衛美
「( そうなの?
……巻き込まれるの嫌だし、知らない振り続けちゃお! )」
遠古
「 弓弦さんは≪ 厳蒔家 ≫の末子なの。
跡取りのいない≪ 瀬圉家 ≫の婿養子になっていただく事にしました 」
衛美
「 婿養子?
お祖母様、衛夛が本家の養子に入ったのに婿養子なんて要るの? 」
遠古
「 誰が本家の婿養子だと言いましたか。
弓弦さんは衛美の婚約者になっていただいたのよ。
衛美の継ぐ≪ 瀬圉家 ≫の婿養子になっていただくのです 」
衛美
「 え…ぇえっ??
私の婿養子?!
じゃなくて、こんにゃく…… 」
衛美ママ:美緒
「 婚約者よ、衛美。
お母様、どういう事ですか?
衛美の婚約者を勝手に決めるなんて。
衛美は未だ18歳ですよ。
ついこの間、高校を卒業したばかりで── 」
遠古
「 ≪ 厳蒔家 ≫と弓弦さんの了承は得ています。
弓弦さんと衛美の婚約は決定事項です 」
衛美ママ:美緒
「 そんな、強引です!
衛美の気持ちはどうなるんですか? 」
遠古
「 美緒さん、衛美は男性不信でしたね 」
衛美ママ:美緒
「 は…はい……。
異性が苦手で人見知りをする大人しい子です 」
遠古
「 弓弦さんにも事情があり、女性と接するのが少々苦手らしいのです。
異性が苦手な者同士、分かり合い易くて気が合うのではないかしら? 」
衛美ママ:美緒
「 …………衛美、どうなの?
嫌なら嫌と断っても良いのよ 」
衛美
「( …………玄武、どうしよう?
どうしたらいいかな? )」
玄武
『 受ければいい。
弓弦とやらが衛美に触らなければワタシは何もしない。
婚約者は害虫除けに使える。
利用しない手はないぞ 』
衛美
「( 害虫除けかぁ…。
それは名案かも!
どうせ恋愛なんて出来ないんだから、婚約者がいても良いよね?
性格は付き合ってみないと分からないけど、イケメンだし♪
退魔師の家系なら玄武とも話が合うかもだし!
よし、決めた!
婚約者の件、受けちゃおう!
“ お触りなし ” を条件にしてだけどね! )」
玄武
『 弓弦とやらには後で姿を見せてやるとしよう 』
衛美ママ:美緒
「 衛美、どうしたの?
遠慮しないでハッキリ断っても良いのよ 」
衛美
「 大丈夫だよ、お母さん。
婚約者の件は構わないよ。
だだね…条件があって……、弓弦さんには私を触らないでほしいんです。
私は男性不信だけじゃなくて…男性恐怖症の気もあるから……。
お触りされないなら、婚約者としてお付き合い出来ます! 」
衛美ママ:美緒
「 衛美……それは幾らなんでも── 」
厳蒔弓弦
「 私はその条件で構わない。
婚約中は触れないようにしよう。
私もその方が有り難い 」
衛美
「 そうなんですか?
良かったです♪
じゃあ、今日から宜しくお願いしま〜〜す 」
厳蒔弓弦
「 此方こそ宜しく頼もう。
婚約者の件を受けてもらえて私も助かる 」
衛美
「 弓弦さんは歳上みたいですから、私の事は “ 衛美 ” って呼んでくれて良いです 」
厳蒔弓弦
「 分かった。
そう呼ぶ事にしよう 」
本家に行ったら、婚約者を紹介されちゃうなんて、吃驚よね!
相手がリッちゃん並のイケメンでラッキーじゃんね♥