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【コミカライズ続き復活済み】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
2章:あえて言おう、桃太郎の桃を拾えるお婆さんは大物である!と

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48「門番最強説、再び」(復活済み)

※2017年5月16日に34~50話の大幅変更が実施されています。ご注意ください。


【1。獣王国サイド】

 私、マイルズは声を大にして訴えたい!

 私は男の子なのです!!

 そして中の人はエリートサラリーマン! 

 女性の後輩に声を掛けるのさえセクハラ・パワハラ冤罪におびえつつもポーカーフェースを貫く企業戦士なのです!

 男? 千尋の谷に突き落としてあげます。そこから這い上がってきなさい。


 全て教えてもらえないからできない?

 などという子はきっといつかくじけて立ち直れなくなるのです……だから敢えて早めに、緩めの試練を与えるのです! そこで乗り越える経験を積むのですよ!

 え? それがパワハラ?

 ちっちっち。用法用量を守って適量の試練と隠し味としての修羅場なのです。問題ございません。

 修羅場を経験した男子、刮目せよ! なのです。

 ……なんだかんだ言いつつフォローも完璧なのですよ。私。


 ……お前、男の後輩からしか人望ないだろう? ですって!

 なんでばれた!!!

 ……いや、一時あったのですよ! 私以外全員女性! しかも部内のキレイどころ! を集めたチーム編成が……。

 疲れた……。あのチームのリーダーやっててめっちゃ疲れた!

 もうね。たまに後輩君が飲みに誘って(拉致して)くれて『助かった!』と思う程度には疲弊していました……。

 もうあの気遣い地獄はいやなのです!!!!!!


 あ゛? ハーレムが羨ましいだと?

 じゃあ代われ! あの頃の私と今すぐ代われ!

 部長に私が掛け合うのです! 何なら役員とのコネも使うのです!

 だから……代わってあげて……お願い……。


 ……はぁはぁはぁ、フラッシュバックしてしまったのです……。


 さて、件の身体測定です。……重要なのでもう一度言っておきますが、私はロリコンではありません。

 皆さん私より年上のレディーなのです。


 ……い、いや。ちがう! 勘違いなのです!

 別に年下特権で潜り込めるのです! と言っているわけではないのです。

 考えてみてください。クラスメイトは10歳以下なのですよ? この学園の基礎クラス。


 ……。

 応用クラスはお年頃のお貴族様だろ? って、なんですかあなた!

 鋭すぎます! 名探偵目指すべきです! まずは小道具仕込みまくった伊達メガネからどうぞ!

 即効性の睡眠兵器。アニメじゃなければ死んでるよね、あれ……。まぁそれは良いのです!

 ……この間遊びに来てくれたお姉さま。ポワンポワンだったのです!

 ……ごちそうさまでした……。


 もちろん私は幼児です。邪な機能も。邪な感情もないのです! 皆さんにちやほやされたい! その一心なのです。


 ということで、私は今身体測定会場におります。

 ふんわりと漂ってくるフローラルな香りと……覇気。

 ……ん?


「マイルズ様お待ちしておりました。第一種目は【破壊力】になります。張り切ってどうぞ!」

 受付のお姉さんに紙を渡す権三郎。

 ほほえましいものを見る完全武装のお姉さま方。

 ………

 ……

 …

 がっでーーーーーーーーーーーーーーーーむ!!!!!!

 

      ◆◇◆◇◆


 ねぇ。知ってる? 大正時代の水着ってほぼ服。肌を晒すのは下品とされた文化であれば、膝下の露出やノースリーブの水着は大胆♪なのだ。この世界? ビキニですか? はい、ありますよ。


「はい皆様。水着(甲冑)はちゃんと防水加工しましたか?」

 教官。それはあってるようで間違ってる!


「マイルズよ。お前の甲冑、よくにあっておるのう。くくく」

「1家に1台マイルズの時代が来ますね、これ」

 ポチ、私の浮き輪を見て笑いましたね……。忘れないのです! この屈辱いずれ!

……とりあえず閻魔帳への記録なのです。

 そしてタマ。『1台』って何ですか? 意図的ですね? 意図的なのですね?


「お魚をクリアした私に死角はないの!」

 ……ふふ。そうですか、すごいですね。うふふふ。


「……」

 そっと差し出される飴ちゃん。……そのような賄賂で何とかなるとでも?


「なかなか良い味なのです。職人さんを紹介してほしいのです!」

「さすがチョロイン……」

「……さすチョロです」

 ポチ。私は、男の子。ヲイ、目を見ろ。口を抑えて笑いこらえてるとピーマン大量にねじ込みますよ?

 あとタマ。私はヒロインではありません。そしてその発言、単なる悪口なのです!

 傷ついたのです! 謝罪と賠償を要求するのです!


「……しょうがないなぁ、これは我が家秘蔵の一品です。お納めください……」

 おお、これは!


「新種の飴ちゃんなのです。わーい、なのです」

 暖かな視線を感じます。知りません。飴ちゃん、うまうまなのです。

 

      ◆◇◆◇◆


 みんな~、頑張るのです~。

 私はポチに侮辱された浮き輪に流されつつ浮遊感を楽しんでいます。

 権三郎、波をそんなに抑えなくても大丈夫ですよ~。

 過保護な権三郎は、私が波で転覆しないように目を凝らしています。


「1分経過!」

 私は優雅に、そしてポチ達は必死に立ち泳ぎ中です。

 身体(能力)測定の為、甲冑を身に纏った女子たちが温水プールで立ち泳ぎしております。

 そう、これが水泳なのです。

 彼女らは獣王国の民。獣王国は西を海に面した海運の盛んな国です。海運は物流で最高の効率なのです。

 ……そんな国に住み、貴族に生まれれば、海賊退治に出陣もする。一般市民も移動に船も使います。そんな時、もし万が一海に投げ出された際。生き残るために必要な技術。その能力測定がこの項目なのです。

 なお、皆さま足のつかない深さのプールですので、生徒1人に足の着く身長の先輩が1人ついて安全対策ばっちりです。


「ポチ」

「何じゃマイルズ」

「うば~~~! なのです」

 ふよふよとポチに近づいた私は渾身の変顔を披露します。

 ……笑いをこらえバランスを崩すポチ。あ、少し水を飲みました。


「……マイルズ、外道です」

「……タマ、これは試練なのです。突破できればもう一段階先に逝けるのです。……という事でタマにも、ちょっと1試練♪なので~す」

 すいーっと近付く私。タマと目が合う。……ちょっとタマ。もう笑いそうなのはどういうことですか? 失礼ではないですか?


「そこまでだ。いとし子よ」

 小さな波紋だけ立てて変態王子が水面に立つ。先日グルンドから出張してきた人外なのです……。

 変態王子の恰好はおおよそプールに似つかわしくない執事服です。……あ、ちゃんと靴と靴下を脱いでる。


「これから……10時のおやつの時間だ!」

 なんとそんな重要行事の時間でしたか!!


「というわけで、プールサイドに用意済みである! はーい、ふきふきするぞー……よーし、両手上げて……ばんざーい、だ」

 ばんざーい、なのです。あ、このタオル生地柔らかいのです。すっごくいいのです。


「はい、みなさん。検査中ですよー。ひな鳥を見守る親鳥の視線はそこまです」

 ……教官が何か言いました? して、本日のすいーつは何でしょう。


「グラグ餅だ」

 ……くず餅でした!

 ひゃっはぁぁぁぁっぁ!

 上品な蜜の甘さでトロトロなのです。


「……あの美しい方が……【良いところなし】で有名なグラグであんな美味しそうな物を作られたでしょうか……尊い……」

「わが領地で大量に取れます……。お声がけしようかしら……キャッ……」

 ……イケメン(変態王子)死すべし。しかし、相手は異世界人保護システムが整い、異世界文化の応用が花開いている神王国、そこの王子様。そして和食に精通しているのです。手放すのは惜しいですね……。しかし、ぐぬぬぬ。

「うむ。いとし子よ、口に蜜がついておるぞ……」

 どこからか黄色い歓声が響いてきます。

 ……それ、イケメンの優しい挙動ですよね?

 変な掛け算してませんよね? ね? ねぇ? ねぇ? ねぇ??

 みんな!

 目を合わせて!!!!

 

      ◆◇◆◇◆


 優雅におやつを堪能した私。

 変態王子はこれから投資先との打ち合わせがあるらしく去っていきました。黄色い声とともに……。

 私はお昼ご飯前にもう1項目測定のために移動しております。


「あ、マイルズ様だ。いらっしゃい。お待ちしてましたよ」

 ……ん。親衛隊長、なぜあなたがここに?


「はーい、お着換えの時間ですよー」

 目が怖いのです。ここは撤収なのです!

 ……権三郎。この手は何ですか?


「ファッションショー、不覚にも記録容量の関係で録画できそうにございません……」

 ほほう。良いことではないですか。


「……そのことがリーリア様に伝わってしまいまして……」

 祖母ですか……。うん。権三郎。苦渋の決断風のセリフですが、楽しそうな表情ですよ。


「では、おばあちゃんには私からきつく言っておきますので……」

 はい。無駄でした。

 その後親衛隊長主導によるお着替え会が開催されました。


「そーいえば、ここは何の測定なのですか?」

「被服型魔導具適性検査です」

 ……。

 うん。

 くそ。

 正しい検査か。

 なんもいえねー。


「あ、検査お願いします」

「はーい、検査していくので1番の布から魔法力流してくださいねー」

 ……。


「……」

「……」

「はい、あなたは火属性の魔法道具と相性がいいようですね」

「去年より適性値増えてる! やったー」

「いいなぁ……私も火属性が良かった……」

 ……。


「……」

「……」

 ……。


「……」

 ねぇ、無言でお着替えさせているその服は何ですか?

 布で良いのですよね?

 というか計測してましたか?


「……かわいい、プライスレス……」

 親衛隊長、横暴です。


「計測? あ……」

 『あ……』ではないのですよ計測の教官。


「もう2・3着お願いいたします。あ、マスター可愛いポーズと笑顔ください」

 権三郎。その使命感の燃える視線は何ですか?

 カメラマンに目覚めてしまったのですか?


「マスターの御姿を後世に残すのが私の使命!」

 言い切りました。微妙にそのマスター、反応に困ってしまいます。


「マスター、いい笑顔です。ありがとうございます」

「……なんだかんだと、ポーズも表情も良い。マイルズ様さすがです。さすがのチョロインです」

 『さすチョロ』とか言っちゃだめですよ。

 というか、反射なのです。

 私が皆さんのリクエストにお応えするのは調ky……じゃない皆様の教育のたまものなのです。

 叔父さんが少女趣味に目覚めたわけではないのです。

 そう、私が本当は『娘が大好きなお父さん』だからこそ!

 ポーズや表情を理解しているのです。そう、おじさんスピリッツなのです!


「はーい、検査が終わった人~、1分見たら次に行ってくださいね~。はいそこ! 飴で餌付けしようとしない! マイ

ルズ様が真ん丸になってしまいますよ! ……あ、それはそれで可愛い……」

 ……。今餌付けって言いました?

 ねぇ?

 餌付けって言った?

 ねぇ? 鼻を押さえて親指立てるのやめませんか?

 ねぇ?

 ねぇ?

 

      ◆◇◆◇◆


 シリアスさん? 私とあなた。相性悪くないですか?


「そんなことない。俺のことをもう少し知ればやめられなくなる……」

 危ない薬みたいなこと言いますね。


「そんなことはない。君のお友達の、衛君や香澄ちゃんも契約してるよ? シリアスさんとの契約は人生でとっても大切な契約だよ?」

 新興宗教みたいなことを……。


「神(シリアスさん)を信じましょう。きっと救われます!」

 自信満々なのです。そういわれるとそんな気もしてきたのです。


「さぁ、じゃあ。ここにサインして。今なら洗剤3か月分と野球の観戦チケットがついてくるよ! そして! 今回だけ! マイルズ君のためだけ3か月無料キャンペーン! くそ、もう赤字だ! でもマイルズ君とは長くお付き合いできるって、おじさん信じてる!」

 ……。


「……」

 サインすると思いましたか? その営業方法は3流以下ですよ?


「何のことでせう?」

 その後10分ほどシリアスさんとのにらみ合いが続きました。


「…………マスター……マスター……」

 優しい権三郎の声です。


「ちっ、心の隙に付け込めると思ったのに厄介な奴がそばにいたか……」

 あなたはいったい何者ですか?


「……いずれわかる。事実を知った時に後悔するがいい! 野球観戦チケットを手にできなかったことを!!」

 あ、サッカーファンなので間に合ってます。


「……浦和のチケットもあるよ?」

 サッカーファンがみんなあのチーム好きだと思うなよ?

 …………

 ……

 …


「マスター……あ、お目覚めになりましたね」

 揺れる感覚と重い瞼。あ、そうかお昼の後の撮影会で疲れて寝てしまったのですね。

 ふと目に入ったのは夕日。

 ……そんなに時間がたってしまいましたか……。


「マスター……。こちらが本日の測定結果になります」

 渡されたのは一枚の紙。

 ……。身長体重とか健康診断っぽいことした記憶が……。


「お休み中に検査を実施いたしました」

 ……。視力『精霊眼』ってなんですか?


「『精霊眼』をお持ちなのでそもそも視力測定不能という事らしいです」

 精霊眼……。

 まぁ、いいでしょう。でも色々気になる記載の中で一番気になったのは……。


「なんで魔法力測定の結果に莫大な金額が書かれているのですか?」

「魔法力測定器ですが、マスターが触れた瞬間大破しましたのでその損害賠償額です」

「……」

「尚、獣王様が嬉々として立て替えてくれました」

「……」

「『うまく貸しを作れた! 皆者、大義である』だそうです」

 あうち……。 


【2。領都グルンドサイド】

---門番---



 魔導公爵が治める都、農業都市グルンド。そんな偉大な都市に白いソレが現れた。

 ソレは全長10mの巨体を見せつけるように魔法力を解き放つと街のあちらこちらが炎に包まれた。


 農業都市グルンドは新興都市である。

 都市開発当初より計画的な都市防衛が組み込まれている。

 その計画立案者は英雄の妻、かの有名な大賢者リーリアその人だった。

 もちろん当初の計画より魔法によるテロ対策も組み込まれている。


 都市各地に設置された市民の憩いの場である時計塔広場、これがこの都市結界の要であった。

 通常この都市に住まう者は朝必ず時計塔に魔法力を提供する。

 監視はされていないがこれは住む者の義務である。

 移住者には『都市環境整備のために、公共機関稼働させるための』と言う建前で伝えられている。

 それ自体は嘘ではない。

 だが一番の目的は都市防衛の維持であった。

 何を言わんとしているかご理解いただけただろうか。


 この農業都市グルンドはこの40年常にソレの襲来に備えて対応、準備がなされていた。

 確かに内部に突如現れたのは想定外だった。

 だが、内部から仕掛けられるテロについては20年前に体験、対策済みであった。


 その白いソレは気付かない。爆発炎上しているが、それ以上に発展していないことを。

 その白いソレは気付かない。巨体を震わせ暴れているが、その力の源、魔法力が乱れブレスがはけない事を。

 その白いソレは気付かない。この都市の成り立ちを。ドラゴンから奪い取った土地にこの都市が対ドラゴンに特化されていることを。

 知らないで吠える。そして知らないで飛び立つのだろう、既に防衛部隊が配置していることを知らず。


【これまでのお話、まとめ】

教会サイド 商人ディニオ「避難民に偽装中」

      獣人少女襲撃犯ドゥガ「竜化! そして市内に仕掛けた爆発物を爆破!」

      ハンターユリアナ「捕縛完了。領軍とギルドと一緒に爆発物の解除を……」


領主サイド 代官「くっ……予備役を招集せよ」

      領主暗部「逃がさんぞ。教会の闇共め」

      モヒカン&スキンヘッド「……くそ、しつこい異世界人だ」

      変態王子「……やられたな……これは」

      勝さん1号「体機能復旧中」


獣王国サイド ホーネスト7世(ポチ)「ファッションショー楽しみ!」

      マイルズ「変なおねーさんが面白魔導具を持って行ったのです」

      教会幹部フィラント(小太郎)(エルル)「プロジェクトクラーケン!」

      フィラント部下(エルル兄)「フィラント様……覚悟を」





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― 新着の感想 ―
[一言] これはもう、三歳児なら当然の権利 帰りたい(;_;) と、ギャン泣きしろ(笑)
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