♥ 大学 2 / 昼休み 2 / in玄武
?
『 良かったのか? 』
衛美
「( 何が? )」
?
『 いい話し相手になったかも知れないのに──という意味だ 』
衛美
「( お喋りすると無駄に疲れるから極力したくないの )」
?
『 なかなかのハンサムだったな 』
衛美
「( 今時はイケメンって言うのよ。
1番関わり合いたくないタイプね )」
?
『 どうしてだ? 』
衛美
「( どぉしてぇ〜〜??
決まってるでしょう! )」
?
『 何が? 』
衛美
「( なぁ~にぃ~がぁ〜〜??
あ〜いうイケメンにはね、 “ ファンクラブ ” っていう厄介な取り巻きが付き纏ってるもんなの。
ファンクラブの存在を認識してる野郎は、未だマシな方よ。
未だね! )」
?
『 2度も言う必要があるのか? 』
衛美
「( あるよ!
1番質の悪いのは、本人自身が自分を取り巻くファンクラブの存在に全く気付いてない天然野郎よ!! )」
?
『 どうしてだ? 』
衛美
「( はぁぁぁぁぁぁん??
取り巻きに目を付けられた時点で、明るく楽しい大学生活が一変して、生き地獄に早変わりするからよ!! )」
?
『 取り巻きに大学生活を一変させる程の力があるのか? 』
衛美
「( あ・る・の!!
女子はつるむと邪悪さが倍増するんだから!
小中高生の虐めなんて足元にも及ばないのよ! )」
?
『 大丈夫だ。
ワタシがあらゆる危険から衛美を守護る。
何をされても衛美が被害を受ける事はない 』
衛美
「( 相手が被害を受けるでしょう!
ちゃんと手加減して!! )」
?
『 手加減?
必要無い。
ワタシは〈 守護り手 〉だ。
ワタシの役目は飽くまで、衛美を守護る事だ。
他の奴がどうなろうとワタシの知った事ではない 』
衛美
「( それを “ 駄目だ ” って言ってるの!
アンタが手加減しなかった所為で、私がどんな学生生活を送る羽目になったのか忘れてないでしょうね〜〜〜!! )」
アンタと呼ばれた者
『 危害を加える者が近くに居なくて安全に過ごせただろう。
衛美には安心な生活を送ってほしかったからな 』
衛美
「( 一体何人の生徒を病院送りにしたと思ってるの? )」
アンタと呼ばれた者
『 ……………………さあ?
そんな事は覚えていない。
どうでもいいし 』
衛美
「( アンタにはどうでも良くても、私にはどうでも良くないの!! )」
アンタと呼ばれた者
『 まぁまぁ……過ぎた事を言っても仕方無いだろう?
その取り巻き達に目を付けられたとしても、ワタシが居るから安全だ 』
衛美
「( 相手が病院送りになる程の被害を受けるのが分かってて、イケメン君と親しくなろうなんて思わない! )」
アンタと呼ばれた者
『 なればいいのに…… 』
衛美
「( なるか!!
──アンタさ、階段を下りようとした私の背中を押しやがったムカつく男子を吹っ飛ばして、窓から転落させたでしょ! )」
アンタと呼ばれた者
『 ……………………はて?
そんな事…………ぁぁ、ああ…覚えている!
確かにいたな。
でも、ちゃんと生きていただろう?
本来は2度と悪さが出来ないように、ワタシは息の根を止めたかったんだ…… 』
衛美
「( 息の根を止めるの禁止!!
──その男子、全身打撲で半年も入院する事になったのよ。
後から聞いた話だけど……『 窓から落ちる時に耳元で「 次は殺す 」って声が聞こえた 』とかで、入院中は姿の見えない声に脅えて、ずっと悪夢に魘されていたみたいよ……。
今でも精神科に通ってカウンセリングを受けてるんですって。
アンタは、これをどう思ってるの? )」
アンタと呼ばれた者
『 当然の報いだ。
決まっているだろう 』
衛美
「( だから、嫌なのよ!
加害者になりそうな奴等とは関わりたくないって思うの )」
アンタと呼ばれた者
『 関わればいいのに…… 』
衛美
「( はぁ〜……。
アンタと話してても埒が明かないわね…… )」
アンタと呼ばれた者
『 それはどうも 』
衛美
「( 褒めてないんだけど…… )」