表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロク  作者: ピロ
第7章 地下帝国 炎の巨人
88/91

チョロイン二人は伊達じゃないっ!!

第6章になった小夜の話を第7章に持ってきたものです。

申し訳ございません・・・


この世界の亜人差別は酷いものだ。

ドワーフはクラフトマンとして重宝されているから、他の種族に比べればマシな方といえる。

それでも奴隷と大して変わらぬ扱いだ。

何度か独立しようと辺境に街を築いてはみたが、ことごとく人間に滅ぼされてしまった。



地下帝国を建設する



そう言ったのは、初代国王であるボブル・ディナ・ゲイドールの言葉であった。

希望を持つことが許されなかったドワーフ達にとって、自分達だけの国を造るということはまさに希望。

悲願の一大事業だった。

ドワーフ達は歓喜し、給金が出ないにも関わらず、世界中のドワーフ達が夢を求めて集まってきた。



「ガッハッハッ。俺が造った彫刻を見るがいい。素晴らしいだろ」

「そんなもん、役に立つもんじゃないだろうて。儂が造った噴水を見ろ。これこそが実用を兼ねておる芸術というものよ」

「なに馬鹿な事をいってやがる。俺が造ったこの石畳の道こそが真の実用的なものだ。そんなことも分からんとは、まだまだヒヨっ子よ」



酒を片手にドワーフ達の自慢話が、夜毎酒場で繰り広げられていた。

国を造る為に立ち上がった者、それを支える為に食料を用意する者、ドワーフ達の生きる糧ともいえる酒を造る者。

街中が希望を糧に盛り上がり、全てが支えあっていた。



やがて城が立ち



国が出来て



子を成し



死んで土に還る



人からの支配を逃れたドワーフにとって、そこは楽園であった。

ドワーフの王国は永遠に続いていくものだと、誰もが信じていた。

魔物が溢れ出すまでは・・・



「おおー。明るいねぇ」

ドワーフ達の案内によって自警団の住む屋敷に案内された。

外にはあまり光が無いが、建物の中に入ると驚くほど明るい。

「血の匂いで魔物をおびき寄せてしまうが、光でも魔物をおびき寄せてしまう。だから外では最低限の明かりしか使わないようにしているんだ」

「へぇ~。明かりでも寄せちゃうんだ」

応接室に通されると、ソファーに座るよう促される。

「小夜。ここの光は普通のものと違います」

「ほう。客人はここの明かりが普通のものと違うことに気が付きますか」

ドワーフの長の話によると、ドワーフ達が地下を掘り進めて行くうちに、エネルギーの媒体となる鉱石を見つけたのだそうだ。

長が近くにあった鉱石を持ってきて、水の入った皿の中に入れる。

すると鉱石が光を発生させて、周りが暖かくなってきた。

「面白い石だね。こんな石初めて見るよ」

水を掛けると熱と光を発生させる特性を持つ鉱石。

光の無いこの世界にとって、この鉱石はドワーフ達の生命線となった。



「・・・ねぇアイラちゃん。コレってさ、ウランとかヤバい鉱石じゃないよね?」

「大丈夫です。そこまで強い力は感じませんし、有害物質は発生させていません。今まで見た事も無い鉱石で世紀の大発見ともいえます」

「ほぅ。客人は石に詳しいとみえる」





ドワーフの長は両肘をテーブルに乗せ、手を組んだ上に顎を載せる。

そして前のめりになって語り出した。





長の話はどんどんエスカレートして、相手が引いているにも関わらず語ることに夢中だ。

アイラちゃん助けてくれ~。

小夜が横を向くと、笑顔で聞いているフリをしてスリープモードに入っている。

そしてしばらく長の話を聞かされる小夜であった。






「長。その辺にして下さい。そろそろ食事の準備が出来るのでこちらにどうぞ」

小夜が真っ白に燃え尽きた頃ビランダが呼びにきてくれた。

ナンデ、モット、ハヤクキテ、クレナカッタ、ノ・・サ・・・



チーン。



「小夜、元気がありませんよ?」

この裏切者めー。

何も無かったみたいに言ってくれるじゃないか。



ビランダが食堂に案内してくれる。すると豪勢な食事がテーブルいっぱいに並んでいた。

「うはっ!!美味しそうっ!!」

ヨボヨボの老人のように疲労していた小夜だったが、用意された食事を見て一瞬で体が潤いを取り戻す。

「お肉ばかりですよね・・・」

「アイラちゃんっ!!見てよこのお肉。すごく脂が乗ってて美味しそうっ!!それにソーセージまである」

食べる事が大好きな小夜と違って、食事を必要としないアイラは、食事は嫌なことでしかなかった。

食べれない訳ではない。

ただその後の洗浄が面倒なのと、しばらく匂いが消えない事が嫌で嫌でしょうがないのだ。

しかしAIとしての機能がこの場で食事をしないのは不正解。

肉を食べろと命令をしてくるのである。



「辺鄙な場所で出せる物は限られているが、ドワーフの食べる物を是非とも食べていって欲しい」

あひはほぉ(ありがとう)ー」

そう云われると同時に食べる小夜。

基本お嬢様育ちだから、食べ方はキレイですけど、口が波打つようにモグモグと食べてますね。はしたないです。

どれだけお腹が空いていたのですか・・・



しばらくすると、埋葬に行っていたドワーフ達もやってきて、豪快に酒を飲みながら食事を始める。

仲間の死に葬式のような感じになると思ったのですが、酒を飲んで騒ぐのも、弔いを兼ねているのだそうです。

それよりもドワーフは私が持っていたライトに興味津々で、質問責めにあってしまいました。

勿論私には過去に行われてきた歴史や、技術の知識が記憶されています。だから何をすればコレが造れるか分かりますが、千年以上も技術に差があるので、説明したって理解は出来ないと思います。だからドワーフの持っている鉱石と交換でライトをプレゼントしました。



「アイラちゃんも美味しいから食べなよー」

相変わらず不健康な食べ物を食べ続けています。

小夜は分かっていません。小夜が口を開けて寝ている時、匂いに釣られたハエが飛び回っている事を。



ナイスアイディアが浮かびました。その映像を撮って、小夜の口の中にダイブしたハエが●●●を産み付けて、ピーがピーでピーする映像を可視化するのです。

そうすれば完璧な食事である、ヘルシックチューブを食べるようになるかもしれませんね。

フフフ。コレで小夜はもう普通の食事は出来なくなるハズです。

さすが私。

すーぱーあんどろいどは伊達じゃない。

まぁ小夜は強いかもしれませんが、可愛いチョロいんですからね。

「フフフフフフフフフフフフ」

「アイラちゃん、さっきから何をブツブツ言ってるのさ?ちょっと怖いんだけど・・・」

おっと。完璧すぎてつい声が漏れてしまいましたね。褒めてくれて構わないのですよ



「どうですか?お口に合いましたでしょうか?」

「うん。凄く美味しいよっ!!ソーセージなんて久しぶりで幸せだよぉ」

ビランダの問いに答えつつも、小夜は口を動かすことは止めない。

「アイラさんの方はあまりお口に合わなかったのでしょうか?」

「うぅん、アイラちゃんはねー。ベジタリアンだからお肉は基本食べないんだよ」

「ベジタリアン??」

「うん。野菜しか食べないんだよ。だから気を悪くしてたらゴメンねー」

小夜・・・

「ねっ、アイラちゃん」

「ハイ。小夜の言う通りです。折角用意してくれたのに、ほとんど手を付けずにゴメンナサイ」



フフフのフ。



小夜が私の為にそんな言い訳を考えていてくれたなんて。

ゴメンナサイ。私は悪いアンドロイドでした。

恥ずかしい。

このままマイクロ核融合炉を臨界まで回して、溶けてしまいたいです。



なぁ~んてアイラちゃんは考えてるんだろうなぁ。



アイラちゃんはチョロいんだから、私に掛かればそんなものお見通しさ。

まぁこれでも千年は生きてるからね。

千年生きてるババァは伊達じゃない・・・

違うな。

お局様はだ・・・

違う。

「玉藻ちゃんは伊達じゃないっ!!コレだ。コレで行こう。アハハハハハハ」

顔を真っ赤にした小夜は、頭の中で考えていたことを声に出していた。

“ 何で私がそこで出されなければならない・・・ ”

「玉ちゃん、いいじゃんかよぉー」

“ ハァ・・・全く、酒ごときに飲まれるとはな。恥を知れ。恥を・・・ ”

小夜が出された飲み物は果実酒で、すっかり酔っぱらっている。





心の中で玉藻と話をするのが、口から出ていることにも気づかないでいるほど酔っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ