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【コミカライズ続き復活済み】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
2章:あえて言おう、桃太郎の桃を拾えるお婆さんは大物である!と

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26「変態が王子なのか、王子が変態なのか」(復活済み)

※作者より:このお話は小幅な修正で済みました。(5/15 ぐう鱈)

「説明を求めます」

 私は父に向かい、ぶ然と言い放ちます。


「いや、腕がいいから雇った」

 いえ、父よ。腕は良くても性格が残念なのです。


「あと、ウェイターもできるしな」

 いえ、父よ。根本的に間違っているのです。『仮面がはずれない』とかぬかしているのですよ?

 あの仮面で出迎えられたらうちの店……誤解されますよ?

 カップルで来店したら別れる店とか噂立っちゃいますよ?

 ん?

 なんかそれでもいい気がしてきましたね……。

 それはおいておいて……父よ! どうかご再考を!!


「であろう、やはり私の採用は成功。調理長殿はまさに慧眼といえよう! ふははは!」

 雇われ人が腰に手を当て笑っている。

 コック服が似合っており、服の隙間から垣間見える腕は細いですが筋肉質です。細マッチョです。

 ……なんでしょうか、少しだけですがイラっときました。


「まぁ、こう見えて神王国の王家だし、マナーとかは行き届いているしな」

「ふふふ。昔の話だ」

 えーっ こいつが王子様? すっごい嫌なんですけど。ていうか前髪をサラッとかするな。


「ははは、そう言ってやるな。変態だが立派な奴だぞ」

「立派な奴は王家から追い出されたり、呪いの面とかつけられたりしないと愚考いたします。あと貞操の危機も感じます」

 王子は私のほっぺをプニプニしながらご満悦なご様子。離せ、変態。


「幼児よ、そんなに褒めるでない。抱っこしてなでなでしたくなるではないか!」

 お断りします! というか現在進行形でしてるではないですか!!


 ……ぬ、そっそれは……だっ、大福ではありませんか!

 ……。

 ……うまー!

 小豆や餅米とかに関してどこで入手したのでしょうか……。それはそれとして、うまーーーー!

 変態、大変不服ながらあなたを王子とみとめてあげないこともありません!!

 良い餡子に満足です。


「ぐふふ、かわいいのである! かわいいは正義だ!! ぬう、2個目はだめだ。貴様が餅のように丸々としてしまうからな! はっはっは!!」

 ふむ。腰に手を当てて高笑いの変態王子。

 こいつ14歳位のはずなのに反応が爺です……。

 印籠とか出しそうな爺いです。


「……料理に関しては見ての通り神王国料理が完璧にできる。

 以前神王国から『料理してほしい』と招かれた時にこいつと出会ったんだがな。気付けば接待対象が料理の手伝いしていた。あの頃から変な奴だったな……。

 まぁ、こいつの腕は確認済み。雇用するのは店主としての決定事項だ」

 と言い放つ父。

 しかし私は不満です。

 ですので不満を顔に出してみました。

 だって、こいつ! 2つ目の大福をくれなかったのですよ!


「……可愛く頬を膨らまして見上げても結論は変わらん」

 こいつがくれた大福はつぶ餡だったのです!

 2つ目はこし餡のはず!

 こし餡派の私に2つ目をよこさないとは! 異議あり! なのです!!


「とにかく、採用決定だ。たまに顔を合わせると思うが仲良くしてやれ」

「はっはっは。よろしく頼む! 愛しの幼児よ! たまではなく毎日会うと思うので宜しくなのである」

 ぐっほ、こっ、こんな時こそ……。

 ……我が兄・姉たちよ!

 ……なぜ一斉に視線を逸らすのですか!

 とくにミリ姉! いつも過保護じゃないですか?

 いつものバ可愛いい発言するあなたなら守って……もらったら私の人権を売り渡すことになりそうなのでやめておきます。……今、準備しようとしましたね? やめてください。……まったく、油断も隙も無い……。


 ……こうして大変不満ではございますが、我が家で変態王子を見かけることとなりました……。

 ……さて、大変不服ですがこれから頻繁に絡まれるであろう変態王子について整理したく思います。


 奴の出身国の『神王国』。

 大陸東といえば神王国、と言われるほど有名な大国です。

 八百年続くと言われるその王国は五百年前までは別の名前だったそうです。

 勝であった頃の世界史で各国の王朝がどの程度続いたのかと言う表を見ましたが、国の寿命は思ったより短く二百年続く国と言うのも大したものだったはずなのです。……しかしこの世界では勝の世界とは違い、モンスターが多く跋扈する世界なのでその国歴史が終わるときはモンスターによって滅ぼされる時だけで、悪政のツケや権力欲に流された革命などではないので多くの国々が細々と続いているようなのです。

 さてさて、神王国もそんな国だったようです。神王が現れ、その名前を変えるまでは……。


 何時モンスターに滅ぼされるか微妙なバランスの上で運営されていた国々。

 そんな地域に神王が現れたのは五百年ほど前の話だそうです。

 神王は歴史上に現れる。すると瞬く間に国を地域を平定し、強者を集め、モンスターの脅威と飢えの恐怖から民衆を開放した。

 神王陛下は世界を見渡しても並ぶ者がいないほどの英雄なのだそうです。

 ……人間限定での話ではありますが……。


 そんな稀代の英雄神王陛下は変態王子の『父親』であるのでした。残念なことに……。

 ……。

 色々おかしくね? と思い祖父に聞いてみました。


「かの御仁は降臨された当初から亜神であらせられたのだ」

 祖父をして尊敬を含んだ言葉で語っていました。

 あ、そっち(神王陛下)ではありません。


 その後私が眠るまで祖父は『まるで信者』のような表情で嬉々として神王伝説を吹き込んでくれました。

 祖父よ……あなた神王陛下ファンですね……。


 曰く、神王陛下は『戦神』と呼ばれている。

 曰く、大陸で生まれた男の子は皆、神王陛下に憧れる。

 曰く、英雄譚は本にもなっている。


 等々、推しを解説するオタクのように饒舌な祖父に圧倒されながらも、私はその語りを子守歌代わりに早々に眠りにつきました。

 幼児の体万歳。

 大人であったらお酒片手に夜通し語られるところでした……。以後気を付けねば。危ないアブナイ……。


 と言う事で翌日、祖母に改めて神王陛下と変態王子について聞いてみました。


「策略を巡らせ、裏切りを誘発させ、援軍を遅らせ、神王陛下と草原で対決した軍があったそうよ」

 ほほう。過剰ですな。それで準備万端で作り上げた戦力差は如何ほどだったのでしょうか。


「決戦時、10万対1万だったそうよ」

 ふへ、よくそんな無謀な戦をしようと思いましたね。素直に感心します。


「1万が神王様よ」

 ……うん、流れ的にそうなりますよねー。

 ……もしかして、決戦は平原なんですか?

 10万の軍勢が有利に布陣できて相手側が特に策も罠も巡らせられない場所。


「3日後、神王様の援軍3万が到着した時……神王軍はほぼそのまま。相手10万の軍勢は半数にまで減らして軍としての体裁を整えるのがやっとの状態まで追い込まれていたの。そして援軍を見て戦意を失ったそうよ。実質は全滅ね♪」

 ……神王様というか神王軍ってバグキャラじゃないですか?


「神王様は3日間の戦闘で【半数にまでしか減らなかった】相手に対して『我が軍相手に見事である! 引分けとしてやろう、誇りを胸に引くがよい!』と宣言したそうよ。防衛目的の神王様と侵略目的に相手だったら引分けじゃないんだけどもね……」

 あ、相手は弱い国だったのでしょう……。

 ほら、織田信長も弱卒を率いるために色々策を弄しましたし、基本数で押して勝負してましたしね。ははは。そういうこと……ではないのですね。


「今は分割しちゃったけど、大陸南部を平定した時の帝国は強かったそうよ。皇帝なんて『武帝』とか呼ばれてたし、将軍たちも各地で伝説を残すほどのつわもの達がごろごろいたし、兵士の装備にもお金かけて士気も高かったそうよ」

 何か聞いたことがあります。上杉謙信と武田信玄ですかね。確か信玄が2倍の兵力差をもって謙信にようやく引き分けたことを誇っていたと聞いたことがあります。……こちらは10倍ですか……化け物ですね。


「貴方が読んでいた絵本の主役も神王様よ。作者曰く『悪魔の数多すぎて書きたくないから3体に減らしました』らしいわ」

 運営(かみ)さん! チーターです! チータがいます!!

 ……あ、この人(神王)、亜神(運営スタッフ)だった……。

 ……わかりました。うん。対外侵略欲が少ない国だから大陸東部に触らなければ脅威はならないけど存在感がでかいと言う事ですね。

 え、私が抱いた感想?

 ……ウルトラ〇ンに率いられた仮面ラ〇ダーの集団……。

 あ、神王様いまだ現役でお元気? お会いしたような……したくないような……。


 で、目の前にいる変態さんは先ほどのウルトラマ〇一族ご出身なそうなのですよ……。

 更にその大英雄は未だ健在。

 そして本当に変態王子は最近生まれた息子だそうです。

 祖父と祖母と父は数年前に謁見しており、そこで神王陛下から聞いているようです。

 なので、変態王子が神王国の王子で確定だそうです……。


「ふむ、少年よ。そこは……」

 変態王子に視線を向けるとザン兄の残念定食を改善しようと指導しております。

 どうやらザン兄は守備範囲外らしいですね。

 ……ん? 9歳ですよ。ザン兄。あれ? 守備範囲外が正解な気がします。同時に不正解な気もします。

 しかし、変態のくせに指導が適切。


「マイルズ! 師匠すげぇぞ!」

 ザン兄がキラキラ笑顔で言う。完全に懐いてしまいました。

 ……ヲイ、後ろで『計算通り』とか悪い顔するな!

 『将を射んとする者はまず馬を射よ』ではないのです!


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